インプラントと差し歯の比較!違いは何?メリット・デメリットも紹介
インプラントと差し歯、どちらも歯を補う治療法ですが、その仕組みやメリット・デメリットは大きく異なります。
インプラントは人工の歯根を埋め込み、まるで本物の歯のような審美性と機能性に優れている治療法である一方、差し歯は比較的簡単かつ短期間の治療で歯の機能を取り戻すことができるものです。
本記事では、インプラントと差し歯の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。2つの治療法を深く知り、ご自分に合った治療法を見つけてみましょう。
– インプラントと差し歯の違い –
インプラント | 差し歯 | |
---|---|---|
治療対象者 | 歯根が失われた方 | 歯根が残っている方 |
治療期間 | 最短でも約3ヶ月~1年以上 | 通常1〜2ヶ月程度 |
寿命 | 約10~15年 | 保険適用の素材…5〜8年 保険適用外の素材…10〜20年 |
費用 | 約30万〜45万円 | 保険適用の素材…3,000円〜1万円 保険適用外の素材…10万円前後 |
メンテナンス | 定期的なメンテナンスやクリーニングが必要 | 定期的な口腔クリーニングが必要 |
審美性・見た目 | 審美性が高い 変色しにくい |
審美性に劣る 変色の恐れあり |
機能性・咬合力 | 天然歯と同じように食事を楽しめる 硬い食べ物も噛める |
過度に力がかかりすぎると根っこから破折する可能性あり |
使用感 | 天然歯同様の使用感 | 違和感はほとんどないが扱いには注意が必要 |
メリット | 自然な見た目、高い審美性 本物の歯と変わらない噛み心地 他の健康な歯を傷つけない、負担をかけない |
短期間で治療終了 保険適用で費用が安い 自分の歯根を使うため自然な感触や噛み心地あり |
デメリット | 自由診療のため高額 外科手術が必要で身体的負担が大きい 治療期間が長い |
審美性に劣る 経年劣化や変色あり 虫歯のリスクあり |
インプラントと差し歯の主な違い
インプラントと差し歯は、失った歯を補うための治療方法ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。以下の8つの要素に分けてその違いを見ていきましょう。
- 治療対象者
- 治療期間
- 寿命
- 費用
- メンテナンス
- 審美性・見た目
- 機能性・咬合力
- 使用感
インプラントと差し歯の違い①治療対象者
インプラントと差し歯の治療対象者は、「歯根があるかないか」によって明確に区別されます。
インプラントは、歯根が失われた方が対象となる治療方法です。顎の骨にインプラント体を埋入し、その上に歯の形を模した人工歯(上部構造)を装着します。
一方、差し歯は自分の歯根が残っている方が対象で、その歯根の上に人工歯を被せる治療法です。このように歯根の状態によって適切な治療法が変わります。
インプラントと差し歯の違い②治療期間
インプラントと差し歯の治療では、流れと期間にも違いがあります。
インプラント治療は、治療計画の立案から人工歯根の埋入まで多くの段階があり、全体で最短でも約3ヶ月~1年以上を要することがあります。顎の骨の状態による治療過程の難しさや、術後の回復期間が長期化の原因となります。
これに対して差し歯の治療は比較的短期間で完了し、通常1〜2ヶ月程度です。
インプラントと差し歯の違い③寿命
寿命に関しては、インプラントが長持ちする傾向があります。具体的には、インプラントの一般的な寿命は10~15年、20年以上使用されているケースも少なくありません。中には40年以上保てたケースもあります。
一方、差し歯の寿命は使われる素材にもよりますが、保険適用のものでは5〜8年、保険適用外のものでは10〜20年と幅広く変動します。
長期間の使用を考慮する場合はインプラントの方が安心感がありますが、どちらの治療法においても日々のメンテナンスが不可欠です。
インプラントと差し歯の違い④費用
インプラントと差し歯の「費用」についても大きな違いがあります。インプラントは基本的に保険適用外の自由診療となるため、歯1本あたりの費用は約30万〜45万円と高額です。
一方、差し歯は保険適用が可能で、患者様の負担は比較的低く、およそ3,000円〜1万円です。ただし、自由診療の差し歯を選ぶと約10万前後と費用が跳ね上がることもあるため注意が必要です。
インプラントと差し歯の違い⑤メンテナンス
