インプラントの代表的な失敗例とその原因!失敗を防ぐポイントもご紹介
インプラント治療は、高度な技術を要する治療であり、歯科医師の経験や技術力によってその成功率は大きく左右されます。そこで本記事では、インプラント治療の失敗例を挙げ、その原因を分かりやすく解説。
さらに、失敗を防ぐための具体的な対策や、治療後のケアについてもご紹介します。インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にして後悔のない治療を選択してください。
-インプラントの代表的な失敗例-
- インプラントがうまく固定されない
- インプラント周囲炎を引き起こした
- 腫れや痛み、しびれなどの症状が長期間続く
- 人工歯が破損する、ぐらつく、外れる
-失敗を防ぐポイント-
- 定期的にメンテナンスを受ける
- 毎日のセルフケアを徹底する
- 歯ぎしりや食いしばりの癖を直す
- 禁煙する、本数を減らす
- 信頼できる歯科医院・歯科医師を選ぶ
インプラント治療前に把握しておきたいリスク
インプラント治療は高い成功率と多くのメリットを持つ歯科手術ですが、リスクが伴うことも理解しておかなければなりません。特に体力が低下している方にとっては、感染症や神経損傷などのリスクが大きくなります。
さらに、治療後のケアが不十分だとインプラント周囲炎が起こる可能性があります。また、経験の浅い医師による治療は、失敗のリスクを高める要因となり得ます。これらのリスクを十分に理解した上で治療を受けることが重要と言えるでしょう。
インプラントが失敗する確率
一般的にインプラントの成功率は97%と報告されており、下あごの成功率が98%、上あごでは96%と若干異なります。これは骨の密度や状態の差が影響しています。
失敗する確率は数%と考えられていますが、インプラントは全て成功が保証されているわけではなく、約1割のケースで失敗する可能性があることを理解しておきましょう。
したがって、失敗時のリカバリーに対応できる歯科医師のもとで治療を受けることが大切です。
インプラントの代表的な失敗例
インプラント治療には、例えば人工歯が骨から浮いてしまったり、骨との結合が不十分になったりする失敗例が報告されています。このような失敗の原因は、骨の適切な量や質が不足している場合や、手術手技の不十分さが関与していることが多いのが現状です。
さらに、患者が手術後のケアを怠った場合にも失敗が生じる可能性もあります。成功率が高いとはいえ、リスクを理解し、手術後のケアを徹底することが不可欠です。
ここからはインプラント治療における代表的な失敗例とその原因について見ていきます。
失敗例①インプラントがうまく固定されない
インプラント手術の失敗例として挙げられるのが、インプラント体と顎の骨が結合されずにうまく固定がされないことです。
では、インプラントがうまく固定されない原因にはどのようなことが考えられるのか、下記項目で深堀りしていきましょう。
原因①手術前の診断・治療計画が不十分
インプラント治療の前には診察や検査が重要です。レントゲンやCT撮影で歯や骨の状態を調べ、虫歯や歯周病の検査や全体の噛み合わせ、歯並びをチェックする必要があります。
特に、インプラント体を埋め込む位置なども重要な要素となりますが、不十分な診断ではインプラント体を適切に埋入することができず、うまく固定ができません。
また、手術後に神経や血管の損傷、血圧や心拍の異常、噛み合わせの問題が生じる可能性があるため、診断は重要な要素と言えるでしょう。
さらにインプラント治療は失った歯を補うだけでなく、機能性や審美の役割を果たし、長期間機能するための治療計画が大切です。
原因②適切に埋入されていない
インプラントを正確に埋入するためには、埋入する位置や角度、深さが適切でなければなりません。これはインプラント手術前の治療計画で把握しておかなければならない重要なポイントとなります。
もし、不適切な埋入を行った場合、インプラントと骨が上手く結合されなくなり、インプラント治療が失敗に終わってしまいます。
原因③骨が少ない・薄い
インプラント手術を安全に行うためには、顎の骨の量が十分にあることが条件として挙げられます。というのもインプラントは顎の骨と結合することによって固定されるからです。
十分な骨の量や厚みがなければ、インプラントが固定されず、動揺や脱落につながる可能性も考えられるでしょう。ただし、骨が少ない・薄い方は骨造成(骨を増やす手術)を併せて行うことで、治療が可能になるケースがほとんどです。
原因④ドリルによる骨の損傷・ダメージ
インプラント手術を行う際は、インプラント体を顎の骨に埋入するための場所を確保するためにドリルで穴を開ける処置を行います。
この際、ドリルの回転数や速度が適切でない場合、骨に損傷を与えてしまい、インプラントと骨の結合が上手くいかなくなることがあります。
