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インプラントの「抜歯即時埋入」とは?メリット・デメリットや他治療との違いを解説

インプラントといっても様々な治療方法があり、その中でも抜歯と同時にインプラントを埋入するのが「抜歯即時埋入」です。

「抜歯即時埋入」は、手術の回数を減らせる、身体への負担が少ないなどのメリットがたくさんあるため、近年、この治療法に対応する歯科医院が増えています。

本記事では、インプラントの「抜歯即時埋入」とは何か、そのメリット・デメリットに加え、他治療法との違いについて詳しく解説していきます。インプラントを検討されている方はぜひ最後までご覧ください。

-この記事で分かること-
  • 抜歯即時埋入とは、抜歯と同時にインプラントを埋入する治療法
  • 抜歯即時埋入のメリットは6つ(①治療期間が短い ②手術回数が少ない ③骨が痩せるのを防げる ④身体への負担が少ない ⑤術後の腫れや痛みが少ない ⑥即時的に見た目を回復できる)
  • デメリットもある(①適用できないケースがある ②感染リスクが通常に比べて高い ③対応できる歯科医院が限られている ④費用が高額 ⑤不具合が起こった場合の修理が難しい ⑥食事の制限がある)

インプラントの「抜歯即時埋入」とは

インプラントの抜歯即時埋入とは、抜歯と同時にインプラントを埋入する治療法のことです。

従来のインプラント手術では、細菌感染などを防ぐため抜歯後に骨や傷の回復を2~3ヶ月待ってからインプラントを埋入する流れが主流でした。しかし、抜歯即時埋入は抜歯をした日と同日にインプラントを埋入することができます。

そのため、従来のインプラント治療に比べて、手術回数や治療期間の短縮につながり、患者様の身体的、精神的負担を軽減することが可能です。

ただし、適応できるケースが限られているため、インプラントを検討されている方はご自身が適応ケースに当てはまるかどうかを一度歯科医院へ相談しましょう。

抜歯即時埋入の治療の流れ

一般的な抜歯即時埋入の治療の流れは、下記の通りです。

  • 術前の検査・治療計画説明
  • 手術(抜歯・インプラント体埋入)
  • 経過観察
  • 人工歯(上部構造)の装着

では、1つずつ見ていきましょう。

術前の検査・治療計画説明

インプラント手術を受ける前には、まず口腔内の状態を詳しく把握するために検査を行います。問診やレントゲン撮影、虫歯や歯周病チェックなどがあり、CT撮影ではインプラントを埋入するために大切な骨の量や質、幅、高さを確認します。

その資料をもとに担当の歯科医師が治療計画を作成し、その診断結果とともにインプラント手術に関する内容やメリット・デメリット、注意点などについて説明されるのが一般的です。

手術(抜歯・インプラント体埋入)

手術当日は麻酔を行い、インプラントを埋入する箇所の抜歯から始めます。抜歯窩(抜歯後にできた穴)を細菌感染が起こらないよう綺麗に洗浄、消毒したのち、インプラント体の埋入処理です。

このとき、顎の骨の量が少ない場合は必要に応じて骨補填(骨を補う処置)を行います。

最終的に、インプラント体の上部にアバットメント(人工歯の土台)もしくは仮歯を装着し、手術終了です。もし上手く固定ができなかった場合は、一旦仮歯は装着せず歯茎を縫合します。

経過観察

インプラント体と顎の骨が結合するのに、約3~6ヶ月間の待機期間を設けるのが一般的です。手術後は定期的に歯科医院へ通い、傷口や骨の状態の経過観察を行います。

人工歯(上部構造)の装着

インプラント体と顎の骨の結合が確認できたら、上部構造(人工歯)を装着します。

装着する際には、噛み合わせなどもチェックし、今後の不具合につながらないよう調整を行います。これでインプラントの抜歯即時埋入の治療は完了です。

インプラントの抜歯即時埋入が可能なケース

ここからは、インプラントの抜歯即時埋入が可能なケースを見ていきます。

抜歯が必要なケース

抜歯が必要とされる歯は、主に歯周病や深い虫歯によって保存するのが困難な状態にある場合です。歯周病によって歯を支える骨が溶けた場合や、虫歯が歯の根にまで達した場合、歯を抜かざるを得ません。

