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院長 高田 徹

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インプラントが失敗したらやり直しはできる?できないケースや費用も紹介

インプラントは歯を失ってしまった場合の治療の一つとして優れていますが、失敗例があることも事実です。

本記事ではインプラント治療が失敗する原因ややり直しが必要なケース・できないケース、また費用についてもご紹介していきます。

-この記事でわかること-
  • インプラントが失敗したらやり直し(再治療)はできるが、できないケースもあり
  • 再治療ができないケースは【①顎の骨が少ない・薄い ②ヘビースモーカー ③健康状態に問題あり】
  • インプラントのやり直しが必要なケースは【①ぐらつきがある ②人工歯のトラブル(脱落・破損など) ③術後長期間の痛みや腫れ ④インプラント周囲炎 ⑤噛み合わせの悪化 ⑥金属アレルギー】
  • インプラント再治療にかかる費用は、状態や必要な処置によって異なる

インプラントが失敗してしまう原因とは

はじめにインプラント治療が失敗してしまう原因をみていきます。

治療前の検査・計画が不十分

インプラント治療が失敗してしまう原因として、治療前の検査・計画が不十分だったケースが挙げられます。

噛み合わせや神経、骨の状態など一人ひとりによって状態が異なるため、個人の状態を正確に把握し、治療計画を行うことがインプラントを成功させるためには必要不可欠です。

また、不十分な診断では噛み合わせがズレたり、手術後に神経や血管を傷つけてしまったり、血圧や心拍の異常や出血などのリスクが高まったりと、インプラントの失敗や重大なトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。

そのため、口腔内の状態だけでなく、持病がある、薬を服用している、病歴がないか等も確認されるのが一般的です。

適切に埋入されておらずインプラントが固定できていない

通常であれば埋入したインプラントがしっかりと顎の骨と結合するはずですが、適切に埋入されておらず、ぐらついたり脱落したりすることがあります。

インプラントは顎の骨と結合することで固定され、しっかり噛めるようになりますが、インプラントを埋め込む位置や角度、深さが適切でないと骨と結合せずに不安定になってしまうのです。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲組織が歯周病に感染している状態のことです。インプラント手術後にインプラント周囲炎になると、人工歯を固定している骨に悪影響を与えてしまい、最終的にはインプラントが脱落する可能性があります。

インプラント周囲炎は、主に自宅でのセルフケア不足や歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ってしまうことが原因で引き起こされます。

治療を行う環境の感染対策が不十分

インプラントは外科手術が必要になるため、徹底した衛生管理が必要です。

手術室や手術器具が不衛生だと最近感染が起こりやすくなり、炎症や強い痛みなどが起きてしまうリスクがあります。また、それにより手術がやり直しになるケースがあるのです。

嚙み合わせの調整が不適切

嚙み合わせが適切でなければ、特定の歯に負担をかけたり、人工歯が破損したりしてしまいます。また、歯ぎしりなどの癖による負担も大きいため、人工歯が破損してしまう原因の一つとなるでしょう。

加えて、噛み合わせが適切でないことで、細菌感染のリスクも高まります。前述したインプラント周囲炎などにかかりやすく、結果としてインプラントが脱落して失敗するケースがあります。

メンテナンス不足

たとえインプラント治療が成功しても、治療後のメンテナンスを怠ってしまうと、トラブル発生の確率が上がります。

治療後のメンテナンスがインプラントの成功を左右すると言っても過言ではありません。

インプラントのやり直し(再治療)が必要なケース

ここでは、インプラントのやり直し(再治療)が必要となるケースをご紹介します。

インプラントが骨に結合せずぐらつきがある

埋め込んだインプラント体が骨と結合することにより、人工歯をしっかり支えられるようになります。しかし、何らかの理由でうまく結合していない場合、インプラントがぐらついたり、抜け落ちたりする可能性があるのです。

この場合、インプラント治療のやり直しが必要となります。

人工歯のトラブル(脱落・破損など)