インプラント治療後のメンテナンスは、長期間にわたって歯の健康を維持するために不可欠。それは、「インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)」の危険があるからです。
インプラント周囲炎の予防と早期発見のためにも、定期的なメンテナンスで状態を確認し、プロのクリーニングを行ってもらうことが重要です。
差し歯は、日常的な歯磨きでの清掃が可能ですが、やはり歯間の汚れが残りやすいため、こちらも歯科医院での定期的な口腔クリーニングが求められます。
インプラントと差し歯の違い⑥審美性・見た目
インプラントは、本物の歯と変わらない審美性に優れています。高品質なセラミック素材が多く用いられることで自然な仕上がりを実現し、長期間使用しても変色しにくい特徴もあります。
差し歯に関しても、保険適用外のものなら審美性に優れているものもありますが、保険適用の差し歯ではプラスチックが使用されるため、変色の恐れがあり、審美性が劣ることがあるでしょう。
インプラントと差し歯の違い⑦機能性・咬合力
インプラントは顎の骨にインプラント体を埋め込む治療法のため、安定性に優れており、天然歯と同じように食事を楽しむことができます。硬い食べ物でも問題なく噛むことができるでしょう。
一方、差し歯も天然歯とほとんど変わらない噛む力で同じように食事をすることはできます。ただし、インプラントと違って自分の歯根を土台として使用するため、過度に力がかかりすぎると根っこから破折する可能性があり、注意が必要です。
インプラントと差し歯の違い⑧使用感
インプラントは被せ物という感覚はほとんどなく、天然歯同様の使用感のため、快適に日常生活を送ることが可能です。差し歯も装着後の違和感はほとんどありませんが、インプラントに比べると安定性や噛む力が劣ります。
そのため、硬い物を食べたときや差し歯への力のかかり方によっては外れたり、割れてしまったりする可能性があるため、扱いには注意が必要です。
インプラント治療について
インプラント治療は、失った歯の部分に人工歯根を用いて補完する外科的治療です。通常の歯科治療よりも高額になることが多いですが、自然な噛み心地や見た目を実現できるため、多くの患者様から選ばれています。
ここからはインプラント治療の流れやメリット、デメリットについて詳しく説明します。
インプラント治療の特徴・流れ
インプラント治療は、まず初診でカウンセリングを行い、精密な検査を実施します。この検査で歯や骨の状態を確認し、治療計画を立てます。
続いてインプラント体を顎骨に埋め込む手術を行い、数ヶ月の定着期間を経てから人工歯を装着します。治療後は、インプラント周囲炎を防ぐための定期的なメンテナンスが必須です。手術を伴うほか、精密な治療が必要で通院回数も多くなることがあります。
インプラント治療に適した症状
インプラントは顎の骨にインプラント体を埋め込むことから、しっかり固定でき安定性を保つことができます。そのため、「入れ歯だとズレて食事や会話がしづらい」「入れ歯やブリッジだと硬い物が噛めない」といったお悩みを抱えていらっしゃる方におすすめです。
またインプラントは審美性にも優れているため、人と関わることが多い方や、口元のお悩みでコミュニケーションが億劫な方などにも最適な治療法と言えるでしょう。
インプラントのメリット
インプラントの最大のメリットは、その自然な見た目と噛み心地にあります。人工歯根がしっかりと固定されるため、入れ歯のようなズレがなく、硬い食べ物でもしっかり噛むことができます。
また、ブリッジなどの他の治療のように、健康な歯を犠牲にすることなく独立して治療が行えるため、周囲の歯に負荷をかけません。その結果、口腔内全体の健康を保ちやすく、物理的・心理的な満足感も高まるでしょう。
インプラントのデメリット
一方で、インプラント治療にはいくつかのデメリットも存在します。まず、治療費が高額になるため、経済的な負担が大きいことです。保険適用外の自由診療であるため、全額負担が必要です。
また、治療期間が長いことも懸念材料で、3ヶ月から1年以上かかることがあります。さらに、手術を伴う治療のため身体的な負担も無視できません。治療後のメンテナンスも重要で、怠るとインプラント周囲炎のリスクがあります。
差し歯治療について
差し歯治療は、失った歯冠を補うために、自分の天然の歯根を利用して行う治療方法です。
ここからは差し歯治療の流れやメリット、デメリットについて詳しく説明します。
差し歯治療の特徴・流れ
差し歯治療の流れは、初めに診断や精密検査を行い、患者様の口腔状態を確認します。虫歯の治療が必要な場合は先に処置を行い、その後に根管治療を進めます。
