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院長 高田 徹

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奥歯の7番抜歯後はインプラントにすべき?メリット・デメリットや費用を解説

奥歯の7番を抜歯することになった場合、その後の治療法としてインプラントを検討する方が増えています。

しかし、インプラントには様々なメリットとデメリットが存在するうえ、インプラント以外の選択肢との差別化ポイントや、治療に伴う費用についても気になるところです。

そこで本記事では、奥歯の7番抜歯後にインプラントを選択するかどうかの判断基準としてインプラントのメリット・デメリットを解説。また、7番抜歯後に考えられる治療方法や費用の目安についてもご紹介していきます。

-この記事でわかること-
  • 奥歯の7番抜歯後はインプラントがおすすめ!
  • インプラント以外の治療法もある。歯の状態や健康状態、予算を考慮に入れて歯科医師とよく相談して決めるべき
  • 7番抜歯後にインプラントにするメリットは、①しっかり噛める ②顎骨の吸収を予防 ③周囲の歯への負担なし ④正しい噛み合わせ ⑤見た目のよさ ⑥発音に影響出にくい ⑦消化器官への負担軽減 ⑧健康を保てる ⑨装置による痛みがない
  • 一方デメリットは、①骨造成手術が必要になる場合がある ②保険適用外(自費診療)で費用が高額になりがち ③治療完了までの期間が長め

上記についてより詳しく解説していきますので、特にインプラントをご検討中の方、将来的に抜歯を控えている方はぜひ最後までご覧ください。

7番を含む奥歯が担っている役割

口の中で強い力を発揮する奥歯、特に「第二大臼歯」として知られる7番の歯(前から7番目、奥から2番目。親知らずがない方は一番奥の歯)は、重要な役割を担っています。

ここでは、奥歯の具体的な役割について見ていきましょう。

食べ物を噛む・砕く・すり潰す

奥歯の役割の一つは、食べ物を細かく砕くことです。

奥歯の頑丈な構造は、食物をしっかりと噛み砕き、消化器官が効率的に栄養を吸収できるようにします。奥歯は咀嚼において不可欠な存在です。

嚥下(えんげ)の補助

奥歯によって食べ物がしっかりとすり潰されることで、効率的に食物を喉に運び込む手助けをします。

これにより、嚥下時の負担が軽減され、スムーズに飲み込むことができるのです。

噛み合わせ・歯並びを保つ

奥歯の存在は、噛み合わせを整え、歯並びを維持するためにも重要です。噛み合わせの高さは奥歯によって支えられており、奥歯を失うと噛み合わせが悪くなる可能性があります。

さらに、奥歯がなくなることで歯が移動し、歯並びのバランスが崩れる原因ともなります。つまり、奥歯を正しく維持することが全体的な口腔バランスを保つ鍵というわけです。

正しい発音

正しい発音にも奥歯は一役買っています。特に「ハ行」や「ラ行」の発音時には、奥歯が舌の動きをコントロールし、明瞭な発音をサポートするのです。

歯が欠けてしまったり奥歯を失ったりすると、空気が適切に制御されずに漏れてしまい、会話の際に違和感を覚えることがあります。このように奥歯は、言葉をしっかりと発音するための役割を担っているのです。

体のバランス/健康を保つ

奥歯は、体を安定させるためにも重要です。特に運動中や力を入れる際には、奥歯を使って力を発揮します。歯を食いしばることで体のバランスをとり、大きな力を発揮できるのです。

また、奥歯で食べ物をしっかり噛むことは、栄養を十分に吸収しやすくし、消化器官への負担を軽減します。このように、奥歯は全身の健康とバランスに対しても重要な影響を持っているのです。

奥歯(7番)を抜歯したままにしておくリスク

7番を含む奥歯すべてにおいて、抜歯後そのまま放置することで様々なリスクが発生します。以下に、具体的なリスクについて詳しく説明します。

顎の骨が痩せてしまう

奥歯の抜けた箇所には噛む刺激が伝わらないため、その部分の顎の骨がどんどん痩せてしまいます。

この骨の減少は、将来インプラント治療を考えた際に必要不可欠な骨量が足りなくなる可能性があるため、治療をさらに難しくしてしまうかもしれません。骨量の減少を防ぐためには、少しでも早く適切な処置をすることが求められるでしょう。