インプラントの寿命は10~15年程度と長く、適切にメンテナンス長期間使用することができます。しかし、寿命を迎える随分前に人工歯(被せ物)が外れたり、破損してしまったりする失敗も稀に起こっているのが現状です。

この場合、周囲の状態に合わせて、インプラントの再治療や噛み合わせの調整、アバットメントの締め付けなど、必要な治療がおこなわれます。

手術後に痛みや腫れの症状が長期間続く

インプラント手術後の痛みや腫れは、術後1週間程度で治まるのが通常です。

もし2~3週間にわたって痺れや腫れ、痛みが続くようであれば、何かしらトラブルが起きている可能性があり、場合によってやり直しとなるケースがあります。

症状が長引いている場合は早めに歯科医院を受診しましょう。

インプラント周囲炎への感染

「インプラント周囲炎」とは、インプラント手術後に起こるインプラントの歯周病のようなものです。

初期は軽い炎症が起きて歯茎から出血がある程度ですが、進行すると骨を溶かすため、インプラントを支えられなくなり、抜け落ちてしまいます。

骨や周囲組織の状態によってやり直しできるケースもあるかもしれませんが、インプラント脱落するほど骨が溶けている場合には、新しいインプラントも当然うまく結合できません。そのため、再治療が難しい場合もあるでしょう。

噛み合わせが悪化した

インプラントを埋め込んだことにより、他の歯とのバランスが崩れて噛み合わせが悪化し、正常に噛むことが困難になる場合があります。

インプラント治療において噛み合わせが悪化する理由はさまざまですが、噛み合わせが悪いと顎関節症などを引き起こし、頭痛や肩こりなどの全身的な症状を招く可能性もあるため、再治療が必要になることもあります。

金属アレルギーを発症した

インプラント治療では、金属材料が使われます。治療時点では金属アレルギーの症状がなくても、長期間金属を体内に入れていたことで、金属アレルギーを発症することがあるのも事実です。

金属アレルギーの場合、金属が身体に触れている限り症状は治まらないため、原因になっているインプラント体を取り除く必要があります。

インプラントのやり直しができないor難しいケース

ここからは、インプラントのやり直しができないもしくは難しいケースについてみていきます。

インプラントを固定するために必要な顎の骨が少ない・薄い場合

インプラントは顎の骨を土台とする治療法です。インプラントを埋入する部分の骨の厚み・量が不足している方は、インプラントを固定できない可能性があるため、インプラント治療に適していません。

ただし、顎の骨が不足している方でも、骨を増やす「骨造成」という手術を受けることでインプラント治療ができるケースもあります。その場合、手術による身体の負担があること、骨ができるまで時間がかかること、金銭的負担が大きいといったデメリットがあることは押さえておきましょう。

ヘビースモーカーの場合

喫煙者やタバコを吸う量が多いヘビースモーカーは、インプラント治療に失敗するリスクが高いため、再治療ができないケースがあります。

タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があるため、血流が悪くなり免疫力が低下します。その結果、インプラント手術後の傷口の治りが悪くなって感染を起こしたり、インプラントと骨の結合にトラブルが起きたりする可能性があるのです。