特に歯周病が進行すると、単に歯だけでなく周囲の骨や組織まで影響を受け、結果的に抜歯が避けられない事態になります。そうして抜歯した部分にインプラントを埋めるケースがあります。

抜歯する部分に感染がない

抜歯する部分に感染があると、インプラントが感染源となり歯周組織まで感染を広げうる可能性があるため、インプラント治療部分に感染がないことが重要です。

感染がある場合は、まずその部分の治療を行い、炎症を取り除いてからインプラント治療を考えるべきです。

抜歯部分の周りの歯が虫歯になっていない

インプラントを行うには、埋め込む部位の周囲の歯が健全であることが求められます。周辺に虫歯があると、患部の感染リスクが高まります。

そのため、周囲の歯の健康状態を確認し、必要に応じて虫歯や感染を治療しておくことが重要です。

歯周病でない、もしくは歯周病が軽度である

歯周病がある場合、特に重度の場合にはインプラント埋入が難しくなります。歯周病は歯茎や顎の骨を破壊し、インプラントの安定性を損なうため、まずは歯周病の治療が優先されます。

軽度の歯周病であれば、しっかりと治療と管理を行うことでインプラント手術が可能です。

十分な顎の骨の厚さ・量がある

インプラントをしっかり固定するためには、十分な顎の骨の厚さや量が必要です。顎の骨が不足しているとインプラントとの結合が不安定になり、失敗につながる可能性があります。

顎の骨が不足している場合は、まず骨補填などの処置を先に行い、骨がしっかり再生されてからインプラント体を埋入するのが一般的です。

持病がない、もしくは全身状態が良好

インプラント手術を行う上で、患者様の全身状態が良好であることも非常に大切です。糖尿病などの持病がある場合は、特に感染リスクが増すため、治療前にしっかりとコントロールする必要があります。

コントロールができないまたは健康状態がよくない場合は、術後の合併症のリスクが高くなり、治療が困難になります。

インプラント抜歯即時埋入の費用相場

インプラントの抜歯即時埋入は、一般的なインプラント治療と同じく自費診療です。そのため、治療費用は全額自己負担となり、歯科医院によってかかる費用は異なりますが、1本あたり30万~50万円程度が相場とされています。

この料金はあくまで目安であり、口腔内の状態や必要な追加処置によって変わる可能性もあるでしょう。

抜歯即時埋入のメリット

ここからは抜歯即時埋入のメリットについて見ていきます。

治療期間が短く済む

抜歯即時埋入では、抜歯とインプラント埋入を同日に行うことで、従来のインプラント治療に必要だった数ヶ月の治癒期間を短縮できます。

インプラントを埋め込んでから仮歯の装着までの待ち時間が短縮されるため、生活の質も向上します。

手術回数が少なく済む

通常のインプラント治療では、抜歯とインプラント埋入が別々の日に行われるため、基本的に2回の手術が必要です。

しかし、抜歯即時埋入ではその必要がなく、抜歯直後にインプラントを埋入できるため、1回の手術で済みます。

骨が痩せるのを防げる

歯を失った後、歯槽骨は吸収されて痩せることがありますが、抜歯即時埋入を行うことで、骨吸収を最小限に抑えることができます。

インプラントがすぐに埋入されることで、骨の安定性が保たれ、長期的なインプラントの成功につながるでしょう。

身体への負担が少ない

従来のインプラント治療は、歯茎を切開するため身体に負担をかける可能性がありますが、抜歯即時埋入では抜歯窩を利用してインプラントを埋入するため、切開が必要ありません。

