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【比較】インプラント「ワンピース」「ツーピース」の違いとは?

インプラントは、歯を失った方々にとって有効な治療法の一つです。その中でも、「ワンピース」と「ツーピース」という2つのタイプがありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

これらの選択は、治療の進行や患者様のライフスタイルにも影響を及ぼすため、最適な選択をするためにはその特徴や各メリット・デメリットを理解することが重要です。

そこで本記事では、「ワンピース」と「ツーピース」の特徴や違い、メリット・デメリットについて解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

-インプラントのワンピース/ツーピースの違い-
ワンピース ツーピース
手術回数 基本1回(2回の場合もあり) 基本2回(1回の場合もあり)
構造 インプラントとアバットメントが一体化 インプラントとアバットメントが分かれている
費用 約18~35万円
部品が少ないためツーピースより安い
約30~50万円
部品が増えるためワンピースより高くなりがち
審美性 人工歯の形態が限られる
不自然な歯並び、歯と歯茎の間に隙間が開きやすくなることもある
より自然で美しい見た目に仕上がる
メリット 基本的に1回の手術で済む
患者様の身体的、精神的な負担を軽減できる
治療期間を大幅に短縮できる
ネジの緩みの心配がなく強度に優れている
幅広い適応症例に対応可能
患者様の口内環境に応じて最適な人工歯の形状にでき審美性が高い
デメリット 顎の骨の厚みが必要なため、適用できる症例が限定される
インプラントの方向修正が難しくトラブルが生じた場合にはインプラントごと撤去しなければならない場合がある
手術が2度必要な場合が多いため、身体的負担や治療期間が増える
ネジの緩みや定期的な調整が必要になる

インプラントの構造

ワンピースとツーピースについて見ていく前に、インプラントの構造を頭に入れましょう。インプラントは以下の3つのパーツで構成されています。

  • 顎の骨に埋め込む「インプラント体(人工歯根)」
  • インプラントと上部構造をつなぐ「アバットメント(支台)」
  • 失った歯の代わりとなる「上部構造(人工歯)」

それぞれのパーツについてもう少し詳しく見ていきましょう。

インプラント体(人工歯根)

インプラント体とは、顎の骨に埋め込む部分であり、天然歯でいう歯根を指します。

インプラント体の素材としては、その多くが身体との親和性が高いというわれるチタンやチタン合金が使われています。これらは金属アレルギーの心配が少なく、耐久性にも優れているのが特徴です。

そのほか、ジルコニアが用いられているインプラント体も存在し、審美性を重視している方や金属アレルギーが心配な方にはおすすめです。

のちほど説明しますが、この「インプラント体」には、「インプラントとアバットメントが一体化している“ワンピースタイプ”」と、「インプラントとアバットメントをネジで連結する“ツーピースタイプ”」があります。

アバットメント(支台)

アバットメントとは、インプラント体と上部構造をつなぐ土台となる大切な部分です。

インプラント手術後、傷口が治癒し、インプラント体と骨の結合が確認できたら装着するという流れです。

アバットメントにもチタン合金やジルコニアなど様々な素材があるため、通常、患者様の口腔内の状態に合わせたものを選んで装着していきます。

上部構造(人工歯)

上部構造は、いわゆる「歯(人工歯)」の部分を指します。人工歯は主にセラミックやジルコニアの素材が使用され、天然歯とほぼ同じ見た目を回復することができ、審美性に優れているのが特徴です。

また、耐久性も高いため、天然歯と同じようにしっかりと噛むことができるのも特徴として挙げられます。

インプラント治療の流れ

インプラント治療の流れは、以下の通りです。

1.問診

現在の口腔内の状態や治療に対する要望、持病やアレルギー、服用している薬はないかなど、患者様から直接お話をうかがいます。

2.精密検査

虫歯や歯周病、噛み合わせのチェックを行います。また、インプラント治療には、顎の骨の量が十分にあることも条件の一つとなるため、レントゲンやCT撮影を行い、インプラントが埋入できる状態なのか、骨の量や質、幅や高さを細かく把握します。

3.診断、治療計画作成、説明

検査をもとに診断を行い、どのように治療を進めていくのかの計画を立てる段階です。その後患者様に直接説明を行い、同意のうえ手術に進みます。

4.インプラント手術

手術当日は局部麻酔を行います。歯茎を切開し、インプラント体を埋入します。2回法の場合は一度歯茎を縫合し、期間を空けた後、再度歯茎を切開してアバットメントを装着します。