再治療の条件として禁煙が必要な場合が多いため、インプラント治療をする段階で、禁煙をしておくのが望ましいでしょう。

健康状態に問題がある場合

糖尿病・高血圧などの生活習慣病や、腎臓病や肝臓病などの持病がある場合、インプラントのやり直しができない可能性があります。

理由は、服用中の薬の作用によって手術に悪影響が出る、免疫力の低下により細菌感染しやすいといったリスクがあるからです。

しかし、症状によっては医師の判断で再治療が可能になることもあるため、まずは歯科医師に相談しましょう。

インプラントをやり直す方法

ここからはインプラントをやり直す際の方法についてみていきます。

インプラントの除去(撤去)が必要な場合

インプラント周囲炎、インプラント体の破損、インプラント体の体内への迷入、神経麻痺、金属アレルギーなどの場合は、まずインプラントの除去(撤去)が必要です。

インプラントの除去を行った後、顎の骨の状態によっては骨を補う骨造成を行う必要があります。その後、傷口が治癒し、骨が再生したらインプラントの再治療を行います。

インプラントをしたまま治療できる場合

状態にもよりますが、例えば以下のような場合は、インプラントを除去することなく、炎症を抑える処置や調整などで対処できる可能性が高いでしょう。

  • インプラント周囲炎の治療
  • インプラントのネジの締め直し
  • 人工歯の作り替え、噛み合わせの調整

インプラントのやり直しにかかる費用

ここからは、インプラントのやり直しにかかる費用を解説していきます。

インプラントの除去費用

インプラント治療をはじめて行った際、患者様の負担を軽減するための「インプラントの保証」があります。歯科医院によって保証期間や保証条件は異なりますが、保証期間内であれば無償もしくは、無償に近い費用で再治療できるのが一般的です。

ただし、保証を受けるには「定期メンテナンスを受けている」などの条件が設けられている医院がほとんどです。トラブル時に慌てないよう、書面などで確認しておくことをおすすめします。

関連記事:インプラントの保証期間は何年?受けられる条件や適用されないケースに注意!

骨造成にかかる費用

再治療を行う際、骨が薄い・十分な量がない場合には骨造成という骨をつくる治療が必要となる場合があります。

骨造成にはさまざまな方法があり、その種類によってかかる費用は大きく変わります。

【主な治療法と費用】

  • ソケットリフト…30,000~100,000円程度
  • サイナスリフト…150,000~300,000円程度
  • GBR法…30,000~150,000円程度

ただし、口内の状態などによって費用は変動するため、実際にかかる費用は歯科医院を受診して確認しましょう。

新たにインプラントを作る・入れ直す費用

新たにインプラントを入れ直す場合も一般的には、保証期間内のやり直しなら費用を大幅に抑えられるでしょう。

ただし、保証の期限が過ぎている場合や保証を受ける条件を満たしていない場合は、全額自費になる可能性が高いです。

インプラント治療を受けた歯科医院とは異なる歯科医院で受けたインプラント治療のやり直しの場合は、保証期間であっても通常通りの費用(1本40万円程度)がかかることもあります。

手術を受けた歯科医院であれば保証で再治療が可能

インプラントが破損したり、抜け落ちたりした場合、保証の範囲で再治療を受けられる可能性が高いです。歯科医院によって対応は異なりますが、一般的に保証期間内のやり直しであれば費用はかかりません。

ただし、たとえば、定期的なメンテナンスを受けていない、ブラッシングなどのセルフケアを怠っていた、禁煙していないなど、患者様側に失敗の原因があれば、再治療が自己負担となるでしょう。

別の歯科医院でやり直すこともできる

別の歯科医院にかかることも可能ですが、インプラントを再治療するのは簡単なことではありません。一度失敗したことによって、骨の吸収が起こって痩せてしまっていたり、歯肉が委縮してしまったりするからです。

また、他の歯科医院では同じインプラントを取り扱っていない可能性やメーカーごとにインプラントの形状や大きさが違うため、埋め込むための道具も異なる場合があります。

他の歯科医院でやり直す場合には、大学病院やインプラント治療の経験が豊富な歯科医院など、技術力が確かな歯科医院を選びましょう。

場合によっては返金対応をしてもらえることも

インプラント失敗の原因が歯科医院側にあり、かつその歯科医院で治療のやり直しをしない場合は、インプラント治療費の返金を依頼することが可能です。

ただし、インプラントの失敗の原因や症例によっては返金が難しい場合もあり、必ずしも返金してもらえるとは限りません。

患者様が守らなければならないルール・条件を満たしているにも関わらず、その上でインプラントの不具合が起きている場合は、まずは歯科医院に相談してみましょう。

インプラント治療が失敗した際の相談先

インプラント治療がもし失敗したら、どこに相談すべきでしょうか。ここからは主な相談先をご紹介します。

インプラント手術を受けた歯科医院に相談する

まずはインプラント手術を受けた歯科医院に相談しましょう。ただし、インプラント失敗後の対応は歯科医院によって異なります。

相談して無償で治療をしてもらえるのであれば問題ありませんが、追加で費用がかかったり、治療を拒否されたりした場合には、別の歯科医院に相談してみるのもよいでしょう。

セカンドオピニオンも検討

治療を受けた歯科医院に相談しても納得のいく回答が得られない、そもそも相談する気持ちになれないという場合は、他の歯科医院に相談するのも選択肢の1つです。

ただ、失敗したインプラントを再治療するのは簡単なことではありません。そのため、大学病院やインプラントの再治療を多く手がけている歯科医院など、技術力が確かな歯科医院に行くことがおすすめです。