この治療では歯の神経を取り除き、根管を清掃・消毒した後、土台となる部分を設置します。土台の安定性が確認されたら、歯に似た人工の被せ物を製作して装着。最終調整を経てフィッティングが良ければ治療は終了です。
その後も定期検診を行い、長期的な歯の健康を保つことが求められます。
差し歯治療に適した症状
差し歯治療は、本人の歯根がしっかりと残っている場合に適しています。歯根が健全であれば、差し歯によって失われた歯冠を補修し、機能を回復させやすくなります。
また、虫歯になりにくい体質で、歯根の健康を長期にわたり維持できる状態であることも、差し歯が適した条件となります。生活習慣や食事のリズムも考慮し、虫歯のリスクを少なく抑えられる人に向いている方法です。
差し歯のメリット
差し歯の大きなメリットには、治療のスピードと費用面が挙げられます。差し歯治療は外科手術を伴わないため、インプラントと比べると短期間で完了します。
また、保険適用が可能なため費用負担も軽減されます。さらに、残された天然の歯根を利用するため、歯周組織の自然な感触や噛み心地を維持しやすいのも特徴です。素材選択の面でも公的保険の範囲である銀歯や硬質レジンなどが使用できます。
差し歯のデメリット
差し歯にはいくつかのデメリットも存在します。まず、保険適用の素材を選択した場合、審美性に劣ることがあるということです。特に人の目につきやすい前歯の場合、見た目を気にする方は多いでしょう。
また、使用している素材によっては、時間の経過とともに変色や劣化が見られることがあります。さらに、治療後の歯根が再び虫歯になるリスクもあります。
インプラント?差し歯?最適な治療法を選ぶ際の大事なポイント
インプラント治療と差し歯治療の違いについて解説してきた通り、2つの治療法はそれぞれ異なる特徴を持っています。
ここからは、インプラントか差し歯か、自分にとって最適な治療法を選ぶ際の大事なポイントについてご紹介します。
事前のカウンセリング
インプラントにするか、差し歯にするか、どちらにしても事前のカウンセリングが大切です。
患者様の口腔内の状態やご要望を考慮した上で治療を進めていくのが大前提となるため、まずは患者様から直接お話をお伺いし、持病や服用している薬の確認を行います。
患者様の口腔内の状態やご希望を十分に理解することで、最適な治療プランを立てることが可能です。
また、治療内容やその流れ、注意事項、疑問点などについて詳しく説明してくれるかどうかは信頼できる歯科医院選びにおいても重要なポイントです。インプラントに限らず、代替案として他の治療方法も提案できるところが理想的と言えます。
口腔内の状態のチェック
インプラントにしたいか、差し歯にしたいか、患者様のご希望が明確だったとしても、口腔内の状態によってはどちらが適しているか分かりません。もしかすると治療法が限られる場合もあります。そのため、口腔内の状態のチェックも必要です。
特にインプラントは外科手術を伴うため、骨が少ない方などは治療が難しいケースがあります。その他にも、長持ちさせるためにもともとの噛み合わせを考慮したり、食いしばり、歯ぎしりがないかなどをチェックしたりする必要があります。
また、差し歯治療は歯根が残っていることが条件ですが、歯根の状態によっては抜歯になる可能性もあるため、レントゲンやCT撮影を用いての口腔内チェックが必須となるでしょう。
歯科医院・医師の治療実績や経験
治療を受ける際には、歯科医院に在籍する歯科医師がどの程度の実績と経験、技術を持っているかも重要です。
特にインプラント治療は高度な技術を要するため、埋入の実績が豊富で、必要な設備が整っている医院を選ぶべきです。リスクの低減や治療成果を最大限に引き出すためには、医師の経験と最新の設備による診断と治療が欠かせません。
治療実績が豊富な歯科医院を選ぶことで、不安や疑問に対する適切な対応も期待できるでしょう。
インプラントか差し歯か、最適な治療法は歯科医院で相談!
自分に最適な治療法を見つけるためには、何より専門の歯科医師との相談が不可欠です。
インプラントか差し歯かの選択は、ご自身のお口の状態のほか、多くの要素に左右されます。治療法それぞれのメリット・デメリットをよく理解したうえで、自分に合った治療法を選びましょう。
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カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年8月30日