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院長 高田 徹

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インプラントで老後が悲惨に?老後のメリット・デメリットを解説

老後における歯の健康は人生を大きく左右します。特に歯を失った際の治療法として近年「インプラント」が注目されていますが、費用やリスクについて不安に思う方も多いでしょう。

そこで本記事では、老後のインプラント治療のメリット・デメリットを詳しく解説します。老後の生活の質を考える上で、歯の健康状態を維持するための情報は知って損なし。ぜひ最後までご覧ください。

– 老後のインプラント治療のメリット –
  • しっかり噛めるため食事を楽しめる
  • 若々しい見た目を維持できる
  • 会話も不自由なく楽しめる
  • 健康な他の歯を守れる
  • 入れ歯と違って管理がしやすい
  • 認知症のリスクを軽減できる
  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の防止につながる
– 老後のインプラント治療のデメリット –
  • 外科手術に耐えられる体力が必要
  • 身体的な負担が大きい・持病のリスクが高まる
  • 治療が受けられない場合もある
  • インプラントと骨が結合しづらい
  • 費用が高く治療期間も長い
  • 細菌感染のリスクがある
  • 定期的なメンテナンス(通院)が必要
  • 顎の骨が少ないと治療できる歯科医師が限られる

老後にできる、抜けた歯を補う主な治療法

抜けた歯を補う主な治療法として挙げられるのが、「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」の3つです。

それぞれの治療のメリット・デメリットを理解した上で、老後も食事や会話を楽しめるよう、ご自身に合った治療法を選びましょう。ここでは3つの治療法を1つずつもう少し詳しく見ていきます。

ブリッジ

歯科の「ブリッジ」とは、失った歯を補うための歯科治療法の一つ。歯が欠けた部分の両側にある健康な歯(支台歯)を利用して、人工歯を固定する方法です。

具体的には、支台歯にクラウン(被せ物)を装着し、その間に人工の歯(ポンティック)を連結して取り付けることで欠損部分を補います。固定式の装置であるため、患者様自身で取り外すことはできません。

また通常、金属やセラミックなどの材料を使用して作られ、見た目や機能を自然な歯に近づけることが可能です。ただし、ブリッジを装着するためには、支台歯を削る必要があるため、健康な歯に対しても一定の負担がかかる点がデメリットとされています。

入れ歯

入れ歯は、失った歯を補うための取り外し可能な装置です。入れ歯には、全て歯を失った際に使用する「総入れ歯」と、一部の歯を失った際に使用する「部分入れ歯」の2種類があります。

入れ歯は、取り外し可能なことからお手入れが手軽にできることや外科手術が必要ないこと、保険適用のものは治療費を抑えられるなどがメリットとして挙げられます。

一方、見た目が目立つ、食事の際に違和感がある、会話がしづらいなどのデメリットもあります。

インプラント

インプラントは近年注目されている治療法の一つです。失った歯の部分の顎の骨にインプラント体(人工歯根)を埋入し、人工歯を被せるという方法です。

これまで紹介した2つの治療に比べて圧倒的に審美性に優れています。また、本物の歯のようなしっかりとした噛み心地が得られるなど機能性も十分であることから、インプラントを選ぶ方も多くなってきました。

しかし、保険が適用されないため費用が高額というデメリットもあります。さらに、外科手術を伴うこと、治療が長期間にわたることなども課題として挙げられ、特に老後においては慎重な検討が必要です。

インプラント治療は老後によく選ばれる選択肢!

老後の口腔健康は、全身の健康にも密接につながっています。インプラントはしっかり噛める機能性が高いことから、多くの高齢者に選ばれている治療法です。

実際に、歯を失うことで食事や会話に困難を感じる状況下で生活の質の向上にも期待できます。治療費の高さや手術のリスクを考慮しつつも、インプラントは老後の明るい生活を支える重要な選択肢と言えるでしょう。