噛む力が弱まる

役割のところでもお伝えしましたが、奥歯は食べ物を効率よく噛むために重要です。

しかし、奥歯をたった1本失っただけでも噛む力は30〜40%低下すると言われています。

歯並びが悪くなる

歯を抜けたままにしておくと、空いたスペースに隣接する歯や対合する歯が移動してしまいます。この動きによって歯並びが悪化し、全体の噛み合わせが崩れるリスクがあります。

特に、反対側の歯が伸びてくる「挺出」や、隣の歯が倒れる「傾斜」が起こると、見た目だけでなく噛み合わせに大きな影響を及ぼし、不快な症状を招くこともあるでしょう。

顔がゆがむ

歯の欠如は顔にも影響を与えることがあります。奥歯を失うと、均等に物を噛みにくくなり、片側ばかりで噛む癖がつきがちです。この偏った咀嚼の習慣が続くと、顔の左右の筋肉がアンバランスになり、顔がゆがむ原因となります。

顔のゆがみは見た目の老化を招くばかりでなく、健康状態にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

他の歯を弱らせてしまう

奥歯を失うと、残っている歯に負担がかかります。1本抜けることで、噛む力が他の歯に分散され、摩耗や破損のリスクが高まってしまうのです。

また、歯が失われた側は使われなくなるため、歯垢や歯石がたまりやすくなり、虫歯や歯周病を引き起こす可能性も増します。

顎関節症を引き起こしてしまう可能性がある

奥歯を失うと噛み合わせが悪くなり、残りの歯や顎関節に過度な負担がかかることがあります。これが積み重なると顎関節症になりやすくなります。

顎関節症は顎の痛みや雑音、口の開閉に支障が出るだけでなく、肩こりや頭痛、目眩といった全身の不調も引き起こすことがあるため注意が必要です。

健康リスクを招く恐れがある

奥歯がないと十分に咀嚼できず、食べ物が大きなまま消化器官に入るため、胃腸に負担がかかります。

また、咀嚼が不十分だと唾液の分泌量も減少し、口内環境が悪化しがちです。これにより、虫歯や歯周病のリスクが増すこともあります。

7番抜歯後に考えられる治療方法

奥歯である7番の歯を抜歯した後には、適切な治療を行う必要があります。その代表的な治療法としてインプラントがありますが、そのほかにも様々な治療法が存在します。

以下に、インプラントを含めた4つの主要な治療法をご紹介していきますので、自分に合った治療法を考えてみましょう。

インプラント

インプラントは、失われた歯の部分にインプラントと呼ばれる金属でできた土台を埋め込み、その上から人工歯になる部分を取り付けるという治療法です。

この方法は、独立した1本の歯を補えるため、天然歯とほぼ同じ感覚で物を噛むことができ、耐久性も高いことで知られています。

しかし、顎の骨に人工歯根を埋め込むために外科手術が必要となるほか、治療期間が長く、経済的負担も多くなりがちです。とはいえ、チタン製の人工歯根は体に馴染みが良く、長期にわたり快適に使用することができます。

入れ歯

入れ歯は、部分入れ歯を含め、失った歯の機能を補うための一般的な選択肢です。

残った歯に金属のバネを引っ掛けて装着するため、取り外し可能で清掃しやすいというメリットがあります。保険適用の入れ歯であればインプラントに比べて費用を抑えることもできます。

しかし、特に金属部分が目立ち、見た目を気にしたり、違和感があったりする場合もあるでしょう。

ブリッジ

ブリッジは、抜けた歯の両隣の歯を支えにして人工歯を被せる治療方法です。取り外しが必要なく、自然な感覚で食事を楽しめる一方、支えとなる健康な歯を削る必要があるため、その部分にどうしても負担がかかります。

また、7番の歯が抜けた場合、手前のみを支えとする延長ブリッジが必要になることもありますが、これは保険適用外となる場合が多く、費用がかさむこともあるでしょう。

矯正(歯の移植)

歯の移植は自身の不要な歯、例えば親知らずを抜き、7番目の歯として移植する方法です。この方法の利点は人工物を使わないため違和感が少なく、自然な感覚を得られることにあります。

