インプラントの歴史を深堀り!実は昔からある?
今では、失った歯を補う治療法として多くの方に知られているインプラントですが、このインプラントにはどのような歴史があるのか、いつ誕生し、どのようにして普及していったのかご存知ではない方も多いのではないでしょうか。
実は、皆さんが想像しているよりも遙か昔にインプラントは誕生しました。その誕生から今に至るまで、どのような歴史を辿ってきたのかを今回深掘りしていきたいと思います。
インプラントの歴史についてご興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- インプラント普及前は、入れ歯とブリッジが主流
- インプラント治療がなかった時代の治療法を海外・日本で比較
- インプラント治療が一般の人に行われるようになったのは1960年以降
- 日本では1978年よりインプラント治療がスタート!
歯科における「インプラント」とは
失った歯を補う治療法として挙げられるのが「入れ歯」、「ブリッジ」、「インプラント」の3つであり、その中でも唯一外科手術を伴うのがインプラントです。
具体的には、顎の骨にインプラント体を埋め込み、その上に土台となるアバットメント、被せ物の順で装着していく治療となります。
自費診療となるため費用は高額となりますが、「天然歯とほぼ変わらない力で噛むことができる」、「審美性が高い」「健康な隣の歯を傷つけない」などたくさんのメリットがあるため、年々インプラントを選ぶ方も増えています。
ご紹介した通り、インプラント治療にはメリット・デメリットがあるため、自分にとって適切な治療法なのかをよく理解しておくことが大切です。
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インプラント治療がなかった時代の治療
インプラントがまだ普及していなかった時代に主流となっていた治療は、入れ歯とブリッジでした。
今でも多くの歯科医院で、入れ歯やブリッジの治療は行われており、インプラントよりも身体面や費用面での負担が少ないことから、この2つの治療法を選ばれる方も多いでしょう。
次の項目では、インプラント治療がまだなかった時代の治療として、海外と日本での違いがあるのかを振り返ってみます。
海外の場合
インプラント治療がなかった時代、海外も同じく入れ歯やブリッジを使用した治療が主流だったと考えられています。
紀元前まで遡ると、海外では金を使って歯を固定したり、金属プレートを用いたブリッジのようなものを使っていたようです。しかし、これは見た目を重視する治療法であり、噛む力を回復するのには難しいものがありました。
そこで多く用いられたのが入れ歯です。入れ歯は失った歯を補う治療法の一つであり、歯を失ったことでの見た目や噛む力を回復させるために主流の方法でした。
取り外せることでの清掃面は優れているものの、入れ歯は安定性が低いため、食事のストレスは避けられなかったと考えられます。このことから海外の人は機能性よりも審美性を優先し、治療を行っていたと言えるでしょう。
日本の場合
日本の入れ歯の歴史は古く、その歴史は平安時代に遡ると言われています。現存する日本最古の入れ歯は「木」で作られたもので、1538年に亡くなった和歌山市願成寺の尼僧が使用していたものでした。
その木の入れ歯は、現在の入れ歯と見た目は異なるものの、しっかりと顎の形に合わせた状態で作製されており、再現性の高いものだったと言われています。また、顎の形に合わせて作ることで、安定性も高く、食事などもできていたのではないかとも考えられています。
このような歴史や記録から、日本独自の技術が素晴らしいものだったことがお分かりいただけるでしょう。
実際に時代の流れとともに入れ歯が普及し、入れ歯作りを専門とする「入れ歯師」が誕生しました。
このように、日本は昔「木の入れ歯」での治療を主流としており、時代が移り変わるとともに技術が発展することで今に至っているのです。
インプラントの歴史・起源
インプラント治療が一般の人に行われるようになったのは、1960年以降と言われておりますが、インプラントは驚くほど歴史があり、その歴史は紀元前まで遡るとされています。
今では日本でも海外でも主流となっているインプラント治療ですが、いつの時代からどのようにして普及していったのか、歴史を振り返ってみると新しい発見があるかもしれません。ぜひ一緒に振り返ってみましょう。
