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院長 高田 徹

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インプラント除去が必要となる原因や除去にかかる費用を徹底解説

歯を失った部分において噛む機能を回復させるためには、入れ歯やブリッジ、インプラントといった治療方法を用いられるのが一般的です。

その中でもインプラントは、入れ歯やブリッジと比較して装着感が少なく、天然歯と遜色ない審美性、強く噛むことができる機能性において非常に優れた治療方法と言えます。

しかし、インプラント治療後に「インプラントがぐらぐらする」、「痛みや違和感がある」といった場合は、残念ながらインプラントを除去しなければいけない可能性があります。

本記事では、インプラント除去が必要となる原因や除去にかかる費用、除去後の再治療などについて解説していきます。

-この記事でわかること-
  • インプラント除去が必要となる原因は、【①手術後の神経麻痺 ②上顎洞の外傷 ③手術後の細菌感染 ④インプラント周囲炎 ⑤インプラント体の破損 ⑥周辺組織の損傷 ⑦噛み合わせや見た目の悪さ ⑧金属アレルギー】
  • インプラント除去にかかる費用は、「保険適用で自己負担1,400円程度(他の処置があれば上乗せ)」、「保険適用無の場合は歯科医院ごとに異なる、もしくは保証制度があれば無料」

本記事内でより詳しくご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

インプラント除去を余儀なくされる原因とは

せっかくインプラントを入れたのに、インプラント除去をしなければならなくなるのはなぜでしょうか。まずはその原因からみていきます。

手術後の神経麻痺

顔周りには数多くの神経があり、下顎の骨の内部には「下歯槽神経(かしそうしんけい)」という神経が通っています。インプラントの埋入時に、この下歯槽神経を傷つけてしまうと、下顎の歯肉や下唇が麻痺する可能性があるのです。

細心の注意を払って手術が行われますが、万が一神経を損傷して痺れや麻痺の症状が現れた場合、数日経過しても症状が残る場合は、神経を修復する治療もしくはインプラントを除去する必要があります。

インプラントを取り除いたあと、症状がなくなった後は短いインプラントに交換する、またはインプラント体を埋め込む位置を変えて再手術するなどの処置が行われるのが一般的です。

上顎洞の外傷

鼻の横には「上顎洞」という骨の空洞部分(副鼻腔)があります。上の歯のインプラント治療を行う場合は、インプラント体が上顎洞に触れたり突き抜けたりしないように治療を進めなければなりません。

もしインプラントの埋入時に、この部分に干渉したり、上顎洞を突き抜けたりすると「上顎洞炎」を発症する可能性があります。頭痛や鼻づまり、目の奥に違和感が出る、歯や顎の骨の痛みが出るなどの症状が現れてしまうのです。

万が一、インプラント治療後に上顎洞炎を発症した場合は、インプラントを撤去して適切な治療を受けなければならなくなります。

手術後の細菌感染

インプラント手術時に細菌感染が起こると、激しい痛みや腫れがその後も続いたり、膿が出たりすることもあります。

また、インプラントを入れた場所に細菌が感染すると、炎症によって骨とインプラントの結合が妨げられ、インプラントが定着せずに治療が失敗してしまう場合もあるのです。

細菌感染による痛みや膿などの症状が強く出た場合やインプラント体と顎の骨が結合しない場合は、インプラントの除去が必要になるでしょう。

インプラント周囲炎

インプラントの周囲の歯茎に歯周病菌による炎症が起こると、歯周病に似た症状が現れます。これをインプラント周囲炎と言います。

インプラント周囲炎を発症すると、インプラント体の周囲組織の炎症に加えて、インプラント体を支える顎の骨が減少する骨吸収も起こります。

最初は軽い炎症ですが、徐々に炎症が強くなり、腫れや出血といった症状も出現。さらに重度まで進行すると、歯茎が下がって歯根部が露出したり、歯槽骨の吸収が起こってインプラントがぐらついたりするなどの症状が現れます。

そのような状態になると、インプラントの除去を選択肢として考えなければならなくなるでしょう。

インプラント体の破損

インプラントは、顎の骨に埋入するインプラント体とアバットメント、上部構造(人工歯)で構成されます。

もし、アバットメントや上部構造が破損した場合は、これらを修理・交換することで対処できるケースが多いでしょう。しかし、インプラント体が破損した場合は修理するのが難しく、除去しなければなりません。

インプラント体には、チタンなどの耐久性がある金属が使用されています。しかし、長期間使用することによる経年劣化やインプラント体の品質の低さ、過度な負荷(噛み合わせの不具合や、歯ぎしりなどによる強い衝撃)がかかることで破損するリスクがあります。