しかし、移植には骨との結合が必要であり、数カ月の治療期間を要します。また、移植した歯は一度取り出すことでその神経が死んでしまうため、根の治療が必要です。

奥歯の7番を抜歯したらインプラント治療が必要なのか

奥歯の7番を抜歯した場合のリスクなどもお話ししましたが、7番が抜けたからと言って必ずしもインプラント治療が必要というわけではありません。

治療が必要なケースもあれば、不要なケースも存在します。具体的なケースをもとに治療すべきかどうか見ていきましょう。

治療が不要なケース

治療が不要なケースとしては、すでに上下ともに7番目の歯を失っている場合や、噛み合わせ機能に問題がない場合などがあります。

また、顎の骨の状態によっても治療が不要と診断されることがあります。特に他の歯がしっかり機能している場合や、噛む力が分散されている場合には問題が少ないと判断されるためです。

正しい噛み合わせが保たれており、歯並びも適正であれば、そのまま経過を観察するだけで特に処置を行わないケースもあるでしょう。

そのままだと危険!治療が求められるケース

抜歯後、適切な治療が求められるケースは以下の通りです。

噛む力が強い

もともと噛む力が強い方や、食いしばりや歯ぎしりの癖がある方は、歯を1本失うことで残った歯に過度の負担がかかります。これにより他の歯が割れたり、痛みを感じるなどの不調が生じやすくなったりします。

そのようなトラブルを防ぐためにインプラントなどの適切な治療が必要です。

歯周病が進行している

歯周病が進行し重度の場合は、歯を支える歯槽骨が減少し、歯が動きやすい状態となります。歯を失ったことでさらに歯並びや噛み合わせが悪化しやすくなることが考えられるでしょう。

このような状況で適切な治療を行わないと、他の歯まで歯周病によって失うリスクが高まります。そのため、歯並びやお口全体の健康を守るために歯を補う治療が必要です。

7番以外にも失っている歯がある

7番の歯以外にも他の歯を失っている場合、本来の噛み合わせが崩れることがあります。結果として、残りの歯が倒れ込んだり動いてしまったりするリスクが増大。

このような噛み合わせの乱れは、顔や体のバランスにも影響を及ぼし、顎関節症や筋肉の緊張による不調を引き起こす可能性があります。したがって、歯の健康・身体の健康を維持するためには治療が求められるのです。

上下どちらか反対側の7番を抜歯している

上下のどちらかで対となる7番の歯をすでに失っている場合、噛み合わせがさらに悪化するリスクがあります。

このような状態では、歯が空いたスペースを埋めようと移動することで、かえって噛み合わせが乱れ、体全体への影響を及ぼす可能性があるのです。噛み合わせを悪化させないためにも早めに治療を検討しましょう。

奥歯7番をインプラント治療するメリット・デメリット

奥歯は重要な役割を担っているため、抜歯後は治療をした方が良いケースがほとんどですが、インプラント治療を検討する際はメリット・デメリットも把握しておくべきです。それぞれ下記にて詳しく解説いたします。

奥歯7番のインプラント治療のメリット

まずは奥歯7番にインプラント治療を行うメリットをご紹介します。

食事の際にしっかり噛める

奥歯7番のインプラントをすることで、食事の際にしっかりと噛むことができます。インプラントは天然歯とほぼ同等の噛む力を持ち、咀嚼効率も非常に高いのが特徴です。

入れ歯やブリッジでは、噛む力が天然歯と比べて劣るため、食事を存分に楽しめないことがありますが、インプラントではその心配がありません。これにより、硬い食べ物や繊維質の多い食べ物も問題なく食べることができ、食事が楽しくなるでしょう。

顎の骨の吸収を防げる

インプラントは顎の骨に直接埋め込まれるため、骨に適度な刺激と負荷がかかり、骨の吸収を防ぐことができます。結果として顎骨の健康を保ち、長期間にわたる口腔内の健康維持が可能です。

周囲の歯に負担がかからない

インプラントは他の歯に依存せず、自立して機能します。ブリッジの場合、周囲の歯を支えとして使用するため、これらの歯に余分な負荷がかかりますが、インプラントは人工歯根で支えられるため、周囲の健全な歯を保護し、長期的な口腔の健康を維持できます。