失敗例②インプラント周囲炎を引き起こした
インプラント周囲炎は、インプラント治療後に起こりうる深刻な合併症であり、インプラントの脱落(抜ける)に繋がることがあります。この症状は、インプラントを周りの組織が細菌感染により炎症を起こす状態です。
感染が進行すると、インプラントを支える骨が溶けてしまい、支える力を失うことで最終的にはインプラントが脱落する危険性も。このため、患者様自身のセルフケアや定期的なメンテナンスが非常に重要です。
原因①術後のメンテナンスを怠った
インプラント周囲炎の最も一般的な原因は、術後のメンテナンス不足です。術後のケアとして、自宅での正しい歯磨きや歯間ブラシの使用、さらには定期的な歯科医院でのメンテナンスが必要となります。
しかし、これらのメンテナンスを怠った場合、細菌感染のリスクが高まり、インプラント周囲炎を引き起こしやすくなることも。特にインプラント周辺は汚れが溜まりやすい部分であるため、細心の注意を払いながら丁寧なメンテナンスを心掛けましょう。
原因②歯周病治療が不十分
もし、既存の歯周病が十分に治療されないままインプラントが行われると、インプラントの成功に悪影響を与える可能性があります。
歯周病は細菌が歯茎や骨に感染することで進行する病気であり、インプラントにも同様のリスクがあります。
事前に歯周病を完全に治療することができないと、インプラントを支える骨の安定性が失われ、結果として炎症を引き起こしやすくなるでしょう。これはインプラント周囲炎を防ぐための基本的なステップです。
原因③治療を行った歯科医院の衛生管理が不十分
インプラントの治療において、衛生管理の不十分さは大きなリスクとなります。手術室や使用する器具が清潔でないと、手術中に細菌が侵入し感染症を引き起こす可能性が高まります。
特にインプラント手術は外科的な処置を含むため、感染リスクは他の歯科治療よりも高くなることを理解したうえで衛生管理を徹底しておかなければなりません。
したがって、治療を受ける歯科医院の衛生状態を事前に確認し、安心して治療を受けられる環境を選ぶことが重要です。
失敗例③腫れや痛み、しびれなどの症状が長期間続く
インプラント治療後に痛みや腫れが長期間続くと、患者様にとって大きなストレスとなります。治療直後の痛みや腫れは通常1〜2週間で治まるものですが、それ以上続く場合は何らかのトラブルがある可能性があります。
特に痛み止めを服用しても症状が緩和しない場合、治療の失敗を疑ってください。長引く問題の背景にはいくつかの要因が考えられます。
原因①インプラントが適切に埋入されていない
インプラントが正しい位置・深さ・角度に埋入されていないと、さまざまな問題が発生します。例えば、他の歯の歯根に直接影響を与え、痛みを引き起こす原因になることも。特に下顎では神経が集中しているため、過度な症状が現れやすい部分です。
痛みやしびれが続く場合、インプラントの埋入が適切ではない可能性がありますので、すぐに担当医に相談しましょう。
原因②神経・血管の損傷
インプラント治療後に発生する深刻なトラブルの一つに、神経や血管の損傷があります。埋入の際に深さや角度を誤り、神経に触れることで損傷が起こると、麻酔をかけられたように顎が麻痺してしまいます。
この麻痺は感覚の鈍さを伴い、動きや味覚には影響しないものの、持続的な違和感を引き起こすでしょう。軽度であれば時間と共に回復することもありますが、損傷がひどい場合は永続的に麻痺が残ってしまうこともあり、早期の対策が重要です。
原因③細菌に感染している
インプラント治療後に痛みや腫れが長引く原因として、細菌感染も考えられます。これは治療時の衛生管理が不十分だった場合や、手術後の口腔内ケアが不適切だった場合に発生します。
細菌感染によって引き起こされる炎症は、インプラントそのものではなく、その周囲の組織に影響を及ぼすため、症状が続くときは早期に歯科医を受診し、適切な治療を受けましょう。
衛生管理の良好な歯科医院を選ぶことも、トラブルの予防に重要です。
失敗例④人工歯が破損する、ぐらつく、外れる
インプラントは長期間使用できるものですが、人工歯の破損やぐらつき、外れるといった問題が発生することがあります。これらの問題は適切なメンテナンスを行うことで予防や早期の対応が可能です。
下記項目では、人工歯の破損やぐらつき、脱落の原因となるいくつかの例について解説します。一つずつ見ていきましょう。
原因①嚙み合わせが適切でない
嚙み合わせが適切でない場合、特定の歯に過度の負担がかかり、人工歯が破損することがあります。噛み合わせが悪いと歯と歯が激しくぶつかり合い、人工歯が割れたり欠けたりする可能性が高まってしまうのです。
また、不適切な噛み合わせは細菌感染のリスクを増やすこともあります。そのため、治療時には経験豊富な医師のもとで正しい嚙み合わせ調整を受けることが重要です。
原因②アバットメントが緩んでいる
