インプラント治療の前準備!骨をつくるサイナスリフトとは?
インプラント治療を行うためには、顎の骨の量が十分に残っていることが条件です。ただ、もし骨の量が十分でない場合でも、インプラント治療を受ける前に、骨を増やす準備を行うことで、安心安全に治療を受けることができます。
その骨を増やす治療法のひとつが「サイナスリフト」です。本記事では、サイナスリフトの特徴や治療の流れ、リスクや注意点を詳しく解説。
骨が少なくてインプラント治療が難しいと諦めている方、インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- サイナスリフトは上顎にインプラントを埋入する際に、十分な骨の量や高さがないときに用いられる骨造成の一つ
- 骨が再生されるのには、約6ヶ月~8ヶ月程度の期間が必要
- サイナスリフトの費用は、約15万~30万円が相場
- サイナスリフトとソケットリフトは、骨造成の範囲と治療後の痛みが異なる
- サイナスリフトは上顎、GBR法は下顎の骨造成に適している
サイナスリフトとは
サイナスリフトとは、上顎にインプラントを埋入する際に用いられることの多い骨造成の一つです。インプラントを埋入するためには、骨の量や厚みが確保されていることが必須ですが、特に上顎は骨が薄く、そのまま治療を行ってしまうとトラブルにつながりかねません。
そのため、インプラントを埋入する前準備としてサイナスリフトを行い、骨を増やす必要があります。サイナスリフトは難易度の高い技術を要するため、信頼できる歯科医院選びが大切です。
サイナスリフトの「特徴」
サイナスリフトは、上顎にインプラントを埋め込む際に十分な骨の高さがない場合に行われる骨造成手術の一つです。
上顎洞と呼ばれる空洞の下の骨が薄くなっている場合や、多くの骨が欠損しているケースで適用されます。
サイナスリフトの「手順」
サイナスリフトはインプラント治療と同様、外科手術を伴います。どのような流れで行っていくのかを理解しておくことで、より安心して治療を進めていくことができるでしょう。
下記では、サイナスリフトの実際の手順についてご説明します。
1.麻酔・歯茎を切開する
サイナスリフトは外科手術のため、局所麻酔を使用して行います。歯科治療や手術に対して極度に恐怖や不安を感じる方は、静脈内鎮静法を併用することもできます。これは、半分眠ったような状態を保ちながら手術を受けることが可能な方法で、精神的負担を軽減することができるでしょう。
麻酔後はインプラントを埋入予定の部位の歯肉を切開し、顎骨の側面を確認できるように剥離します。
2.上顎洞の側面に小さな窓を開ける
上顎洞の骨が露出するように歯肉を切開し、適切な場所に穴を開けて窓を作ります。上顎洞を覆うシュナイダー膜は非常に薄く、この膜を損傷してしまうと出血や感染のリスクがあるため、歯科医師は慎重に処置を行わなければなりません。
シュナイダー膜を慎重に上顎洞側に持ち上げ、顎骨と膜を安全に引き離すことで、次の工程が可能になります。
3.骨補填材を入れる
シュナイダー膜が無事に剥離されると、上顎洞内に骨補填材を入れるためのスペースが確保されます。このスペースに必要量の骨補填材を充填し、顎骨の側面に作った窓を塞ぎます。
その後、剥離した歯肉を元に戻し、丁寧に縫合したら手術は終了です。
4.骨ができるまで待つ
骨補填材を入れた後、次に重要なのは骨がしっかりと再生するまでの期間を待つことです。この期間は患者様の体質や充填した骨補填材の量によって異なりますが、一般的には6ヶ月程度の期間が必要です。
この期間中、インプラント部位に過度な負担がかかるとトラブルを招いてしまうため、注意深く過ごさなければなりません。無理をせず、指導される様々なケアを続けることが骨の回復を促進する鍵となります。
5.インプラントを埋入する
骨形成が確認できたら、再度歯茎を切開し、インプラント埋入手術を行います。手術後は、インプラント体と骨が結合するのに再度待機期間を設け、結合が確認できた後に上部構造(人工歯)の装着を行います。
このように長い期間を経て、ようやくインプラントを使用することができるため、サイナスリフトを必要とするインプラント治療は期間がかかることを理解しておきましょう。
サイナスリフトの手術後の「注意点」
サイナスリフトの手術後は、傷口が敏感な状態になっています。そのため、刺激を与えないよう安静にしておくことが大切です。手術後は以下のような点に注意しましょう。