特に奥歯は噛む力が大きいので、周囲の歯に負担をかけないインプラントは非常に有効です。

正しい噛み合わせを保てる

インプラント治療によって失った歯の部分を補完することで、噛み合わせを改善し、より正しい噛み合わせを維持することが可能です。

見た目も気にならない

インプラントは審美性が高い点もメリットです。入れ歯やブリッジの場合、金具やバネが目立つことがあり、笑ったり話したりする際に気を使うことがありますが、インプラントではその心配はほとんどありません。

奥歯であってもインプラントを行うことで、日常生活において自信を持って過ごすことができるでしょう。

発音に影響が出ず会話を楽しめる

インプラントはしっかりと固定されているため、発音の問題が少なく、スムーズに会話を楽しむことができます。

特に奥歯や前歯を失った場合、発音に困難を感じることがありますが、インプラントであればその心配はありません。

消化器官への負担を軽減できる

インプラントを行うことによって噛む力を取り戻すことができ、食べ物を細かく噛み砕けるため消化を助け、消化器官への負担を軽減できます。

全身の健康を保つことができる

奥歯のインプラントにより、硬い食べ物でもしっかりと噛むことができるため、食事の選択肢が広がり、栄養バランスの良い食生活を送ることができます。

適切な栄養摂取は全身の健康維持に重要であり、日々の健康をサポートします。インプラントにより総合的な健康維持が可能です。

他治療法に比べて装置による痛みがない

インプラントは、入れ歯やブリッジとは異なり、装置による痛みが少ないのが特徴です。歯茎や粘膜と擦れ合うことがなく、装置が歯茎に食い込んだりする心配もないため、快適な使用感が得られます。

自然な歯に近い感覚で日常生活を不快なく過ごせる点もメリットの一つと言えるでしょう。この快適さがインプラント治療の大きな魅力です。

奥歯7番のインプラント治療のデメリット

次に奥歯7番にインプラント治療を行うデメリットについて見ていきます。

顎の骨の状態によっては骨造成手術が必要になる

インプラント治療では、顎の骨に人工歯根を埋め込む必要があります。しかし、骨の量が不足している場合、別途「骨造成手術」が必要となることがあります。特に奥歯7番では噛む力が強く加わるため、丈夫な骨が必要です。

この骨造成手術は技術的に難しいため対応できる歯科医院が限られていること、時間や費用がかかること、手術にリスクを伴うことなどの懸念点があります。

保険適用外(自費診療)のため費用が高額になりがち

インプラント治療はほとんどのケースで保険が適用されず、自費診療となります。そのため、治療費用が非常に高額になることが一般的です。

奥歯7番のインプラント治療においても、平均で1本あたり30~50万円程度の費用がかかります。この金額には、インプラントの材料費や手術費が含まれていることがほとんどですが、この経済的負担は大きく、治療を決断する大きなポイントとなるでしょう。

また、追加の処置が必要な場合や事前の検査、診断料が別途かかるケースもあります。

治療完了までの期間が長くなることも

インプラント治療は一般的に長期間にわたる治療が必要です。特に奥歯7番の場合、骨の状態によっては骨造成が必要となり、回復期間を含めると1年以上かかることも珍しくありません。

人工歯根と骨との結合には数ヶ月を要するため、治療完了までの期間が他の治療法と比較して長い点がデメリットとして挙げられます。

インプラントかその他の治療法か、歯科医院に相談して最適な治療法を見つけましょう

奥歯はいくつもの重要な役割を担っているため、奥歯7番の歯を失った場合できる限り早く歯を補う治療を行うのがおすすめです。

その治療法にはインプラントやブリッジ、入れ歯などがありますが、それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、歯科医師とよく相談し、自分に最適な治療方法を選ぶことが大切です。歯の状態や健康状態、予算を考慮に入れて、専門家の意見を取り入れながら決定しましょう。

インプラント治療実績が豊富な当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」では、患者様のお気持ちに寄り添いながら、口腔内の状態に最適な治療法のご提案を行っております。

ご相談も随時受け付けておりますので、奥歯の抜歯後の治療にお悩みの方やインプラント治療に関する疑問がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年10月10日