インプラント治療の流れが丸わかり!1回法や2回法、治療期間や費用もご紹介
インプラント治療を検討している方にとって、その治療の流れや方法を事前に理解しておくことは非常に重要です。しかし、「インプラントの流れ」と一口に言っても、実は1回の手術で完了する1回法と、計画的に段階を踏む2回法があることはご存知でしょうか?
治療を受ける前に、それぞれの方法のメリットやデメリットを知っておけば、不安を軽減することができるかもしれません。
また、治療にかかる期間や費用についても疑問を持たれている方が多いでしょう。そこで本記事では、インプラントの治療の流れや治療期間、かかる費用についてわかりやすく解説していきます。
– インプラント治療の流れ –
- ①歯科医院への相談・カウンセリング
- ②検査・治療計画
- ③1次手術:インプラント埋入手術
- ④骨造成手術(必要な方のみ)
- ⑤抜糸・仮歯調整(処置後2週間)
- ⑥待機
- ⑦2次手術:アバットメント取付
- ⑧仮歯の装着
- ⑨型取り
- ⑩被せ物(人工歯)完成・装着
- ⑪メンテナンス・定期検査
– この記事で分かること –
- インプラント治療とは、失った歯の代わりに人工歯根・人工歯を取り付けることで歯の機能を回復させる治療方法
- 1回法とは、歯肉を1回だけ切開し、インプラント体(人工歯根)を埋め込むと同時に、人工歯根の上にアバットメントを取り付ける方法
- 2回法とは、1回目の手術でインプラント体を埋め込み、十分な骨との結合を待ってから2回目の手術でアバットメントを取り付ける方法
- インプラントの治療期間の目安は、3ヶ月~1年程度
- インプラント治療にかかる費用は、1本あたりおよそ30~45万円
ぜひ最後までご覧ください。
インプラント治療とは
インプラント治療とは、失った歯の代わりに人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付けることで歯の機能を回復させる治療方法です。
インプラントは人工物を体内に埋め込む治療法ですが、従来のブリッジや入れ歯と異なり、天然の歯とほぼ同様の美しさと機能性に優れています。そのため、最近ではインプラント治療を希望する患者様が増加しています。
インプラント治療の流れ
はじめに、インプラント治療がどのように行われるのか、一般的なインプラント治療のおおまかな流れをご紹介します。
①歯科医院への相談・カウンセリング
インプラント治療の第一歩は、歯科医院でのカウンセリングです。カウンセリングでは、患者様の口腔内の状態を確認し、インプラント治療に関する疑問や不安、希望を詳しくお聞きします。
また、インプラント以外の治療法の可能性についても説明。患者様が安心して治療に臨めるよう、治療内容やスケジュール、リスクについても丁寧に説明を行います。十分な情報を得たうえで、術前検査へ進むかどうかの意思を固めていただくというのが一般的です。
②検査・治療計画
カウンセリングが終わった後は、治療を進めるための詳細な検査を行います。歯周病の有無や歯の状態、顎の骨の密度をCTスキャンで確認し、歯型を採取します。
これらのデータをもとに治療計画を立案し、費用やスケジュールについて患者様と相談しながら最適な治療方法をご提案します。その後、正式契約という流れです。
③1次手術:インプラント埋入手術
インプラントの1次手術は、インプラント体を顎の骨に埋め込む重要なステップです。局所麻酔を行った後、歯茎を切開し、専用の装置で顎の骨に穴を開けます。そして、その穴にチタンでできたインプラント体を埋め込みます。
このプロセスが完了すると、歯茎を縫合して術後の回復を待ちます。インプラント体と骨がしっかりと結合するまで、通常2~6か月の治癒期間を設けるのが一般的です。この期間は、次のステップに進むために非常に重要な期間と言えるでしょう。
④骨造成手術(必要な方のみ)
インプラントを埋め込むためには、十分な量と質の骨が必要です。もし顎の骨が不足している場合、骨を増やす骨造成手術を行います。骨造成には、骨を人工的に増やす方法や移植を行う方法があります。
これにより、インプラント体がしっかりと固定できる土台を確保するのです。この手術が必要な場合、インプラント手術に加え1~3時間の手術時間が必要で、費用も追加でかかりますが、安全な治療の実現、インプラント治療の成功のためには欠かせない処置です。
⑤抜糸・仮歯調整(処置後2週間)
インプラント手術後、約2週間が経過した時点で、手術で使用した縫合糸を抜糸します。これにより、傷口の回復を促進し、感染のリスクを減らすことが可能です。
