インプラントが口臭の原因になる?口臭の原因と心がけたい口臭対策
歯を失ってしまった部分を補うインプラント。天然歯と変わらない見た目や機能性に優れていることから、最近ではインプラント治療を選ばれる方も増えてきました。一方で、インプラント治療後の口臭を気にされている方も多いのが現状です。
本記事では、インプラント治療後の口臭の原因やその対策について詳しく解説します。
-この記事でわかること-
- インプラントは、口臭の原因になることもある
- インプラントによる口臭原因は主に3つ(①磨き残し ②インプラント歯周炎 ③ネジの緩み)
- 口臭対策は4つ!(①セルフケア ②定期的な歯科検診・メンテナンス ③インプラント周囲炎の治療 ④生活習慣の改善)
- 口臭の原因は自分では分からないことも多い
- 原因を特定し、適切な対策を講じることが口臭改善への近道!気になる場合は歯科医院へご相談を。
インプラント治療を検討中の方や、すでにインプラント治療をされている方は、口臭を気にせず、インプラントを快適に使用し続けられるよう参考にしてみてください。
インプラントで口臭が発生する原因
インプラント自体は口臭を引き起こす材料を含んでいませんが、口の中の環境が変化し、口臭がきつくなる場合があります。そのため、インプラント治療後に口臭が発生することは稀ではありません。
口腔内の環境が悪化し、口臭の原因となる要素は下記の3つが挙げられます。
- 磨き残し
- インプラント歯周炎
- ネジの緩み
一つずつ見ていきましょう。
磨き残し
インプラント治療を行った場合、元々あった天然の歯と人工歯冠の間に微細な段差が生じやすいため、磨き残しが発生しやすくなります。この段差にはプラーク(歯垢)が蓄積し、細菌が増殖してしまいます。
細菌の増殖は悪臭の元を生じさせ、結果として口臭の原因になってしまうのです。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、インプラントが埋め込まれた部分の歯茎に炎症が生じる病気であり、その炎症による出血や膿などが口臭の一因となります。
インプラント周囲炎は放置すると、炎症が骨にまで達する危険性があり、骨が溶けることにより、最悪の場合インプラントが抜け落ちてしまうこともある怖い症状です。
インプラントのネジの緩み
インプラント治療後、時間が経つとインプラントのアバットメント部分(インプラント体と上部構造を連結する土台)のネジが緩むことがあります。
これが原因で唾液や汚れがインプラント周辺の隙間に入り込み、プラークが形成され、細菌が増殖して口臭を引き起こす原因となるのです。
自分の口臭をチェックする方法
自分の口臭に気づくのは難しいものですが、いくつかの方法で確認することができます。
口臭を自分自身で把握するのは、他人に不快感を与えないための第一歩です。ここでは簡単にできる自分の口臭チェック方法をご紹介します。
コップや袋を使って息をチェックする
コップやビニール袋を使ったシンプルな方法で自分の口臭を確認できます。まず、コップに息を吹き込み、すぐに蓋をしておきます。数秒後に蓋を開けて息を嗅いでみましょう。
もし臭いを感じる場合は、口臭が強まっている可能性があります。この方法は手軽にできるものの、鼻炎やアレルギーで鼻が詰まっていると正確に判断できないこともあります。こうした場合には、家族や親しい人に協力を依頼してみるのも良いでしょう。
唾液のにおいを嗅ぐ
唾液の臭いは口臭を判断する一つの指標となります。手をよく洗ったうえで指で舌や歯と歯茎の間を軽く触れ、指についた唾液のにおいを嗅いでみましょう。
万が一、臭いがする場合には口臭の発生を疑う必要があります。ただし、普段の手のにおいが混ざらないように注意することが重要です。
口臭測定器で確認する
市販の口臭測定器は、精密な測定が可能なアイテムです。この測定器は口臭の原因であるメチルメルカプタン、ジメチルサルファイド、硫化水素のガス濃度を測ります。
歯科医院で専門の機器を用いて測定するのが理想的ですが、自宅での簡易チェックには市販の測定器を利用するとよいでしょう。これにより、客観的に自分の口臭の強さをより正確に把握できます。
デンタルフロスのにおいを確認する
デンタルフロスを用いることで、歯間に溜まる細菌や食べかすから口臭を確認することもできます。フロスを使用して歯と歯の間を掃除した後、そのフロスのにおいを嗅いでみましょう。
臭いを感じるのであれば、そこに汚れが蓄積して口臭の原因となっている可能性があります。これを防ぐために、デンタルフロスは毎日の口腔ケアに取り入れることが重要です。
インプラントが原因の場合の口臭対策
インプラントが原因で口臭が発生する場合、適切な対策を講じることでそのリスクを軽減することが可能です。
インプラントは寿命が長いことがメリットの一つですが、適切にケアを行わなければ口腔内のトラブルを引き起こす可能性があります。そのため、口臭が気になる方は原因を特定し、正しいケア方法を実践することが重要です。
正しい方法でセルフケアを行う
