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院長 高田 徹

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歯のインプラント手術は入院が必要?入院期間や保険適用について

インプラント治療では外科手術が必要なため、入院しなければいけないというイメージを持っている方も少なくありません。「仕事を長く休めない」「家事や育児があり入院できない」と手術を受けるタイミングを考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、インプラント手術における入院の必要性と入院が必要なケース・期間、インプラントの保険適用条件、インプラント手術後の注意点などについてご紹介していきます。

-この記事でわかること-
  • インプラント手術は基本的に入院の必要なし
  • 重度の全身疾患がある、全身麻酔をする場合など入院が必要となるケースもある
  • 入院期間は0日=日帰り手術がほとんど
  • インプラント手術は基本的に保険適用外の自由診療

ここからより詳しく説明していきます。ぜひ最後までご覧ください。

歯のインプラント治療とは

インプラント治療とは、歯を失った部分を人工の歯で補う治療法のことです。一般的な歯科治療とは異なり、顎の骨の中にインプラント体(人工歯根)を埋め込むための外科手術が必要となります。

そのインプラント体の上に土台となるアバットメント、被せ物となる上部構造を取り付けて、審美性や噛む機能を回復させるという治療法です。

インプラントは、他の欠損補綴にあるブリッジや入れ歯と比べて審美性、噛む機能が高いため、多くの方から注目されています。

インプラント手術についての基本知識

ここからはインプラント手術に関する基本知識をご紹介します。インプラント手術がどのようにして行われるのかイメージしてみましょう。

1回法

1回法とはその名の通り、手術の回数が1度で済むインプラント手術のことです。1回目の手術で歯茎を切開し、インプラントの一部を歯茎から露出させたまま埋め込みます。

その後、傷口が治癒し、インプラントと骨が結合したのを確認できれば、後日アバットメントと呼ばれる人工歯の土台を装着します。

手術が1回で済むことで患者様の身体面での負担を軽減できるのが大きなメリットと言えるでしょう。

2回法

2回法では、手術回数が2回となります。1回目の手術では歯茎を切開し、顎の骨の中にインプラントを埋めた後、縫合して終了です。その後、傷口が治癒しインプラントと顎の骨が結合するまで期間を置きます。

傷口が治癒し、インプラントが骨の結合が確認できたら、2回目の手術で再度歯茎を切開し、インプラントの一部を歯茎の上に露出させてアバットメントと人工歯を装着します。

全身麻酔ではなく局所麻酔が基本

インプラント手術は、全身麻酔ではなく基本的に局所麻酔で行います。局所麻酔では意識を保ったまま治療を行うため、術後の帰宅も安心です。

「静脈内鎮静法」が用いられることも多い

歯科恐怖症の方や痛みに弱い方、手術に対する恐怖心やパニック障害などをお持ちの方は、静脈内鎮静法を用いる場合があります。

静脈内鎮静法とは、点滴で静脈内に鎮静剤を注入することにより、リラックスした状態のまま手術を受けられる方法です。

完全に眠った状態ではなく意識はありますが、眠りにつきそうなウトウトとした感覚の中で手術を行うので、「気づいたら終わっていた」といったように、ほとんど痛みや恐怖心を感じずに手術を終えることができます。

結論:基本的にインプラント手術で入院する必要はない

インプラント治療では外科的手術が必要ですが、基本的に局所麻酔または静脈内鎮静法を用いて行うため、原則入院の必要はありません。

ただし、重度の全身疾患がある方や全身麻酔が必要な場合は、入院の必要があるケースもあるため、入院の必要があるかどうか不安な方は、治療を検討している歯科医院に相談してみましょう。

インプラント手術は日帰りが基本!入院が必要ない主なケース

インプラント手術では入院の必要はないとお伝えしましたが、その主なケースを見ていきます。

局所麻酔や静脈内鎮静法を用いる場合

前述した通り局所麻酔と静脈内鎮静法は、全身麻酔とは違って意識がある状態で手術を行います。そのため、手術だからといって入院する必要はなく、術後も安心して当日中に帰宅することが可能です。