難しい症例など、さまざまなケースを経験している歯科医師に対応してもらうことで、適した診断と治療が期待できます。

その他の相談先

そのほか、「日本歯科医師会」「弁護士」「消費者センター」などにも相談可能です。

インプラントの失敗を防ぐためにできること

最後に、インプラントの失敗を防ぐため患者様側でできることをご紹介していきます。インプラントを長持ちし快適に過ごすためにも、以下のポイントを心がけましょう。

歯磨きなどセルフケアを怠らない

インプラントは人工歯と比べ、パーツの細かい部分に汚れがたまりやすい傾向にあります。インプラント周囲の組織が細菌感染を起こしインプラント周囲炎になると、インプラントがぐらついたり脱落したりして失敗するリスクが高まります。

そうならないためにも、日頃から念入りにブラッシングすることが重要です。また、デンタルフロスや歯間ブラシなども併用しましょう。

歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける

歯科医院での定期的なメンテナンスは絶対に欠かせません。定期メンテナンスで、専門のクリーニングをしてもらい清潔な状態を保てば、歯周病菌の増殖を防ぎ、インプラント周囲炎のリスクを軽減できます。

また、インプラント周囲炎やアバットメントの緩み、破損などのトラブルの早期発見により、再治療も予防することができるでしょう。

インプラントだけでなく、お口全体の健康を保つためにも定期的にメンテナンスを受けましょう。

生活習慣を整える・歯ぎしりや食いしばりを改善する

健康的な生活習慣、また、歯ぎしりや食いしばりの癖にも注意が必要です。歯ぎしりや食いしばりの癖があると、歯や顎の関節に大きな負担がかかります。

その結果、インプラントが破損したり、脱落したりする恐れがあり、再治療が必要になることがあるのです。

癖がある方は、就寝中にナイトガードというマウスピースを装着することで歯にかかる力を軽減できるため、一度歯科医院に相談するのも良いかもしれません。

禁煙する

タバコはインプラント周囲炎にかかるリスクが高まるだけでなく、血液が十分に行き届かなくなり免疫力が低下します。

その結果、傷の治りが悪くなり感染を起こしたり、インプラントと骨が結合しなかったりするなどのトラブルが発生する可能性が高まってしまうのです。そのため、インプラント治療を行う際は「禁煙」をするのが望ましいでしょう。

実績のある歯科医院を選ぶ

インプラント治療は専門性が高く高度な技術が必要であることから、歯科医師のスキルによって成功率が大きく異なります。歯科医院を選ぶ際には、次のような点を重視しましょう。

  • カウンセリングが丁寧
  • 設備が整っている
  • インプラント体など使用する材料の質
  • インプラント専門医認定を取得している
  • インプラント治療の症例実績が多い
  • 衛生管理を徹底している
  • 保証が充実している
  • 料金体系がわかりやすい

まずはインプラントのやり直しを防ぐことからはじめましょう!

もしインプラントに失敗してもほとんどのケースで再治療ができますが、失敗ややり直し(再治療)を未然に防ぐためにも、まずは信頼できる歯科医院を選びましょう!

当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」は、インプラント症例数年間850件を超える実績と確かな技術、また最新の機械や設備を完備しております。

失敗しないための綿密な治療計画から、高度な手術、術後のメンテナンスまで一貫して対応しております。

インプラントに異変を感じている方、やり直しを検討されている方、またインプラント治療に迷いがある方はぜひ一度当院へご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年7月3日