アバットメントが緩むと人工歯がぐらついたり、抜け落ちたりすることがあります。アバットメントはインプラント体と上部構造をスクリューで接続する重要な部分で、もしネジが緩んでいると、インプラント全体の安定性が損なわれ、人工歯の破損や脱落につながる恐れがあります。
このため、定期的なチェックとメンテナンスでネジの緩みがないかを歯科医院でチェックしてもらう必要があるでしょう。
原因③インプラントの固定不良
インプラントが正しく固定されていない場合も、破損や脱落の原因になります。インプラントは骨に埋入されるインプラント体、その上の上部構造、そしてそれらを連結するアバットメントで構成されています。
スクリューの締め付けが不十分だと、上部構造が不安定になり、結果としてインプラントの故障を引き起こすことが考えられるでしょう。
原因④歯ぎしりや食いしばりの癖
歯ぎしりや食いしばりが癖付いていると、インプラントに過度な力をかけてしまい、結果として根元が揺らぎやすくなります。
そのため、インプラント治療を受けた後は、歯ぎしりや食いしばりといった癖を改善することが望ましいと言えます。特に夜間の歯ぎしりに対しては、マウスガードの使用などで負担を軽減する対策を行うと良いでしょう。
万が一インプラント治療が失敗した場合の対処法
インプラント治療が失敗した場合の対処法としては、再手術、ブリッジ、入れ歯の選択肢があり、治療後の状態や個々の症状に応じて、最適な方法を選択することが重要です。
以下では、それぞれの対処法について詳しく説明します。
インプラントの再手術
インプラント治療が失敗した場合、最初に考慮すべきはインプラントの再手術です。インプラント体がまだ口の中に残っている場合や、埋め込んだインプラントが安定しない場合は、インプラントを取り除き、新しいものを埋め込む手術が必要となります。
この際、顎の骨量が不十分であれば、人工骨を移植するなどの処置を行い、手術の成功率を高めます。しかし、再手術は高額な治療費やリスクの増大も伴うため、慎重に検討しましょう。
ブリッジ
インプラントが不可能な場合には、ブリッジが検討されます。ブリッジは失われた歯の両隣の健康な歯を削って支えにし、橋状に人工歯を取り付けるという治療法です。
費用が比較的安価で、外科手術を必要としないという利点がありますが、健康な歯を削ることで、これらの歯の寿命が短くなる可能性があるため、慎重な検討が必要です。
また、失われた歯の数や場所によっては、ブリッジでの対応が難しい場合もあることを理解しておきましょう。
入れ歯
再手術が難しい場合、入れ歯を選択することも可能です。入れ歯は噛む力が弱く、見た目や装着感に問題が生じることがあるものの、治療期間が短く費用も抑えられる利点があります。
また、手術を伴わないため、安全性が高いことも特徴の一つ。特に、インプラント周囲炎が重症化してあごの骨が大幅に減少しているケースなど、他の選択肢が難しい場合に適しています。
インプラント治療の失敗を防ぐための5つのポイント
インプラント治療の失敗を防ぐためには、以下の5つのポイントが重要です。
このポイントを念頭に置いて、インプラント治療を成功させ、長持ちするようメンテナンスや健康的な日常生活を心掛けましょう。
定期的にメンテナンスを受ける
インプラント治療後のメンテナンスは、インプラント歯の寿命を延ばし、トラブルを未然に防ぐために必要不可欠です。定期的に歯科医院に通院し、インプラントの状態や虫歯、歯周病のチェックを受けることで、早期の問題発見と対応が可能になります。
また、歯科医院でのクリーニングは、自宅でのケアでは届かない汚れを取り除くことができます。インプラント周囲炎を予防するためにも定期的な検診は欠かせません。
さらに、噛み合わせの調整を行うことで、インプラントに過度な負担がかかるのを防ぎます。
毎日のセルフケアを徹底する
インプラント周囲炎はインプラントの失敗につながる主な原因の一つです。それを防ぐためには、毎日のセルフケアが鍵となります。インプラント周囲の汚れを効果的に除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシを使用し、丁寧に清掃を行いましょう。
また、適切な歯磨き方法を習得し、口腔内の衛生状態を維持することで細菌感染によるトラブルを防ぎ、インプラントの寿命を延ばすことができます。
###歯ぎしりや食いしばりの癖を直す
歯ぎしりや食いしばりの癖は、インプラントに過度な力をかけてしまい、破損や脱落の原因となることがあります。このような癖を持つ人は、ナイトガードという専用のマウスピースを使用することで、歯にかかる力を和らげることができます。
ナイトガードは、歯科医師の指導のもと個々の口腔状態に合わせて作成されるため、まずは歯科医師や歯科衛生士に相談してみましょう。
禁煙する、本数を減らす