老後のインプラントのデメリットや悲惨だと思われている理由

老後にインプラント治療を選択する際には、年齢や健康状態に伴う身体的な制約とともに、さまざまなデメリットを検討する必要があります。

ここでは、具体的にどんなデメリットがあるのか、なぜ悲惨だと思われているのかその理由に着目して解説していきます。

外科手術に耐えられる体力が必要

インプラント治療は、顎の骨に人工歯根を埋め込む外科手術を伴います。ご高齢の患者様にとっては、この手術が少なからず体力面での負担となるでしょう。

手術自体は入院を要しませんが、外科手術なだけに身体的負荷がかかります。

身体的な負担が大きい・持病のリスクが高まる

インプラントは顎の骨に直接埋入するため、前述した通り外科手術が必要です。このため、高齢者にとっては身体的な負担が大きくなります。

また、加齢とともに回復力が低下し、手術後の回復が遅れることも懸念されます。これにより、持病のリスクも高まることも。糖尿病や高血圧といった慢性疾患が、治療の成功率に影響を及ぼす可能性だってあります。

治療が受けられない場合もある

インプラント治療は、全ての高齢者が受けられるわけではありません。

健康状態が著しく悪化している場合や、持病の重症度が高い場合は、手術そのものが適応外(できない)とされることもあります。

インプラントと骨が結合しづらい

年齢を重ねると体の代謝機能が低下し、顎の骨の厚みや密度が不足しがちに…。そうなると、インプラント体を適切に固定できず、安定性が十分に得られないことから、治療の成功率が低くなるでしょう。

また、体力や免疫力の低下が傷の回復を遅らせ、インプラント体と顎の骨が適切に結合しないこともあります。

費用が高く治療期間も長い

インプラント治療は基本的に保険適用外となる自由診療です。保険が適用されないため、高額な費用負担が患者にのしかかります。

さらに、インプラントが顎の骨としっかり結合するまでに時間がかかることも、ご高齢の方にとっての負担となるのも事実です。骨の状態や個人差により、その期間は3ヶ月から半年に及ぶこともあります。こうした費用と時間の負担が重くのしかかることも懸念点と言えるでしょう。

細菌感染のリスクがある

インプラントの外科手術では、顎の骨に穴を開けるため、細菌感染のリスクが避けられません。手術中や術後に感染が起きると、インプラント失敗に繋がる可能性があります。

特に高齢者は免疫力が低下しているため、感染リスクが高まります。そのため、手術前後の適切な管理とケアが不可欠です。

定期的なメンテナンス(通院)が必要

インプラントを長く使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。このメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎という特有の歯周病を発症するリスクが高まります。

この病気は歯茎だけでなく、顎の骨まで影響を及ぼし、インプラントの脱落の主な原因ともなります。特に高齢者の場合、定期的な通院が難しいことも多いでしょう。

顎の骨が少ないと治療できる歯科医師が限られる

顎の骨密度が低下していると、インプラント治療は困難です。歯周病や骨粗しょう症による骨の劣化がある場合、骨造成手術が必要になることもあります。ただし、この高度な技術を要する骨造成手術が可能な歯科医師は限られています。

また、骨造成には長期間の術後ケアが必要であり、治療計画がより複雑となるため、患者様にとって負担が伴うことも少なくありません。

こうしたデメリットや懸念点を踏まえたうえでインプラントを選択すべきかどうか、しっかり検討しましょう。

老後こそ必要!老後にインプラント治療を受けるメリット

ここまでお話ししたデメリットだけを考えると、老後にインプラント治療は現実的ではないと思われがちですが、実際には多くのメリットがあります。

むしろ快適な生活のために、老後こそインプラントがおすすめです。ここからはインプラントのメリットをご紹介していきます。

  • しっかり噛めるため食事を楽しめる
  • 若々しい見た目を維持できる
  • 会話も不自由なく楽しめる
  • 健康な他の歯を守れる
  • 入れ歯と違って管理がしやすい
  • 認知症のリスクを軽減できる
  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の防止につながる

1つずつ見ていきましょう。

しっかり噛めるため食事を楽しめる

インプラントは顎の骨にしっかりと固定されるため、入れ歯と違って安定感があり、安心して食事ができます。噛む力がしっかりと確保されることで、以前よりも食材の味や食感を楽しむことができるでしょう。