同時に、必要に応じて仮歯の調整も行います。仮歯はこの待機期間中に、食事や日常生活において不便がないようにするための重要な役割を果たします。ただし、インプラント体への過度の負担を避けるため、柔らかいものを中心に噛むなどの注意が必要です。
⑥待機
インプラント治療における待機期間は、インプラント体が顎の骨と結合するために必要な重要なプロセスです。この結合が確実に進むことで、インプラントが安定し、長期間にわたり機能します。
待機期間の長さは人によって異なりますが、一般的には2~3ヶ月です。この間通院の必要はありませんが、異常を感じた場合には歯科医師へ早めに相談しましょう。
⑦2次手術:アバットメント取付
顎骨とインプラントの結合が確認された後、2次手術を行います。この手術では、インプラント体の露出を図るために歯茎を切開し、アバットメントを装着します。アバットメントは、最終的に人工歯を取り付ける土台部分を形成する重要なパーツです。
手術後、歯茎の形が整うまで1〜2週間の安静が必要ですが、入院の必要はなくその日のうちに帰宅可能です。
⑧仮歯の装着
アバットメントが装着された後、仮歯を取り付けることで口腔内の機能性を回復します。この仮歯は噛み合わせや歯茎の安定を維持するために不可欠です。
仮歯を装着することにより、インプラント治療の最終的な仕上がりがより良いものとなり、見た目も自然な印象となります。本歯に近い色や形状を持つ仮歯は、早期から満足度の高い見た目を得られます。
⑨型取り
患者様のお口に最適な人工歯を作成するために、精密な型取りを行います。型取りに使用するトレイや材料は個々の口腔内の状態に応じて選定され、インプラントと隣接歯の正確な形状を記録することが可能です。
この過程により、形状や噛み合わせはもちろん、色味に関しても周りの歯と調和した人工歯を製作できます。型取りが完了すると、歯科技工士が理想の人工歯に仕上げてくれます。
⑩被せ物(人工歯)完成・装着
型取りから約1〜2週間後、完成した人工歯を最終的な場所に装着します。
アバットメントの上にしっかりと固定されるこの被せ物(人工歯)は、色や形状、噛み合わせを細かく調整し、最終的な仕上がりを確認します。必要に応じて修正も可能です。
⑪メンテナンス・定期検査
インプラント治療後のメンテナンスは、インプラントを健康的に維持するために不可欠です。通常、2~3ヶ月に1度の定期検診とメンテナンスが推奨されます。これにより、インプラント周囲の清掃状態を確認し、炎症の予兆を早期に発見することができます。
インプラント周囲炎などのトラブルを未然に防ぎ、快適な口腔環境を保つため、担当の歯科医師や歯科衛生士による指導のもと、適切なブラッシングやケアを心がけましょう。
インプラントの「1回法」と「2回法」の違い
インプラント手術には、1回法と2回法という2つの異なる方法があります。
- 1回法…歯肉を1回だけ切開し、インプラント体を埋め込むと同時に、人工歯根の上にアバットメント(人工歯根と人工歯をつなぐ部分)を取り付ける方法
- 2回法…歯肉を2回切開する方法です。1回目の手術でインプラント体を埋め込み、十分な骨との結合を待ってから、2回目の手術でアバットメントを取り付ける方法
どちらの方法を選ぶかは、患者様の顎の骨の状態、歯周組織の状態、全身的な健康状態、そして患者様のご希望などを総合的に判断して決定されるのが一般的です。
抜歯即時埋入法 / 歯待時埋入法について
抜歯即時埋入法と抜歯待時埋入法は、歯を抜いた後のインプラント治療のタイミングによる2つの異なるアプローチです。
抜歯即時埋入法は、抜歯と同時にインプラントを埋入する方法で、治療回数が少なく、短期間で治療を完了できるというメリットがあります。
一方、抜歯待時埋入法は、歯を抜いた後に歯茎や骨の回復を待ってからインプラントを埋入する方法です。このアプローチは治療期間が長くなるものの、インプラントの安定性が向上し、感染リスクが低いという利点があります。
それぞれの治療の流れをもう少し詳しく見ていきましょう。
抜歯即時埋入法の治療の流れ
抜歯即時埋入法は、歯を抜いた直後にインプラントを埋入する治療法です。まず、診察やレントゲン、CTなどを用いて、患者の口腔の状態を詳細に評価し、治療計画を立てます。
局所麻酔を行い、抜歯手術を行った後に抜歯した箇所を洗浄し、インプラント体を埋入します。この時点で仮歯や専用キャップを取り付け、歯茎と骨の回復を待つ段階に移ります。
骨とインプラント体が結合するまでの期間は3〜6ヶ月です。その後、最終的な被せ物を行い、治療が完了します。