静脈内鎮静法に関しては、車や自転車などご自身で運転しない方法での来院をお願いされることがあります。

健康上の問題がない場合

健康な状態だと傷口の治癒が早く、細菌感染を起こすリスクも低いため、入院せずにインプラント手術ができる可能性が高いでしょう。

また、糖尿病や全身疾患がある場合でも症状が軽く、自身でしっかりとコントロールできている場合は入院する必要はなく、インプラント手術後は当日中に自宅に帰ることが可能な場合もあります。

しかし、持病の状態によっては歯科医院とかかりつけ医との間での連携・情報共有が必要となるため、必ずどちらの医師にもインプラント手術を検討していることを申告するようにしましょう。

インプラント手術で入院が必要になるケース

特別なケースにおいてはインプラント手術で入院が必要となる場合があります。それは以下の4つです。

重度の全身疾患がある場合

重度の糖尿病や全身疾患がある場合、傷口が治りにくく、術中に細菌感染を引き起こすリスクが高いことが考えられます。

また、術中・術後に急な体調変化が起こるリスクがあることから、インプラント手術後の入院が必要と判断されることがあります。

全身麻酔をする場合

全身麻酔は、意識が全くない状態で手術ができる麻酔方法です。

意識の回復に時間を要することや術後の全身の状態を注意深く観察する必要があるため、入院をするケースが多いようです。

大きな骨移植の処置をする場合

インプラントを入れる予定の部分の骨が広範囲で足りない時には、人工骨や自家骨(自分の骨)を使って骨を増やす手術を行います。

骨を移植する手術の場合、術後に顔が腫れたり痛みが出たりする可能性があり、傷口の治りの経過を観察するためにも入院するケースが多いでしょう。

持病や服用中の薬により大量出血する可能性がある場合

服用している薬や持病の影響で、出血の量が多く止まりにくい状態になる方がいます。

持病の症状が軽度でかかりつけ医から一時的に薬を止めても良いと判断された場合は、入院の必要がなく歯科医院でインプラント手術を行うことが可能です。

しかし、症状をコントロールできない状態やかかりつけ医から薬の停止の許可が得られない場合には入院が必要となります。

インプラント手術の入院期間

インプラント手術の入院期間は以下の通りです。

  • 一般的なインプラント手術の場合… 日帰り
  • 入院が必要となるインプラント手術の場合…入院期間 数日(健康状態等によって異なる)

インプラント手術後の注意点

通常のインプラント手術では入院の必要はないものの、術後に注意すべきポイントがいくつか存在します。医師の指示を守り適切に管理しましょう。

手術直後1~2時間は食事を控える

手術後の麻酔が効いた状態のまま食事をしても、感覚がなく頬の内側を噛んでしまったり、火傷をしても痛みを感じたりすることができず、口腔内のトラブルにつながってしまいます。

そのため、少なくとも麻酔が切れるまでの1~2時間は食事を控えるようにしましょう。

当日~数日は長時間の入浴を避ける

長時間の入浴は、全身の血の巡りをよくするため、患部の出血や痛みを助長する恐れがあります。また、炎症を起こすリスクも高まります。

そのため、手術後2~3日はシャワーで軽く済ませるようにしましょう。

アルコールを控える

インプラント手術後にアルコールを摂取すると、患部が腫れたり、出血しやすくなったりする可能性があります。

また手術後に処方された薬と一緒に飲むことも望ましくないため、手術後1週間はお酒を控えるようにしてください。

処方された薬は用法を守ってしっかり飲む

インプラント手術後は、化膿止めと痛み止めが処方されますので、歯科医師に指示された用法を守って服薬しましょう。決められたとおりに薬を飲むことで、感染症の予防や、痛み・腫れを軽減することができます。

特に化膿止めを飲み忘れると感染症のリスクも高まるため、傷口の予後を良くするためにもしっかりと処方薬を最後まで飲み切るようにしましょう。

手術後1週間は激しい運動は控える

インプラント手術後1週間は激しい運動を控えるようにしましょう。

激しい運動を行うと血流が良くなり、患部が腫れる、出血しやすくなる、炎症が起こりやすくなるといったトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。ウォーキングなどの軽い運動も手術から数日は控えた方が安心です。