これにより、食事の制限が少なくなり、自分の好きな食事を楽しむことができるのです。咀嚼能力が高まると栄養の吸収もよくなり、全身的な健康維持にも大きな役割を果たします。

若々しい見た目を維持できる

インプラントは自然な見た目を保つことが可能です。しっかり噛めることから歯茎へ適度な刺激があるため歯茎の痩せを防ぎ、表情筋の衰えも軽減します。

その結果、顔のたるみやしわの予防につながり、顔全体に若々しく健康的な印象を与えられるでしょう。

会話も不自由なく楽しめる

インプラントは顎の骨に埋め込みしっかり固定されることから本物の歯に近く、入れ歯のようにズレる心配もありません。また、しっかりとした発音も可能です。

また、入れ歯のような金具が目立たないため、笑顔や会話の際に口元を気にする必要はありません。

これにより、会話中の不安やストレスが軽減され、自然な会話を楽しむことができます。コミュニケーションの質が向上することで、老後においても、友人や家族との関係維持や積極的な社会参加のきっかけともなるはずです。

健康な他の歯を守れる

インプラントは失った歯の部分だけにインプラントを埋入します。他の治療法と異なり、周囲の健康な歯を削る必要がありません。これにより、周辺の歯への負担が軽減され、健康な歯の寿命を延ばすことができます。

ブリッジのように隣接歯を支えにすることがないため、結果的に残された天然歯を長持ちさせることが可能です。健康な歯を失うリスクを下げる選択肢として、インプラントは有効です。

入れ歯と違って管理がしやすい

インプラントは取り外しの必要がなく、日々の歯磨きと定期的なメンテナンスで十分なケアが可能です。入れ歯のように着脱による清掃や調整の煩わしさがありません。

これにより、口腔のケアがシンプルになり、介助が必要な場合でもストレスが少なく済みます。管理が簡単なため長期間にわたって快適に使用できるでしょう。

認知症のリスクを軽減できる

噛む力がしっかりと保たれることで、脳に適切な刺激が行き渡り、認知症のリスクが軽減されるとも言われています。

また、咀嚼は視覚や嗅覚などの感覚にも影響を与えるため、脳の認知機能を活性化し続けることが重要です。インプラントにより噛む機能を回復させることで、日常生活における脳への良質な刺激が確保されるでしょう。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の防止につながる

インプラントは入れ歯と比較して衛生的であるため、誤嚥性肺炎のリスクを減少させることが可能です。

特に高齢者にとって入れ歯の不衛生が誤嚥性肺炎の一因となることが多い中、インプラントは口腔内を清潔に保ちやすく、肺炎の予防にもつながります。

結論:老後にこそインプラントが必要!

インプラント治療は、老後の生活の質を大幅に向上させる可能性を秘めています。しっかり噛めることで栄養状態を改善し、全身の健康維持に貢献するだけでなく、見た目やコミュニケーション面でもプラスの影響を与えます。

潜在的なデメリットを超える多くのメリットがあるインプラントは、老後にこそ取り入れたい治療法と言えるでしょう。

老後にインプラント治療を受ける場合の注意点

ここからは、インプラント治療を受ける場合の注意点について、特にご高齢の方が心掛けるべきことをご紹介していきます。

以下の5つの注意点を1つずつ見ていきましょう。

  • インプラント治療の実績・経験豊富な歯科医院を選ぶ
  • 歯科用CTを導入している歯科医院を選ぶ
  • 持病がある場合はかかりつけ医に相談が必要
  • 治療後もメンテナンスで通院しなければならない
  • セルフケアも怠ってはならない

インプラント治療の実績・経験豊富な歯科医院を選ぶ

インプラント治療を検討する際には、治療の実績と経験が豊富な歯科医院を選ぶことが非常に重要です。特に、高齢になると歯や骨の状態が若い頃とは異なるため、専門的な知識と技術を持った歯科医師に診てもらうことで安心して治療を受けられます。