これにより、手術による負担が軽減され、身体的なリスクも低下します。手術による身体的・精神的負担が軽減されるのは大きなメリットと言えるでしょう。

術後の腫れや痛みが少ない

抜歯即時埋入は、歯茎を切開しないため、術後の腫れや痛みが通常のインプラント治療に比べて少ないという特徴があります。

手術の負担が軽減されることで、回復も早く、日常生活への影響が少ないのもメリットです。

即時的に見た目を回復できる

通常のインプラントでは、埋入後に仮歯を装着するまで待つ必要がありますが、抜歯即時埋入なら即時に仮歯を装着可能です。

そのため、見た目の回復も早く、生活への支障もほとんどありません。特に前歯部分では、即時的な審美性の回復により生活やコミュニケーションも不安なく行えるでしょう。

抜歯即時埋入のデメリット

抜歯即時埋入は、短期間でのインプラント治療ができることで人気がありますが、デメリットがあるのも事実です。ここからはデメリットについて解説します。

適用できないケースがある

抜歯即時埋入は、全ての患者様に適用できる治療法ではありません。抜歯即時埋入は、顎の骨量が充分であることや、重度の歯周病がないことが求められます。

また、歯ぎしりや食いしばりの癖、噛み合わせの問題がある場合も適用が難しくなります。そのため、事前に歯科医師との詳細な相談や検査が必要です。

感染リスクが通常に比べて高い

抜歯即時埋入では、抜歯後の傷が完全に治癒する前にインプラントを埋め込むため、通常の方法よりも感染リスクが高くなります。細菌感染が起きると、痛みや腫れが生じる可能性があるため、抗菌薬の投与や手術環境の徹底した滅菌が不可欠です。

感染予防のために、高度かつ安心の治療体制を持つ歯科医院で治療を受けることが推奨されます。

対応できる歯科医院が限られている

抜歯即時埋入は、高度な技術と知識を要するため、対応できる歯科医院は限られています。抜歯窩の状態を正確に把握し、正しい位置にインプラントを埋入するには豊富な経験と熟練の技術が必要です。

そのため、インプラント治療に精通した歯科医師を見つけることが重要で、歯科医院選びが治療の成功を左右すると言っても過言ではありません。

費用が高額になる傾向がある

インプラント抜歯即時埋入は、保険適用外のため費用が高額になる傾向があります。

特に、骨移植が必要な場合はさらにコストが増えることがあります。ただし、治療期間が短縮されるため、総費用が従来の方法と大きく変わらない場合も中にはあるでしょう。

不具合が起こった場合の修理が難しい

インプラントは顎の骨に埋め込むため、不具合が発生した場合の修理は簡単ではありません。

例えば、噛み合わせの調整や人工歯の破損があった場合でも、即座に取り外して修理することは難しく、状況によっては再手術が必要になることもあります。

食事の制限がある

抜歯即時埋入後に仮歯を装着した場合、一定期間は硬い食べ物を避けるなど、食生活に制限が生じることがあります。手術直後はインプラントと骨の結合が不完全であるため、負担をかけすぎないよう注意が必要です。

特に手術部位とは反対側で噛むことや、柔らかい食べ物を選ぶことが推奨されます。

「抜歯即時埋入」以外の治療法との違い

抜歯即時埋入以外にも、歯を失った際の選択肢として多くの治療法があります。それぞれの方法には異なる特長があり、患者の状態や希望に応じた選択が重要です。

以下で、主な治療法との相違点について解説します。

抜歯待時埋入(通常のインプラント治療)

通常のインプラント治療(抜歯待時埋入)は、抜歯した後に歯茎や骨の治癒を待ち、数ヶ月後にインプラントを埋入する方法です。

この場合は少なくとも2回の手術を必要とし、治療期間が長引くことが多く、その分費用も高くなる傾向があります。

一方で、抜歯即時埋入では抜歯とインプラント埋入を同時に行うため、手術は一度で済みます。この方法は患者様の身体的・精神的負担を軽減するとともに、治療期間の短縮も可能です。