刺激物や熱い物を控える

傷口に刺激とならないよう、手術後2~3日は辛い食べ物や炭酸飲料などの刺激物、熱い物は避けましょう。

おかゆやスープ、麺類などの柔らかいものや熱すぎないものを食べるようにしてください。

禁煙する

喫煙は血流を悪くさせることで感染症のリスクを高め、傷口の回復を遅らせる原因となります。

さらに口内の細菌が増えてインプラント周囲炎や歯周病の歯周病のリスクが高まるため、インプラントの治療後はできるだけ禁煙に取り組みましょう。禁煙が難しい場合でも徐々に本数を減らすなど、禁煙へ向けた心がけが大切です。

インプラント治療(手術)の保険適用について

ここからは、インプラント治療の保険適用に関することについて解説していきます。

保険診療と自由診療の違い

保険診療と自由診療の違いは以下の通りです。

保険診療 自由診療
費用負担 かかった医療費の30%のみが自己負担
保険診療はどの歯科医院でも一律
健康保険が適用されない
治療費は「全額自己負担」
特徴 一般的な診療や治療で適用されるもの 審美性を向上させることを目的とした、 病気の治療ではない治療が該当
代表例 虫歯や歯周病などの治療、抜歯、削った歯への詰め物・被せ物、入れ歯やブリッジなど インプラントや歯列矯正、ホワイトニングなど

通常のインプラント治療は自由診療=保険適用外

インプラント治療は「自由診療」=保険適用外の治療です。治療にかかった費用は全額自己負担となります。

歯科医院で多い虫歯治療や歯周病治療、また、失った歯の部分を補う役割のあるブリッジや入れ歯は保険診療の対象です。

しかし、インプラント治療は審美的、機能的改善を目的とした「選択的治療」とみなされます。健康を維持するための「必須」治療ではとされるため、保険適用外となります。

この考えから、ブリッジや入れ歯でも審美性を追求する素材を使う場合には、保険適用外になることもあります。

歯の機能を補完するだけなら保険適用、審美性まで追求するなら自由診療になると覚えておくと良いでしょう。ただし、インプラント治療でも特定の症例の場合は保険適用になる場合もあります。

生命保険も使えない

生命保険の手術給付金は「医科診療報酬点数表」に記載されている、保険が適用できる手術に該当した場合に受け取ることができます。

しかし、インプラント治療はこれに含まれていないため、インプラント治療で発生した手術代は生命保険の支払い対象となりません。

「先進医療特約」を理由に申請される方も多いようですが、インプラント治療は先進医療の対象外です。

インプラント治療が保険適用になるケースも

一部、特例のケースではインプラント治療が保険適用となる場合があります。その具体的なケースは以下の通りです。

保険適用になるケース

以下の場合に限り、保険適用でインプラント治療を受けることができます。

  • 先天性の疾患で、顎骨の1/3以上が欠損している
  • 先天的な理由で顎骨が形成不全である場合
  • 事故や病気などにより、顎骨の1/3以上が欠損している

保険適用になる施設の条件

たとえ上記のケースに該当していても、以下の条件を満たす施設で治療を受けなければ保険適用とはなりません。

  • 歯科口腔外科あるいは歯科を診療科目に設けている施設であること
  • 入院用のベットが20床以上あること
  • 当直体制が整備されている
  • 医薬品や医療機器等の安全を確保するための体制が整っていること
  • 歯科口腔外科または歯科として5年以上稼働していること(またはインプラント治療の経験が3年以上ある医師が常勤で2名以上配置されている)

このような条件が定められているため、治療ができる病院が大学病院などに限定されます。

まとめ:インプラント手術は入院の必要なし!

インプラント手術は基本的に入院の必要はなく、当日中に帰宅することができます。ただし、術後の回復を優先するためにも、医師からの指示や注意ポイントをしっかり守りましょう。

また、日帰りで手術可能とはいえ、インプラント手術を成功させるためには歯科医師の高度な技術と経験が必要です。まずは信頼できる歯科医院を選び、適切な治療計画のもと治療を進めてください。

インプラント治療を検討されている方、迷いや不安がある方はぜひ一度当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へお気軽にご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年7月3日