腕の良い歯科医師は、骨の密度の問題などを適切に評価し、必要に応じて骨の再生治療を行うことで、インプラントの安全性と成功率を高めることが可能です。

歯科用CTを導入している歯科医院を選ぶ

インプラント治療の成功には、精密で的確な診断が欠かせません。そのためには、歯科用CTを導入している歯科医院を選ぶことも大切です。

歯科用CTは、通常のレントゲンでは捉えられない細部まで確認できるため、骨や神経の状態を詳しく把握できます。これにより、より安全かつ確実にインプラントを埋め込むことができるのです。

持病がある場合はかかりつけ医に相談が必要

持病を抱える高齢者がインプラント治療を受ける場合は、必ずかかりつけ医との相談が必要です。特に糖尿病や高血圧、心疾患、骨粗しょう症をお持ちの場合、治療のリスクが高まることがあるため、事前に持病を管理し、医師間での連携が求められます。

適切なサポートを受けることで、安全かつ安心に治療を進めることができるため、インプラント治療を受けてもいいかどうか、必ずかかりつけ医に相談しましょう。

治療後もメンテナンスで通院しなければならない

インプラント治療を受けた場合、治療後のメンテナンスも欠かせません。インプラント周囲炎のリスクがあるため、定期的なメンテナンス通院が必要です。

年齢とともに通院が難しくなることも考慮しておかなければなりません。

セルフケアも怠ってはならない

インプラント治療後、ご自身での日常的なセルフケアも非常に重要です。インプラントは歯茎との境目に汚れがたまりやすいため、日々の口腔ケアを怠るとインプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。

歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや口腔洗浄液などを活用し、常に口の中を清潔に保つ努力が必要です。

「インプラント 老後」に関するよくある質問

年齢を理由に「インプラント治療を受けたいけど不安」という声は少なくありません。

ただ、老後におけるインプラントの影響やリスクについて知識を深めることで、安心して治療を受けるための判断材料となるでしょう。以下では、老後のインプラント治療に対するよくある質問にお答えします。

老後(高齢者)のインプラント治療は危険ですか?

インプラント治療は外科手術を伴うため、年齢に関わらず一定のリスクがあります。特に高齢者の場合、全身の健康状態や骨の状態、服用している薬の影響により、手術のリスクが増すことがあります。

そのため、治療前には詳しい健康状態の確認が不可欠です。もしその状況を把握しないままインプラント手術を受けた場合、感染症を引き起こす危険を伴う場合もあります。検査を慎重に行い、既往歴や持病、服用している薬など事前に把握しておくことが重要です。

インプラントは老後どうなりますか?

インプラントは長期間使用することが可能ですが、老後にはメンテナンスの継続が特に重要です。高齢になると通院が困難になる場合があることも想定しておかなければなりません。

また、インプラント周辺の組織が老化によって変化し、問題が起こる可能性もあります。そのため、定期的なチェックとケアは必須です。適切な管理を行い、必要に応じて家族や歯科医師と連携することで、インプラントをより長く快適に使い続けることができるでしょう。

インプラントは老後に痛みがありますか?

インプラントそのものが老後に痛みを引き起こすわけではありませんが、メンテナンス不足や不十分な口腔ケアによってインプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。この炎症は腫れや痛みを伴い、場合によってはインプラントの脱落につながることも。

特に高齢者が寝たきりになる場合、口腔内を清潔に保つのが難しく、感染症のリスクが上がります。したがって、日常的なセルフケアと定期的な専門的なメンテナンスが重要となります。

老後を視野に、インプラントが最適かどうか歯科医院へ相談しましょう!

歯の健康は生涯にわたって大切なものであり、老後を見据える際にも重要な要素となります。

その中でインプラントは、歯を失った場合の有力な選択肢の一つですが、費用面や身体的負担、治療後のメンテナンスなど、さまざまなことを考慮したうえで検討しなければなりません。

老後を迎える準備として信頼できる歯科医院を見つけ、インプラントを含む様々な治療法を比較検討し、ご自身の生活スタイルや健康状態に合った最適な治療計画を立てましょう。

当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」では、インプラントに関するご相談を受け付けております。お口の状態や患者様のお気持ちに寄り添った治療・応対を心がけておりますので、どんなささいなことでもぜひお気軽にご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年8月30日