インプラントが破損したまま放置すると、インプラント周囲炎や咬合不良などのリスクがあるため、インプラントを除去しなければなりません。

周辺組織の損傷

代表的な例として挙げられるのが、歯根部と下顎管の距離が近くなってしまうケースや歯根部が下顎管にあたってしまうケースです。

下顎管には下顎神経が通っているため、インプラントを埋め込む位置や角度などが不適切だと、痛み・しびれ・麻痺などの症状が現れることがあります。症状が重い場合は、インプラントをすぐに撤去しなければいけないかもしれません。

噛み合わせや見た目の悪さ

噛み合わせが悪いとインプラントの寿命を縮めてしまったり、人工歯の破損や一部の天然歯に過度に負担をかけてしまったりすることがあります。

そのため、基本的な対処としては人工歯の高さの調整を行います。もし高さを調整しても噛み合わせが改善されない場合は、インプラントを除去しなければなりません。

また、インプラントを入れたものの「出っ歯に見える」「歯が長く見える」など見た目の問題が生じた場合に、インプラントを除去して再治療を行なうケースもあります。

金属アレルギー

インプラントには主に、人体と馴染みやすいチタンという金属が用いられています。

チタンは金属アレルギーが起きにくい素材ですが、ごく稀にアレルギー反応が出ることがあり、チタンが原因と確認された場合はインプラントの除去が必要です。

金属アレルギーを発症すると、アレルギー性口内炎、扁平苔癬などの症状が現れます。

インプラントを除去する方法(手順)

インプラントを除去する際には、インプラント手術時と同様に局所麻酔をして外科的手術を行うのが一般的です。そのため、ある程度身体的な負担がかかりますが、局所麻酔後に手術をするため、手術中は痛みを感じることはほとんどありません。

また、インプラントを撤去する方法は、骨がある程度残っている場合と骨の減少が進んでいる場合で異なります。

インプラント周囲の骨がある程度残っている場合は、インプラント埋入時と同様に器具を使用して、周りの骨を削って除去します。

一方、すでにインプラントがグラグラしているなど、骨吸収が進んで骨がほとんど残っていないケースであれば、多少の骨を削るもしくは、骨を削らずに撤去することができます。

インプラント除去にかかる費用

ここでは、インプラント除去にかかる費用について解説します。

保険診療が適用される場合

保険診療でインプラント除去を行うには、インプラントを埋入した歯科医院とは別の歯科医院で治療を受ける必要があります。さらに、摘出前のレントゲン画像を撮影しておかなければなりません。

これらの条件が揃えば、「歯科用インプラント摘出術」という保険適用内の治療が受けられるのです。

一般的なインプラント体の除去は、1本あたり保険点数4,600円。保険診療(3割負担)の場合、1,400円の費用(自己負担額)がかかると思ってください。

また、除去の際に骨を削った場合は、「骨開削加算」としてインプラントの除去にかかる費用の50%が治療費に上乗せされます。

保険診療が適用されない(自由診療)場合

インプラント手術を受けた歯科医院でインプラントを抜く場合は、全額自己負担で治療を受けなければなりません。また、自由診療のため歯科医院ごとに治療費が異なります。

歯科医院によっては、保証制度を設けているところもあります。条件を満たせば無償でインプラント除去手術を受けられる場合もあるため、まずは保証内容や条件をよく確認してみてください。

インプラント除去後の再手術

ここからは、インプラントを除去したあとのことをお話ししていきます。まずは、インプラント除去後の再手術についてご紹介します。

再手術ができるケース

再度インプラント手術ができる条件は、主に以下の2つが挙げられます。

  • 除去した原因が解消できていること
  •  例1)インプラント周囲炎であれば、細菌感染部の除去や炎症の改善
     例2)神経損傷であれば、知覚改善
     例3)金属アレルギーであれば、金属を使用しないインプラント体を使用しての再手術

  • 除去したインプラントの周囲に骨がしっかりと残っていること

再手術ができないケース

基本的に、インプラントを除去した原因が改善できていなければ再手術はできません。

具体的には、以下の通りです。

  • 除去したインプラントの周囲の骨が溶けて薄くなっている
  • 炎症が治まっていない
  • 歯ぎしりや食いしばり癖がある
  • 喫煙している(喫煙者=再手術不可というわけではありませんが、喫煙を続けることで骨とインプラントの結合がうまくいかず失敗する、または再度除去が必要になる可能性が高いです。)

