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インプラント治療中に重要な「仮歯」とは?役割・入れる期間・種類を解説

インプラント治療中に重要な「仮歯」とは?役割・入れる期間・種類を解説

インプラント治療において、手術後すぐに人工歯が装着されるわけではなく、しばらくの間歯がない状態が続きます。その間に用いられるのが仮歯です。

これは一時的なものと考えられがちですが、インプラント治療においてはもちろん、患者様が快適な日々を送るために重要な役割を果たしています。

本記事では、インプラント治療において仮歯がなぜ必要なのか、その役割について詳しく説明していきます。この記事を通じて、インプラント治療中の仮歯の重要性とその扱い方について理解を深めていってください。

-この記事でわかること-
  • インプラント中に入れる仮歯は、手術後から人工歯を入れるまでの間、歯の機能を一時的に補うためのもの
  • 仮歯には主に5つの役割がある(①審美性を高める ②歯並びや噛み合わせを維持する ③傷口を保護し、細菌などから患部を守る ④発音・滑舌への影響をなくす ⑤顎の骨・歯茎の状態を安定させる)
  • 仮歯を入れる期間は、通常インプラント手術の当日、もしくは術後の抜糸の後
  • 仮歯は基本的に「レジン」と呼ばれるプラスチックで作られている
  • 患部に刺激を与えない、硬い物を噛まないなど注意すべき点もご紹介

インプラント治療中に入れる「仮歯」とは

インプラント治療中に用いられる「仮歯」とは、手術後から人工歯を入れるまでの間、歯の機能を一時的に補うためのものです。

インプラント手術では、顎の骨に人工歯根を埋入しますが、これが骨としっかり結合するまでには数ヶ月を要します。その間、歯がない状態を放置すると見た目や口腔機能に様々な問題を伴うため、仮歯を装着してその期間を補わなければなりません。

仮歯は入れ歯と違い、着脱がしやすく治療の進行に合わせて調整が可能であり、インプラント治療を行ううえで必要不可欠なものなのです。

インプラント治療中の「仮歯」の重要な役割

インプラント治療中の仮歯には、ただ見た目を目立たないようにするためだけではなく、様々な役割があります。

ここからは、仮歯の重要性について解説していきます。

審美性を高める

仮歯を装着することで、インプラント治療中の審美性が高まります。特に前歯がない状態のままでは、他人の目を気にすることが多く、社会生活にも支障をきたす可能性があります。

仮歯は、隣接する自然な歯に近い色合いと形状で作られ、自然な見た目を保つことができるものです。これにより、日常生活での心理的な負担が軽減され、笑顔や人前での発言に抵抗を感じることなく過ごせるでしょう。

歯並びや噛み合わせを維持する

インプラント治療中に仮歯を入れることで、歯並びや噛み合わせを維持することができます。

歯がない状態が続くと、周囲の歯が徐々に傾いたり移動したりして歯並びが乱れる可能性があります。さらに噛み合わせが悪くなると、頭痛や肩こり、顎関節症の原因になることもあるのです。

仮歯には、歯並びと噛み合わせを適切に保つ役割があり、インプラント治療を最適な状態で迎えることができるよう導いてくれます。

傷口を保護し、細菌などから患部を守る

インプラント手術後、傷口は口腔内の細菌や外部の刺激にさらされやすい状態にあるため、刺激を避け、感染対策を徹底しなければなりません。

特に口腔内には多くの常在菌が存在し、これらが傷口に入ると感染症を引き起こすリスクがあります。さらには、歯ブラシが当たることや飲食物による熱さや冷たさが刺激になることもあるのです。

そこで仮歯は、患部を覆う蓋の役割を果たし、細菌感染から守るだけでなく、食事や歯磨きなどの日常生活での直接的な刺激からも保護する役割を果たします。これによりインプラントと顎骨の結合がスムーズに進むのです。

発音・滑舌への影響をなくす

歯は、食事や咀嚼だけでなく、発音にも重要な役割を果たしています。

歯がないことで、発音の際に空気が漏れることや舌の動きが制限され、滑舌が悪くなりがちになることも…。特に、サ行やタ行の発音に影響が出ることがほとんどです。

その点、仮歯を入れることで言葉が明瞭になり、話す際の不自由さを解消できます。これによりコミュニケーションがスムーズになり、日常生活の質が向上するでしょう。

顎の骨・歯茎の状態を安定させる

インプラント治療中に仮歯を使用することで、顎の骨や歯茎の状態を安定させることが可能です。

歯が長期間ない状態が続くと顎骨や歯茎が変形しやすく、結果として人工歯の装着に支障をきたすことがあります。しかし、仮歯を使用すれば、顎骨や歯茎に適切な圧力がかかり変形を防ぐと同時に、周囲の組織と調和した状態を保つことができるのです。