手術後24時間はうがいを控える
何度もうがいをしたり、強めに口をゆすぐと縫合している傷口が開きやすくなったり、傷の治癒が遅れてしまったりします。そのため、手術後24時間はうがいを控えるようにしましょう。
処方された抗生物質や鎮痛剤を指示通りに服用する
歯科医院から処方される薬には、傷口の炎症を抑える働きがあります。特に問題ないからと言って自己判断でやめてしまうと傷口の治癒を遅らせたり、細菌感染のリスクを高めてしまったりします。
痛み止めは痛みがなければ飲まなくても良いですが、処方された薬は必ず指示通りに服用するように心がけましょう。
数日間は激しい運動や重労働を避ける
激しい運動や重労働は、血行を促進させて出血や痛みを誘発したり、手術部位に過度な負担をかけたりするリスクが高まります。
手術後は傷口の治癒を優先することが大切なため、激しい運動や重労働は避け、安静に過ごすようにしましょう。
歯磨きは手術部位を避け、他の部分を丁寧に磨く
手術部位は縫合しているため、食べカスが溜まりやすく気になると思いますが、無理に磨いてしまうと縫合した部分が外れやすくなったり、傷口に刺激が加わり治りを遅らせてしまったりする可能性があります。
とはいえ、口腔内の衛生面を保つことは大切です。そのため、傷口が落ち着くまでは手術部位の歯磨きは避け、他の部分は丁寧に磨くようにしましょう。
食事の際も気を付ける
手術後は傷口が敏感になっているため、傷口に負担となる硬いものや刺激物などは避けるようにしましょう。例えば、おせんべいや硬いパン、スルメ、辛い物などが挙げられます。
術後2~3日程度は、おかゆや豆腐、スープ、ヨーグルトなど柔らかくて刺激の少ないものを選ぶことがおすすめです。
うつ伏せ寝はしない
手術部位を下にうつ伏せで寝ると、血流が悪くなり、傷口の治癒が遅れてしまいます。
傷口の治癒に必要な酸素や栄養が運ばれることで早い回復につながるため、血流を悪くすることは避けなければなりません。そのため、うつ伏せで寝る癖がある方は、仰向けで寝る意識をしましょう。
サイナスリフトの「費用」
サイナスリフトはインプラント治療と同様、自費診療のため、歯科医院によって異なりますが、一般的には15万円から30万円程度とされています。
患者様の口内の状態や手術の難易度によっても費用は変わりますが、骨補填材の量などによっても費用が変わります。このため、事前に歯科医院でどのくらいの費用がかかるのか、見積もりを出してもらいましょう。
サイナスリフトの「失敗やリスク」
サイナスリフトは難易度の高い治療法のため、失敗やリスクが伴います。手術後に生じる可能性のあるリスクとして、主に下記の3つが挙げられます。
- 感染や神経損傷による腫れ・痛み
- 上顎洞へのインプラントの迷入
- 副鼻腔炎
それでは、一つずつ見ていきましょう。
感染や神経損傷による腫れ・痛み
手術中は局部麻酔をするため痛みはないものの、術後に痛みを感じる場合があります。主に術後3日目をピークに、10日間程度で症状が改善されることが多いですが、鎮痛剤を服用しても痛みが治まらない場合や、腫れが酷い場合には細菌感染や手術時の神経損傷が疑われます。
このような症状が続く際には、早めに医師に相談して適切な処置を受けましょう。腫れや痛みは自然な反応ですが、症状の進展を見逃さないよう注意が必要です。
上顎洞へのインプラントの迷入
稀なケースとして、インプラントが上顎洞と呼ばれる空洞部分に入り込むことがあります。これにより、感染症を引き起こしたり、くしゃみの際に鼻からインプラントが出てくることがあります。
インプラントの適切な位置を維持するためには、治療前にCTを用いて上顎洞の位置や骨の厚さを入念に確認しなければなりません。精密な検査と治療計画を行うことで、こうしたリスクは大幅に減少するため、信頼できる歯科医院選びが重要となります。
副鼻腔炎
サイナスリフトの手術後、上顎洞に細菌が侵入して炎症を引き起こすことがあり、鼻詰まりや鼻水、または目の下の痛みを感じることがあります。これらは副鼻腔炎(ふくびくうえん)の兆候で、放置すると痛みが悪化する可能性があるため、早期に医師の診察を受けることが重要です。
また、上顎洞にインプラントが貫通したり脱落した場合も考えられるため、異常を感じた時点で医師に相談しましょう。症状が軽いうちに適切な対処をすることが大切です。
サイナスリフトを受ける歯科医院の選び方