抜歯待時埋入法の治療の流れ
抜歯待時埋入法では、まず抜歯を行い、その後、歯茎や骨の自然回復を待ちます。この回復期間は個人差がありますが、通常は1〜6ヶ月程度です。
骨や歯茎の回復を確認したのち、インプラント埋入手術を行います。手術では、インプラントのネジ部分を専用キャップで覆い、一旦歯茎で覆うのが基本。骨とインプラントの結合を3〜6ヶ月間待ち、結合が確認されたら2次手術に移ります。
2次手術後、最終的な被せ物を装着することで治療が完成します。抜歯待時埋入法は、インプラントの安定性を重視した治療です。
インプラントの治療期間の目安
インプラント治療の期間は、患者様の口腔内の状態や治療計画により大きく異なります。平均的には3ヶ月~1年程度です。この期間には、インプラント体が顎の骨にしっかり固定されるまでの「待つ時間」も含まれます。
年齢や健康状態により代謝や回復のスピードが異なるため、治療進行にも個人差があります。また、虫歯や歯周病の治療や、骨が少なく骨造成を行う場合などはさらに期間が延びることも頭に入れておきましょう。
インプラント治療にかかる総費用
インプラント治療の総費用は、多くの場合、1本あたり30~45万円が相場となっています。これにはインプラント本体の費用、手術費用、事前の検査費用、術後のメンテナンス費用が含まれます。
基本的には自費診療となりますが、医療費控除の対象となるため、控除を適用することで経済的な負担を軽減できます。また、患者様の骨の状態によって選択される治療法や手術内容により、費用も大きく変動するのが基本です。
インプラント手術後の過ごし方・注意点
インプラント手術後は、痛みや腫れが伴うことが多い傾向があります。そのため、術後すぐの激しい運動や入浴を避け、安静にすることが大切です。食事も、傷口を刺激しない柔らかい食品を選びましょう。
喫煙や飲酒も避けるべきです。特に喫煙はインプラントの成功に悪影響を与える可能性があるため、インプラント治療開始~治療完了後も禁煙することが望ましいと言えるでしょう。
さらに、処方された抗生物質や痛み止めを正しく服用し、指導された方法でセルフケアを行うことも重要です。以下では、そのほかの術後の過ごし方・注意点についてご紹介します。
インプラント治療後はメンテナンスに通わなければならない
インプラントは人工物であるため、虫歯にはなりませんが、歯石が溜まると歯周病のリスクが高まります。インプラント周辺の健康を保つためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
毎日のブラッシングを丁寧に行うことはもちろん、定期的に専門的なクリーニングを受けましょう。これによりインプラントの寿命を延ばし、安定した状態を長期間維持することが可能です。
インプラント周囲炎のリスクがある
インプラント治療後は、インプラント周囲炎のリスクが高まることに注意が必要です。インプラント周囲炎は、インプラント周辺に炎症が生じる状態で、天然歯よりも早く進行する傾向があります。
また、お手入れを怠ると歯垢がたまり、細菌が繁殖し、骨を支える組織にダメージを与えることがあります。そのうえ、他の健康な歯にも悪影響を及ぼす可能性があることを覚えておきましょう。
定期的な検診も必要
インプラントを長く持たせるためには定期的な検診が不可欠です。特に、神経が通っていないインプラントは痛みや変化に気付きにくいため、症状が出た時にはすでに手を付けられないところまで進行しているケースも少なくありません。
問題を早期発見し、インプラントを健康的に維持するためにも、前述したように歯科医院での定期的な検診・メンテナンス・クリーニングが必要不可欠です。
インプラント治療に関するご相談は高田歯科クリニックへ
インプラント治療は、失った歯を補うための魅力的な方法として現在多くの患者様に選ばれています。天然歯に近い見た目と機能性を回復できることに期待できますが、その治療の成功には、経験豊富な歯科医師による適切な診断と計画、治療が欠かせません。
当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」では、術前のカウンセリングで患者様一人ひとりのお考えやお気持ちに応じた治療法を丁寧に説明し、疑問や不安をしっかりと解消するよう心掛けています。
インプラント治療に関する不安や疑問がありましたら、安心して任せられるクリニックとして、ぜひ一度当院へご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年8月30日