なお、顎の骨量が不十分な場合でも、骨を補う「骨造成」を行い、骨量が増えてからであれば再手術は可能なケースがほとんどです。

インプラントを除去したあとに採用される治療法

インプラントを除去したあと、再度インプラントを入れるのが難しいと判断された場合にはどのような治療法があるのでしょうか。よく採用される2つの治療法をご紹介します。

ブリッジ

ブリッジは、歯を失った部分の両隣の歯を削り、それを土台にして一体型の被せ物を装着する治療法です。歯を削るだけなので手術せずに済みます。

ただし、両隣の健康な歯を削るため負担が大きく歯の寿命が短くなりやすい点がデメリットです。

一方、保険適用であれば費用が安い、短期間で治療を終えられる、噛む力を回復できる、入れ歯よりも見た目が自然という点は大きなメリットと言えるでしょう。

入れ歯

入れ歯は、歯がなくなった部分の歯と歯茎の形を作って補う、取り外しが出来る装置です。入れ歯には、一部の失った場所だけを補う部分入れ歯と、すべての歯を失った場合に使用する総入れ歯があります。

入れ歯はインプラントと比べると咀嚼力が弱く、ズレや違和感が出やすい、審美性に劣る、食事後に外して洗ったり夜に洗浄液につけておいたりとメンテナンスの手間がかかるという点がデメリットとして挙げられます。

その代わり、保険適用で費用が安い、治療期間が短い、ブリッジと違って健康な歯を削る必要がないといったメリットがあります。

インプラントを除去しなくて済むようにやるべきこと・気をつけること

最後に、インプラントを除去しなくて済むように患者様ご自身でできること、気を付けることをご紹介します。

毎食後の歯磨きを徹底する

インプラントの清掃がきちんと行われていなければ、インプラント周囲炎が起こります。予防するためには、日々のメンテナンスが必要不可欠です。

日々の歯磨きを徹底するとともに、デンタルフロスや歯間ブラシなどのプラスケアをすることで磨き残しを減らしましょう。

歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける

インプラントを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスを受けることがインプラントの保証制度の適用条件となっている歯科医院も多くあります。

メンテナンスでは、主に歯周病検査や歯のクリーニング、歯石取り等を行います。これによりインプラント周囲炎にならないよう予防が可能です。

インプラント歯周炎の初期段階は痛みなどの自覚症状がないケースが多いため、自分では気付きにくいという特徴があります。だからこそ、歯科医院での定期的なメンテナンスで異常がないかチェックしてもらい、早期発見・早期対処が大切です。

禁煙する

喫煙を続けていれば、インプラント歯周炎になる可能性が高まります。

また、タバコに含まれるニコチンは血流を悪くし、インプラントを支える歯茎や骨に必要な栄養が行き渡らず、インプラントのぐらつきを招くこともあるでしょう。インプラントの除去を防ぐためにもできる限り禁煙しましょう。

歯ぎしりや食いしばりなどの癖を改善する

歯ぎしりや食いしばりなどの癖は、インプラントに過度の負担をかけてしまいます。また、それによりインプラント埋入部分の骨吸収が起こる可能性が高くなるのです。インプラントの除去を避けるためにも、歯ぎしりや食いしばりの癖を改善しましょう。

歯ぎしりの負荷を軽減し歯を守る「ナイトガード」などもあります。意識してもなかなか改善できない場合には、一度歯科医院で相談してみるのもいいかもしれません。

信頼できる歯科医院を見つける

インプラント治療は、虫歯や歯周病治療などに比べると非常に専門性が高い治療となるため、誰でも簡単にできる治療ではありません。

インプラント治療は担当する歯科医師によっても差が出る治療法であるため、治療の失敗や不具合を防ぐためには適切な歯科医院選びが必要になります。

  • カウンセリングが丁寧か
  • 事前説明が徹底しているか
  • インプラント治療の実績が豊富か
  • 設備が整っているか
  • 口腔内の治療に精通しているか

上記のポイントに着目し、信頼できる歯科医院を選びましょう。

インプラントを除去しないために信頼できる歯科医院選びを!

せっかくインプラントを入れたのに除去しなければならないとなると、患者様の心理的・身体的負担が大きくなってしまうかもしれません。

しかし、除去しなければならない状態で放っておけば、他の治療法でも補えないほど悪化してしまうケースもあります。異常を感じたらできる限り早く歯科医院を受診しましょう。

何よりインプラント除去を避けるためにも、ご自宅での徹底的なセルフケアを心がけるとともに、信頼できる歯科医院を選んでくださいね。

インプラントがグラグラするなどの異常を感じている方、インプラント治療で気になることや不安がある方は、ぜひ一度「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年7月3日