サイナスリフトを安心安全に受けるためには、信頼できる歯科医院選びが大切です。下記では、歯科医院選びのポイントについて解説します。
事前検査が丁寧かどうか
サイナスリフトを成功させるためには、事前の精密な検査が欠かせません。事前検査では、レントゲンやCT撮影を行い、骨の高さや量を把握する必要があります。
検査が曖昧だと、安全かつ正確に骨補填を行うことができず、感染症や手術の失敗を招くことになるでしょう。そのため、丁寧な検査を行っている歯科医院を選ぶことが大切です。
治療計画を立ててくれるか
サイナスリフトでは、事前の検査や診断に基づく治療計画が必要不可欠です。治療計画には、細かな手術内容や治療にかかる期間、費用、リスクなどが含まれ、治療をスムーズに進めていくためには欠かせない要素となります。
インプラント治療の失敗や治療後のトラブルを避けるためにも、治療計画をしっかり立ててくれているかを確認しましょう。カウンセリングや治療計画の説明の時点で、少しでも疑問や不安に思うことがあれば、積極的に質問し、納得したうえで治療を受けることが大切です。
衛生管理がしっかりしているか
サイナスリフトは外科手術を伴うため、衛生管理を怠っていると手術部位から細菌が侵入し、感染を引き起こすリスクが高まります。重視するポイントとしては、手術で使用される器具やグローブなどに滅菌処理がきちんとされているか、手術室の消毒が徹底されているか、日頃から院内感染を防ぐよう対策がされているかなどが挙げられます。
衛生管理については、歯科医院のホームページに記載されていることもあるため、事前に確認するようにしましょう。
他の主な骨造成術との違い
骨造成には、サイナスリフトだけではなく、ソケットリフトやGBR法といった術式が異なるものが存在します。下記では、それぞれの特徴とサイナスリフトとの違いについてご説明します。
「サイナスリフト」と「ソケットリフト」の違い
サイナスリフトとソケットリフトはどちらも上顎の骨を増やす治療法ですが、適用される症例や治療の進め方に違いがあります。
サイナスリフトは上顎の骨の厚みが3〜5mm以下で、多くの歯を失っている広範囲な症例に適しています。この方法は骨補填材を定着させるために3〜6ヶ月の治癒期間が必要で、その後のインプラント治療と合わせると治療期間が長くかかることを理解しておかなければなりません。
一方、ソケットリフトは骨の厚みが最低3mm以上で、失った歯が1本のような狭い範囲で適用されます。この方法ではインプラントを同時に埋め込むことができ、治療が短期間で済む利点があるとともに、サイナスリフトに比べて痛みや身体への負担が少ないのも特徴です。
「サイナスリフト」と「GBR(骨誘導再生法)」の違い
GBR法は、主に下顎の前歯や奥歯の骨を再生する際に用いる方法で、メンブレンという膜で骨再生を妨げる歯肉をカバーし、骨補填材をスペースへ入れて自然な骨再生を促すのが特徴です。
サイナスリフトやソケットリフトが上顎の治療に特化しているのに対して、この方法は、下顎の骨の量や高さ不足を解決するのに適しています。また、インプラントを埋入するタイミングは、骨の状態によって同時にできる場合と骨の再生が確認できたときの2パターン考えられるため、治療計画に従って進めることになるでしょう。
骨の再生には4〜6ヶ月が必要で、その後にインプラントを行う場合は全体の治療期間が長くなることを理解しておく必要があります。
インプラント治療は安心できる歯科医院で!
インプラント治療は、専門的な知識や高度な技術を要します。中でも、サイナスリフトは繊細でより難易度の高い骨造成のため、治療を受ける前には、リスクや注意点を患者様自身でも理解しておく必要があるでしょう。
なお、これまで骨の量や厚みが少なくインプラント治療を諦めていた方にとっては、サイナスリフトを用いることで安全に治療を進められる可能性が高まります。まずは、インプラントやサイナスリフトに精通しているところを探し、経験や実績が豊富な信頼できる歯科医院選びをすることが大切です。
当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」では、経験豊富で実績のある歯科医師が、患者様一人一人の口腔内や骨の状態に合わせてインプラントの治療法をご提案しております。インプラントを検討されている方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2025年4月2日