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血流を阻害するため、傷の治癒を遅らせるだけでなく、免疫力も低下させてしまいます。
この結果、インプラントと骨の結合が妨げられる可能性があります。インプラント治療を成功させ、長持ちさせるためには、禁煙や喫煙本数の削減を心掛けましょう。禁煙に取り組むことで、インプラント治療の成功率を高めることにつながります。
信頼できる歯科医院・歯科医師を選ぶ
インプラント治療を成功させるには、医師選びが非常に重要です。この治療は高度な技術を要するため、経験豊富で技術力のある医師に依頼することが大切です。
医師や歯科医院を選ぶ際には、口コミや評判、実績などを参考にすることが有効と言えるでしょう。信頼性のある医師に出会うことができれば、安心して治療を任せられ、良好な結果を期待できます。
インプラント治療で失敗しない歯科医院の選び方
インプラント治療は、成功することで患者の生活を大きく改善することができる治療法です。しかし、そのためには信頼できる歯科医院を選ぶことが不可欠です。
ここでは、インプラント治療で後悔しないための歯科医院選びのポイントを解説します。
インプラント治療の実績・経験が豊富
インプラント治療を受ける際には、その歯科医院がどれだけの実績を持っているかを確認することが非常に重要です。実績が豊富な医院であれば、多様なケースを経験しているため、不測の事態にも柔軟に対応できることが期待できます。
カウンセリングの際に、具体的な症例数や成功例について詳しく質問したり、ホームページで事前に情報を確認したりしましょう。実績豊富な医師がいる医院では、インプラント手術の成功率が高まり、安心して治療を受けられます。
CTなどの設備が整っている
インプラント治療には、患者の口腔内を精密に診断するための最新の設備が欠かせません。特にCTは、顎の骨の構造や神経の位置を立体的に把握するために重要です。これにより、インプラントの埋入を行う際のリスクを最小限に抑えることができます。
検査機器が充実している歯科医院を選ぶことで、インプラントの手術を安全かつ精度高く行うことが可能になります。治療前に使用する機器や設備について十分に確認することが大切です。
カウンセリングが丁寧
丁寧なカウンセリングを行っている歯科医院を選ぶようにしましょう。カウンセリングで患者様の不安や疑問に親身になって答え、治療計画を分かりやすく説明してくれる医院は、患者との信頼関係を大切にしています。
遠慮なく質問し、治療の流れや費用について納得できるまで説明を求めましょう。丁寧なカウンセリングは、患者様が安心して治療に臨むための大事な要素となります。
衛生管理の域届いた手術室・院内である
インプラント治療において、衛生管理が徹底されているかどうかは大変重要です。清潔な環境で手術が行われることで、感染リスクを低減できるため、安全な治療が期待できます。
歯科医院選びの際には、手術室や院内の衛生管理についても確認しましょう。感染症対策がしっかりされている医院であれば、安心してインプラント治療を受けることができます。
費用が安すぎる歯科医院は避ける
インプラント治療の費用が極端に安価な場合、品質の低い材料を使用している可能性があります。
治療費用は、使用するインプラントの品質や医療機器に影響され、品質の良いインプラントを使用している医院は、それに応じた適正な料金を設定していることがほとんどです。
治療を受ける前に、費用が妥当であるかどうかをしっかり確認し、自分にとって最も信頼できる医院を選びましょう。
信頼できるメーカーのインプラントを取り扱っている
インプラント治療の成功には、使用するインプラントの品質が大きく影響するため、信頼できるメーカーの製品を使用している歯科医院を選ぶことが重要です。
世界的に評価の高いメーカーのインプラントは、品質が保証されており、長期的な安定性も確保されています。手術の際に使用するインプラントのメーカー名や品質について事前に確認し、安心して治療を受けるための判断材料としましょう。
失敗しない歯科医院選びで安心のインプラント治療を実現しましょう!
インプラント治療は審美性や機能性に優れており、天然歯とほとんど変わらない状態まで回復できる魅力的な治療の一つです。
しかし、難易度の高い外科手術であり、高度な技術を要することから、インプラント手術が失敗に終わってしまうケースがあることも否定できません。
その失敗例があることを理解しつつ、安心安全に治療を行い、そのインプラントを長持ちさせていくためにも、自分でできる対処法や歯科医師・歯科医院選びに大切なポイントを知っておきましょう。
インプラントを検討されている方やインプラント治療に不安がある方は、ぜひ一度「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年12月2日