5.待機期間

傷口の治り、インプラント体と骨の結合を待つのに約3ヶ月~6ヶ月ほど期間を空けます。

6.上部構造の型取り

待機期間を経て傷口と骨の状態が安定したら、上部構造(人工歯)の型取りを行います。

7.上部構造の装着

上部構造(人工歯)が完成したら装着して、治療終了です。

なお、インプラント治療には次に説明する1回法と2回法があります。

インプラント治療①1回法

1回法は、インプラント手術を1回で完了させる方法です。歯茎を切開してインプラント体を埋入した後、アバットメント(土台)までを装着します。

このアバットメントは、歯肉の上に露出させたままにし、インプラント体と骨が結合するまで期間を空けます。

1回法は外科手術が1度で済むため、患者様の身体的、精神的負担を軽減できることがメリットです。また、手術回数や治療期間が少なくなる分、費用を抑えることができるのも特徴のひとつと言えるでしょう。

インプラント治療②2回法

2回法は、インプラント手術を2回に分けて行う方法です。1回目の手術では、歯茎を切開しインプラント体を顎の骨に埋入し、一度歯肉の縫合を行います。

その後、傷口の治癒とインプラントと骨が結合するのに約3~6ヶ月ほど期間を設けるのが一般的です。傷と骨の状態が安定したのが確認できたら2回目の手術を行い、改めて歯茎を切開し、アバットメント(土台)を装着します。

インプラントの「ワンピース」と「ツーピース」の違い

インプラント治療においては、「ワンピース」もしくは「ツーピース」が用いられます。それぞれのインプラントは構造が異なり、使用される状況や患者様の状態に応じて適切な選択をする必要があります。

それぞれのインプラントの特徴とメリット、デメリットについて見ていきましょう。

ワンピースインプラントの特徴

ワンピースインプラントは、その名の通りインプラント体とアバットメントが一体化したインプラントです。

このタイプは主に1回法の手術で用いられ、再度の歯肉切開が不要なため患者様の負担が軽減されます。

また、インプラント体とアバットメントが一体化しているため、インプラント体の位置や角度の確認・調整を直接行えるというのも特徴です。

ワンピースインプラントのメリット

ワンピースインプラントの最大のメリットは、1回の手術でインプラントを埋入可能=手術が一度で済むことです。

これにより、患者様の身体的、精神的な負担を軽減できるほか、治療期間を大幅に短縮できます。また、部品が少ないため、ツーピースタイプに比べて費用を抑えることができ、ネジの緩みの心配がないため強度にも優れています。

ワンピースインプラントのデメリット

ワンピースインプラントのデメリットとして挙げられるのはまず、顎の骨の厚みが必要なため、適用できる症例が限定されるということです。

また、インプラントの方向修正が難しいため、トラブルが生じた場合にはインプラントごと撤去が必要になる可能性があります。これらの点から、ワンピースタイプの適用には事前の慎重な診断と計画が不可欠です。

ツーピースインプラントの特徴

ツーピースインプラントは、インプラント体とアバットメントが分離した構造を持つインプラントです。インプラント埋入後にアバットメントを取り付けることができ、角度調整が可能です。

1回法、2回法のどちらにも対応できるため、様々な症例に応じて柔軟に治療を進めることができます。

ツーピースインプラントのメリット

ツーピースインプラントの特長は、適用症例の幅広さにあります。顎の骨が痩せている方や審美性を重視する方などにも対応できる柔軟さが魅力です。

また、アバットメントが別部品であるため、患者様の口内環境に応じて最適な形状を選択することができます。

強い衝撃を受けた際にも、ネジが折れてインプラントと骨の結合を保護するフェイルセーフ機能が備わっており、安心して使用できます。

ツーピースインプラントのデメリット

ツーピースインプラントのデメリットは主に、手術が2度必要な場合があるため、身体的負担や治療期間が増え、費用も高くなる点です。

また、ネジの緩みや定期的な調整が必要になることもあり、長い目で見ると手間がかかる場合があります。

ワンピースインプラントの費用相場

ワンピースインプラントの費用は、1本あたり18~35万円が一般的な相場とされています。しかし、自由診療のため各医療機関で料金が異なることがあります。

ただし、自由診療のインプラントは虫歯治療などに比べると高額な治療費が必要になることが多いため、必ず見積もりを出してもらいましょう。

ワンピースインプラントが安い理由

ワンピースインプラントは、インプラント体とアバットメントが最初から連結していることで部品費用を抑えられ、手術回数も1度で済むため安価に治療をすることが可能です。

しかし、安い理由には安全性が保証されていない場合もあるのが現状です。インプラントの相場は約30万~40万円。その金額を大きく下回る場合、安全性が確立されていないメーカーのインプラントを使用している、歯科医師の経験が浅い、設備が整っていない、追加の料金を請求されるなどの危険性があります。