抜歯後早期埋入

抜歯後早期埋入は、抜歯後数週間(4~6週間)を経てインプラントを埋め込む方法です。抜歯即時埋入に比べて歯茎がある程度治癒してから進められるため、感染リスクを下げることができます。

骨の治癒を待つのではなく、歯茎の治癒を優先させることで、従来よりも早い時期に治療を行えるのが特徴です。それにより、治療全体の期間を短縮することが可能です。

入れ歯

入れ歯は、人工的な歯と歯茎を持つ装置を歯茎の上に配置する治療方法を言います。インプラントのように外科手術は必要なく、治療開始までの時間も比較的短い点が利点です。

しかし、歯茎や骨が痩せるとフィット感が失われ、度々調整が必要となります。また、部分入れ歯の場合、残った健康な歯に負担をかける可能性もあります。

見た目や装着感を重視する場合は、インプラントと比較して慎重な選択が必要となるでしょう。

ブリッジ

ブリッジは、隣接する健康な歯を削り、連結した人工歯を装着する治療法です。入れ歯と違い、固定されているため外れることはありませんが、インプラントと比べて隣接する健康な歯への負担が増える点がデメリットとされています。

また、治療後、歯茎が痩せると人工歯と歯茎の間に隙間が生じ、虫歯や歯周病のリスクも上がるため、口腔内の健康管理が重要となります。

「インプラント 抜歯即時埋入」に関するよくある質問

最後に「インプラント 抜歯即時埋入」に関するよくある質問にお答えします。

抜歯後すぐにインプラントを入れられますか?どんなケースに向いていますか?

抜歯後すぐにインプラントを入れることは可能ですが、それは歯肉や顎の骨の状態が良好なケースに限られます。

具体的には、インプラントを入れる部分やその周辺に歯周病や虫歯がないこと、インプラントを埋め込む十分な量の顎の骨があること、持病がなく健康状態がいいことなどが挙げられます。

抜歯即時埋入の治療期間はどのくらいですか?

抜歯即時埋入の治療期間は個々の症例によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月程度です。初回の手術で抜歯とインプラントの埋入を同時に行い、その後インプラント体が骨と結合するのを待ちます。

治癒が完了次第、人工の上部構造を装着。従来のインプラント治療に比べ治療期間が短いため、見た目を早く取り戻したい方、多忙な方に適した方法です。

抜歯即時埋入の成功率は高いですか?

抜歯即時埋入は、高い成功率を誇る治療法です。多くの研究によると、その成功率は従来の方法と同等の結果が得られています。

ただし、成功を左右するのは患者様の口腔内の状態と歯科医師の確かな技術です。抜歯即時埋入を成功させるためにも、実績が豊富で信頼できる歯科医院で治療を受けましょう。

抜歯即時埋入の手術後、痛みはありますか?

手術中には麻酔が施されるため痛みはほぼ感じませんが、手術後には多少の痛みや腫れが生じることがあります。しかし、鎮痛剤の服用や冷やすことで痛みや腫れを和らげることができます。

ただ、抜歯即時埋入は歯茎を切開しないため、通常のインプラント治療に比べれば痛みは少ないことが予想されるでしょう。

インプラントに関するご相談は高田歯科クリニックへ

抜歯即時埋入は、多くのメリットを持つインプラント治療の選択肢の一つです。治療期間の短縮や身体的・精神的な負担の軽減といった様々なメリットがあり、実際に選ぶ方も増えています。

しかし、様々な条件が揃わなければ適用できないほか、高度な技術が必要となるため、信頼できる経験豊富な歯科医院を見つけて治療をスタートすることが重要です。

インプラント治療を検討されている方、気になることや不安なことがある方は、インプラント治療実績が豊富な当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」に、ぜひ一度ご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年10月10日