これにより、最終的な人工歯が正しく装着されるための理想的な土台が整います。

仮歯を入れるタイミングや期間

仮歯を入れるタイミングは、通常インプラント手術の当日、もしくは術後の抜糸の後に行われます。

手術直後に仮歯を装着するには、顎の骨の状態が良好であることや適切な噛み合わせが確保されていることが必要条件です。この方法を「即時負荷インプラント」と呼び、特に前歯の場合は審美性を考慮し、このタイミングで仮歯を装着することがほとんどです。

とはいえ、通常は手術後1週間から10日ほどで行われる抜糸後に仮歯を入れるケースが一般的。また、仮歯の装着期間は通常3〜6ヶ月程度です。この期間中にインプラント体が顎の骨や周囲の組織としっかりと結びつくことが期待されます。

ただし、仮歯の装着期間は患者様の口腔健康状態や選択した医療の方法によっても異なります。その期間は、骨密度やインプラント体の数、初期固定の強さなども影響を与える要因であり、インプラント治療中の待期期間である3~6ヶ月の間はインプラント体が安定する最も重要な期間とも言えます。

仮歯を入れる具体的なタイミングや期間については、担当の歯科医師に確認してみましょう。

仮歯を入れている期間の注意点

インプラント治療中に一時的に装着する仮歯は、インプラント体の安定性を確認し、上部構造(人工歯)が装着されるまでの仮のものです。この仮歯を入れる期間は、治療を正しくスムーズに進めるため、適切なケアが求められます。

ここでは、仮歯を入れている間に特に気をつけるべきポイントをご紹介します。

患部に刺激を与えないようにする

仮歯は一般的にレジンという歯科用プラスチックで作られており、特に硬いものを噛むと割れる可能性があります。強い刺激は避け、歯に負担をかけないような食事を心がけましょう。

また、歯磨きを行う際にも強く磨かず、優しくブラッシングすることが大切です。仮歯が外れやすくなるため、強い力をかけないよう注意しましょう。日常生活において常に仮歯に負担をかけすぎないよう心掛けてください。

硬い物や粘着性の高い食べ物は避ける

インプラント手術後すぐの時期は特に、柔らかい食品を選びましょう。硬い煎餅やスルメイカのような噛む力を要する食品だけでなく、ガムやキャラメルなどの粘着性のある食品も、仮歯を外れやすくするため避けるべきです。

これによって仮歯が外れることを防ぎ、歯やインプラントの健康を保つことができます。食事の際には仮歯への負担を考慮し、適切な選択を心がけましょう。

歯ブラシは優しく丁寧に行う

仮歯は長期間の使用を想定せずに装着されるため、日常のケアが重要です。特に歯磨きの際は、仮歯を強く磨くと思わぬ破損や脱離につながることがありますので、優しく丁寧にブラッシングしてください。

また、仮歯の周りに汚れや細菌が溜まると、周辺組織に炎症が起きる可能性があります。毎日のブラッシングで口内を清潔に保ち、インプラント周囲の健康を守りましょう。

仮歯を入れた状態で治療を中断しない

仮歯は一時的なものであり、最終的な人工歯を装着する前段階でしかありません。治療を中断すると、仮歯が経年劣化し、見た目も悪くなるだけでなく、機能的にも不完全な状態が続きます。

また、プラスチック製の仮歯は変色しやすく、さらには汚れがつきやすいことで口腔内の衛生面を悪くするため、長期間の使用には向いていません。不便がないからと途中で治療を放棄するのはNGです。

計画的に治療を進め、必ず人工歯を装着することでインプラント治療が完全に終了するようにしましょう。

仮歯が外れた・破損した際はすぐに歯科医院へ相談する

仮歯が外れたり破損した場合、できるだけ速やかに担当医へ相談して対処することが重要です。放置していると、歯並びの乱れやかみ合わせの変化、細菌感染といった問題に発展する恐れがあります。

また、仮歯にはインプラントや患部を保護する役割があるため、外れてしまうとあらゆるトラブルにつながりかねません。可能であればその日に、難しければできる限り早く歯科医院で診てもらい、適切な処置を受けましょう。

インプラント治療の仮歯に使われる材質の種類

インプラント治療において、仮歯には主に歯科用のプラスチックが用いられます。この材質はレジンとも呼ばれ、調整が容易なため、治療の進行に応じて形状やフィット感を調整するのに適しています。

仮歯は白い色合いで、周囲の歯と見た目が馴染みやすいというのが利点の一つ。ただし、プラスチックは耐久性に劣り、長期間使用すると変色や摩耗、割れが生じる可能性があります。このため仮歯はあくまで一時的なものとして、取り扱いに注意が必要であることを理解しておきましょう。

最終的な人工歯の材質は、セラミックや金属が一般的で、これらは審美性や耐久性に優れています。仮歯は、こうした最終的な人工歯を受け入れるための準備段階としての重要な役割を担っており、機能的かつ美しく治療が進むようサポートします。

インプラント治療中の仮歯の費用相場

インプラント治療中の仮歯の費用相場は素材や治療方針によって異なりますが、1本あたり5,000円~10,000程度が一般的です。保険が適用されるケースでは、さらに費用が安くなる場合もあります。