そのため、極端に治療費が安い場合は上記のような可能性があることを踏まえ、治療内容の詳細の確認を行い、信頼できる歯科医院に任せるようにしましょう。

インプラント1回法ができないケース

インプラントの1回法が適用できないケースとしては、歯を入れたい方向と顎骨の方向が異なる場合や、顎骨の量が不足している場合、さらには見た目をより自然に仕上げたい場合が挙げられます。

実際に、約8割から9割の患者様がこれらの条件に該当し、ワンピースインプラントが不適切とされることが多いのが現状です。

審美性や機能性を考慮して、多くの患者様がツーピースインプラントを選択する傾向にあります。

【比較表】「ワンピース」・「ツーピース」

ワンピース ツーピース
手術回数 基本1回(2回の場合もあり) 基本2回(1回の場合もあり)
構造 インプラントとアバットメントが一体化 インプラントとアバットメントが分かれている
費用 約18~35万円
部品が少ないためツーピースより安い
約30~50万円
部品が増えるためワンピースより高くなりがち
審美性 人工歯の形態が限られる
不自然な歯並び、歯と歯茎の間に隙間が開きやすくなることもある
より自然で美しい見た目に仕上がる
メリット 基本的に1回の手術で済む
患者様の身体的、精神的な負担を軽減できる
治療期間を大幅に短縮できる
ネジの緩みの心配がなく強度に優れている
幅広い適応症例に対応可能
患者様の口内環境に応じて最適な人工歯の形状にでき審美性が高い
デメリット 顎の骨の厚みが必要なため、適用できる症例が限定される
インプラントの方向修正が難しくトラブルが生じた場合にはインプラントごと撤去しなければならない場合がある
手術が2度必要な場合が多いため、身体的負担や治療期間が増える
ネジの緩みや定期的な調整が必要になる

「インプラント ワンピース」に関するよくある質問

最後に、「インプラント ワンピース」に関するよくある質問にお答えします。

ワンピースの代表的なインプラントメーカーはどこですか?

ワンピースインプラントの代表的なメーカーとして、スイスのストローマン社が挙げられます。ストローマン社は1974年からインプラント開発を行っており、特に1回法の手術で高い実績を誇ります。

SLAという表面処理技術を採用し、インプラントと骨の早期結合を可能にした点が特徴です。また、日本人の骨格に適した小さめのインプラント設計も大きな魅力。

長期使用にも耐える優れた耐久性により、信頼できるインプラントシステムとして広く支持されています。

インプラントの1ピース、2ピースの違いは何ですか?

ワンピースは、インプラント体とアバットメントが連結しており、インプラント手術を1度で済ませることが可能です。インプラント体とアバットメントが一体化していることから、部品の費用を抑えられ、さらには手術が1回で済むことで患者様への身体的・精神的負担を軽減することができます。

一方、ツーピースはインプラント体とアバットメントがそれぞれ分かれており、基本的に2度の手術が必要です。1回目の手術でインプラント体を埋入し、その後骨の結合が確認でき次第、再度歯茎を切開し、アバットメントを装着するという流れとなります。

そのため、ワンピースとツーピースの大きな違いとしては、インプラントの構造と手術回数と言えるでしょう。

どちらの方法が適しているかは、歯科医と相談して決めることが重要です。

インプラントを検討中なら、信頼できる歯科医院へまず相談!

インプラントは高価で専門的な治療であるため、まず信頼できる歯科医院で相談することをおすすめします。経験豊富な医師による精密検査を受け、適切な診断と治療計画を立ててもらいましょう。

本記事で紹介したワンピースインプラント、ツーピースインプラントにはそれぞれ長所と短所があるため、それらを総合的に判断し、自分に合った治療法を選ぶことが重要です。

インプラント治療に関して気になることや不安なことがありましたら、お気軽に当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」にご相談ください。

※本コラムはあくまで一般的な情報として説明しております。コラム内容で触れてはおりますが高田歯科ではあえて対応していない内容もございます。

ご来院いただく患者様に合わせて最適なインプラント提案をさせていただいておりますので、まずは相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年10月10日