古代ローマ時代のインプラント
古代ローマ時代には、歯の代わりとして石や貝殻、動物の骨などをインプラントとして使用してきました。また、インカ帝国ではミイラが発見されており、そのミイラからはサファイヤの歯根が埋め込まれていたと報告されています。
このように、昔から失った歯を補うために様々なものを使って歯の代わりとするインプラント治療が存在していたことが分かります。
その後、様々な材質のものをインプラントとして活用して治療を試みるものの、インプラント治療が盛んに行われることはありませんでした。
世界的なインプラントの歴史
インプラントの素材には、主にチタンが使われており、このチタンと骨の結合の発見から現代に直結するインプラントの歴史が始まりました。それは1952年のことで、スウェーデンのブローネマルク博士がチタンとウサギの骨がくっついたことを発見したのがはじまりです。
これは実験中に起こった偶然の出来事からでした。ブローネマルク博士は、チタンと骨の結合する現象に「オッセオインテグレーション」と名付けています。
そこから安全性や生体親和性、耐久性などを確かめるために何度も検証、実験を重ね、1962年に本格的に人間への治療を行うことになるのです。この歴史こそ、現在のインプラント治療の基盤と言えるでしょう。
現代のインプラント治療が誕生したきっかけ
今となってはインプラント素材にチタンが使われていることがほとんどですが、このチタン素材が骨に結合することが判明しなければ、インプラント治療が普及することはなかったかもしれません。
どのようなことがきっかけで現代のインプラント治療が誕生したのか、より詳しくみていきましょう。
インプラントの父と呼ばれる「ブローネマルク博士」
前述した通り、チタンと骨が結合する「オッセオインテグレーション」現象を発見したのがスウェーデンのブローネマルク博士であり、インプラントの父とも呼ばれています。
1952年のある日、ブローネマルク教授はウサギの骨にチタン製の顕微鏡を付け、骨の代謝の研究を行っていました。研究が終わり、その顕微鏡を外そうとしたとき、顕微鏡とウサギの骨がくっつき、外れないことに気づいたのです。
この出来事から、様々な研究や実験を重ね、チタンと顎の骨が結合するということが証明されました。
日本におけるインプラントの歴史
現在では歯を失った部分を補う治療の一つとして有名なインプラントですが、日本においても、現在のようなインプラントに至るまでには歴史があります。
今ではインプラントにチタンが使われておりますが、そこに辿り着くまでも様々な失敗や試行錯誤があり、インプラント治療を普及させるための道のりは長かったと言えます。
そこで、世界から伝わったインプラント治療が日本においてどのような影響を及ぼしたのか、どのようにしてインプラント治療が普及していったのかを掘り下げてみましょう。
1983年:チタン製インプラントの使用開始
日本では1978年よりインプラント治療をスタートしましたが、この頃はまだ人工サファイヤが使用されていました。
人工サファイヤはチタンのように骨と結合しないため、治療を行っても破損や脱落してしまうといった問題が起き、インプラント治療に対してマイナスイメージを与えてしまっていたのです。
そして実際にチタン製のインプラントが使用されるようになったのが1983年。当時、東京医科歯科大学の小宮山弥太郎教授が、インプラント治療誕生のきっかけとなったスウェーデンのブローネマルク博士のもとへ留学し今の技術を持ち帰ってきます。
しかしそこからすぐにインプラントが普及することはなく、これまでのインプラント治療に対してのマイナスイメージがなかなか払拭できず、思うように普及しなかったようです。
1990年:日本初チタン製インプラント治療施設の開院
その後、小宮山教授は1990年に自ら日本初のチタン製インプラント治療の施設(ブローネマルク・インテグレイション・センター)を開院。
その開院がきっかけでチタン製のインプラントの有効性が認められ、今となっては多くの歯科医院がチタン製のインプラントを用いた治療を用いるようになっています。
1993年:ジルコニアを用いた治療開始
多くの歯科医院ではチタン製のインプラントを用いた治療が一般的だとお伝えしましたが、最近ではジルコニアを用いた治療も増えてきているのが現状です。そのジルコニアを用いた治療が1993年に広島大学で初めて行われました。