ただし、治療に必要な初診時の検査や、手術の内容、さらには使用される素材によっても費用は変動します。そのため、治療前のカウンセリングで総額とその内訳を確認しましょう。

早く仮歯を入れられる治療法

歯を失った場合に迅速に仮歯を装着するための治療法が注目されています。

特に、インプラント治療の進化により、仮歯をすぐに入れることができる方法があり、患者様の生活の質を早急に向上させることが可能になっています。ここではより早く仮歯を入れられる治療法をご紹介します。

オールオンフォー

オールオンフォーとは、全ての歯を失った場合に施される画期的なインプラント治療法です。通常のインプラントでは多くの支柱が必要ですが、オールオンフォーでは最小4本のインプラントで最大12本分の連結した人工歯を装着することができます。

この方法の最大の利点は、インプラント手術をしたその日のうちに仮歯を装着できること。これにより、患者様は治療当日からある程度の口の機能を回復でき、食事や日常生活をより快適に過ごすことができるのです。

この治療法は総入れ歯を装着している方や、多くの歯を失っている方に特に適しています。

即時荷重インプラント

即時荷重インプラントは、従来のインプラント治療よりも速やかに仮歯を装着することを可能にする方法です。通常はインプラント手術後に数か月の待機期間を設けますが、この治療法では、手術日と同日に仮歯を入れることが可能です。

その結果、手術後すぐに食事ができ、歯がない期間を最小限に抑えられます。ただし、この治療法を受けるためには、顎の骨の状態が良好であることや、インプラント治療に影響を及ぼす要因がないことが条件となります。

適用条件を満たす患者様にとっては、通院頻度が減るというメリットとなるでしょう。

「インプラント 仮歯」に関するよくある質問

最後に、インプラント治療中の仮歯に関するよくある質問をまとめました。今後インプラント治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

インプラント治療の仮歯は取れやすいですか?

インプラント治療の仮歯は、最終的な人工歯が入るまでの見た目や機能性を補うための一時的なもののため、取り外しが可能な状態で装着します。

これまでの生活に支障をきたすことはありませんが、強い力が加わったり、硬いものや粘着性のあるものを食べたりすると取れやすいため、仮歯の期間中は注意が必要です。

インプラント治療で仮歯を入れるタイミングはいつですか?

インプラント治療で仮歯を入れるタイミングは、通常インプラント手術を終えて、約1週間~10日前後に行われる抜糸の際に仮歯を入れることがほとんどです。

なお、インプラントの治療法や治療計画、歯科医院によっては、インプラント手術当日に仮歯を装着する場合もあります。患者様の口腔内の状態によってもタイミングが異なるため、まずは歯科医院に確認しましょう。

インプラントの仮歯の費用はいくらですか?

インプラントの仮歯に用いられる素材や歯科医院によっても異なりますが、費用相場は約5,000円~1万円程度が費用相場です。

インプラント治療は手術費用だけではなく、検査料や診断料、インプラント本体など、様々な内訳があり、治療後のトラブルにつながらないためにも、その内訳を把握しておくことが大切です。必ずインプラント治療を受ける前に、歯科医院へ費用について確認しましょう。

インプラントの仮歯を入れないこともありますか?

インプラントの埋入箇所や歯科医院によって異なりますが、中には仮歯を入れないという判断をする場合もあります。

特に、奥歯は見た目の影響が少なく、仮歯を入れることでかえって過度な力が加わり、インプラントと骨の結合を妨げてしまうことも考えられるため、仮歯を入れないことも選択肢のひとつです。

ただし、歯科医師によって仮歯を装着するかしないかは判断が異なるため、担当の歯科医師に事前に確認するとともに、その理由についても聞いてみましょう。

インプラントの仮歯期間は痛いですか?

インプラント手術直後は傷口が敏感なため、痛みを伴うことがあります。ただ、インプラントにおける仮歯は手術後の傷口を保護する役割も担っているため、むしろ仮歯を入れることで痛みを軽減することができます。

ただし、天然歯と同じように酷使してしまうと、傷口に炎症が起こり、痛みにつながることがあるのも事実です。そのため、仮歯期間中は硬いものや刺激のある食べ物は避け、仮歯に負担がかからないよう気をつけましょう。

インプラント治療のことなら高田歯科クリニックへご相談ください!

インプラント治療の歯がない期間は、見た目を損なうだけではなく、機能性や口腔内のトラブルに大きな影響を与えます。

仮歯はその歯がない期間を補うための一時的な装置ですが、インプラント治療を成功に導き、患者様が日常生活を快適に送れるよう重要な役割を果たしています。

インプラント治療を安心して受けられるよう、仮歯装着時の注意点を理解し、最終的な人工歯が入るまでは特に気をつけて過ごすようにしましょう。

インプラント治療を検討中の方やインプラント治療における仮歯について、疑問やご不安な点がありましたら、当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へお気軽にご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2025年1月7日