チタン製は金属の中でもアレルギーが起きにくいと言われていますが、まれに金属アレルギーを発症する方がいらっしゃいます。そういった方に適したのがジルコニアインプラントです。
2000年前後:機能性・審美性を兼ね備えたオールオン4の開発
本来インプラント治療の最終目的は、噛む力の回復や安定性や耐久性の保持でしたが、この頃から機能性や審美性が最終ゴールとされるようになってきました。
そこで開発されたのが、「オールオン4」。オールオン4とは、「歯が全くない」もしくは「歯がほとんどない方」を対象とした治療法で、4本のインプラントで片顎12本分の歯を支えるという治療法です。
通常のインプラントでは失った歯の本数分インプラントを埋入する必要がありますが、オールオン4は最小限の4本での治療が可能となり、身体面・費用面ともに負担を軽減させられるのが特徴です。さらには機能性、審美性を兼ね備えていることも魅力のひとつと言えるでしょう。
日本のインプラント治療の普及率
日本でもインプラント治療はずいぶん普及してきており、近年どんどんインプラント治療をはじめる方が増えてきました。
咀嚼力の回復が見込めることや審美性が高いことなどから、インプラントを検討されている方も増えてきたのではないかと考えられます。
とはいえ、補綴物を装着している者の割合で言うと、日本のインプラントの普及率は3.2%。ブリッジの32.9%、部分入れ歯の20.1%、総入れ歯の8.7%と比べてもまだまだ普及率は低いと言えるでしょう。
また、前回の調査結果と比べると増加傾向にありますが、世界と比べても日本の普及率は低く、入れ歯やブリッジを選択される方が多いのが現状です。
インプラントの歴史に関するよくある質問
インプラントは多くの方に知られている歯科治療の一つですが、インプラントの歴史について知る機会はなかなかないのではないかと思います。
今回、インプラントの歴史についてよくある質問をまとめました。この機会に、どのような歴史を辿ってきたのか知ると、よりインプラントへの知識も深まることでしょう。
インプラント治療はいつから始まったのですか?
インプラント治療を初めて人間に臨床応用したのは1965年です。
手術は無事に成功し、治療を受けた男性は約40年間大きな問題などなく、そのインプラントを使い続けることができたと言われています。
インプラントの発祥の地はどこですか?
インプラント発祥の地はスウェーデンです。スウェーデンのブローネマルク教授がチタンと骨の結合を発見したのをきっかけに、インプラント治療が始まりました。
日本でも一人の教授がその技術をブローネマルク教授から直接教わり、持ち帰ってきたことによってインプラント治療が普及するようになりました。今では、世界中で導入されています。
インプラントを考案したのは誰ですか?
インプラントを世界中に広めたのは、スウェーデンのブローネマルク教授です。1952年のある日の実験をきっかけにチタンと骨の結合を偶然発見したのがはじまりです。
その発見がきっかけで、現在のインプラント治療が誕生しました。
日本で初めてインプラント治療が行われたのはいつですか?
日本では1978年に初めてインプラント治療が行われました。しかし、その頃はチタン製ではなく、サファイヤ製のフィクスチャーを使用していたため、顎の骨との結合が上手くいかず、破損や脱落といった問題が続いていたのです。
そのため、インプラント治療に対してマイナスイメージが埋め込まれ、なかなか普及が進みませんでした。
その後、日本でもチタン製のインプラントが用いられるようになり、多くの歯科医院で取り入れられています。
インプラントは歴史ある治療法!インプラント治療なら高田歯科クリニックへ
今では、歯を補う治療として有名なインプラントですが、こうしてインプラント治療が根付くのには、様々な研究や実験などの苦労がありました。そして、現在もインプラント治療は進化し続けています。
それだけインプラント治療は高度な技術や経験が必要であり、安心してインプラント治療を受けるには歯科医院選びも重要です。
インプラント治療を検討されている方、インプラント治療で疑問や不安なことがある方は、ぜひ一度当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へお気軽にご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年8月6日