インプラント治療後は、特に口腔内のケアが重要です。まず、歯磨きを徹底する習慣をつけましょう。
インプラントは元の歯と形状が異なり、段差があるため磨きづらい箇所が存在します。歯ブラシやデンタルフロスだけでなく、ヘッド部分が細いワンタフトブラシを使用して、細かい部分までしっかりと清掃することを心掛けましょう。
また、歯と歯茎の間や歯周ポケットのブラッシングも忘れずに行ってください。食事の後に時間をかけて丁寧に歯を磨くことで、インプラントが原因の口臭を効果的に防ぐことができます。
セルフケアを怠らず、プラークや細菌の繁殖を抑えることで、健康な口内環境を維持しましょう。
定期的に歯科検診・メンテナンスを受ける
歯磨きなどを徹底しているつもりでも、なかなか全ての汚れは落としきれません。そのため、セルフケアだけでは完全に口臭を抑えることは難しいとも言えます。そこで、定期的に歯科医院での検診・メンテナンスを受けることが大切です。
定期的な検診では、インプラント周りのチェックや目には見えないプラークの除去が行われれます。その他、歯科衛生士によるクリーニングやインプラントの適切な使用が行われているかの確認も受けられます。
3ヶ月~6ヶ月ごとの頻度での定期検診は、インプラントの寿命を延ばすだけでなく、口臭予防にも繋がるため、インプラント治療後も必ずかかりつけの歯科医院で検査を受けましょう。
インプラント周囲炎を治療する
口臭の原因がインプラント周囲炎である場合、早期治療が鍵となります。というのも、インプラント周囲炎は放置すると深刻な問題に発展する可能性があるからです。
口臭以外に、歯茎の腫れや出血、違和感を覚えた際はすぐに歯科医院で診察を受けましょう。初期症状の段階で治療を受けることは、インプラントを長く持続させるために非常に重要です。場合によっては、外科的処置や薬の処方が必要になることもあります。
インプラント周囲炎を未然に防ぐためにも、前述したセルフケアと定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
生活習慣を改善する
生活習慣の改善は、インプラントに起因する口臭の予防に期待できます。例えば、喫煙習慣は歯周病やインプラント周囲炎を悪化させ、口臭のリスクを高めます。
また、間食頻度が多いと口腔内の食べかすが蓄積され、それが口臭の原因につながることも…。そのため、喫煙や間食の習慣を見直すことが大切です。
さらに、バランスの取れた食事や規則正しい生活を心がけることで、口臭の原因となる体調不良や疾患の予防につながります。継続的に健康的な生活習慣を心掛け、口腔内外の健康を維持していきましょう。
インプラント以外にも口臭の原因はある
インプラントに対する対策を行っても口臭が改善されない場合、他の原因を考慮する必要があります。
インプラント自体が直接原因ではないケースも多く、口臭の要因は様々ですが、主に以下の4つが挙げられます。
- 舌苔(ぜったい)
- 虫歯や歯周病
- 全身疾患
- 生理的口臭
では一つずつ見ていきましょう。
舌苔(ぜったい)
舌苔とは舌の表面に溜まる汚れのことです。舌苔は口臭の原因となることがあり、特に白い苔状の物が多いと、口臭を引き起こす可能性が高まります。
舌苔は古い上皮細胞や食べかすが唾液と混ざり合ってできるため、細菌が繁殖しやすい環境を作り出します。舌苔の除去には舌ブラシや舌クリーナーを活用することが有効で、舌の奥から手前に向けて優しくケアをしましょう。
定期的な手入れによって口臭を予防し、口腔内を清潔に保つことが重要です。
虫歯や歯周病
虫歯や歯周病は口臭の原因の一つです。虫歯によって生じる歯の穴には食べかすがたまりやすく、細菌が繁殖することで悪臭を放ちます。特に、虫歯が進行して歯の神経に近づくと、強い痛みと共に膿が出ることで口臭が発生することがあります。
また、歯周病が進行すると、通常の歯ブラシでは取り除けない汚れが蓄積し、細菌が増殖して口臭の原因ともなるのです。予防には定期的な歯科検診と、虫歯や歯周病を早期に治療することが欠かせません。
全身疾患
口臭の原因に全身疾患が隠れていることもあります。例えば、糖尿病や肝臓病のような全身的な健康問題は、口腔内の状態に影響を及ぼし、口臭を引き起こす要因となることがあります。
また、副鼻腔炎や咽頭炎といった呼吸器系の病気も口臭の原因の一つです。この場合、まずは病気そのものの治療を行うことが優先されます。健康状態が改善されると共に、口臭も軽減される可能性が高いと言えるでしょう。
生理的口臭
生理的口臭は、誰にでも起こりうる自然な現象です。起床直後や空腹時、緊張時などに口臭が強まるのは、唾液分泌が低下して口内が乾燥しやすいためです。
この際、細菌の活動が活発になり、口臭の原因物質である揮発性硫黄化合物が増加します。日々の歯磨きや適切な口腔ケア、水分摂取によって、唾液分泌を促進し、この口臭を軽減することが可能です。
また、女性はホルモンバランスの変化により、時折生理的口臭が強くなることがありますが、その場合は生活習慣の見直しが効果的です。
「インプラント 口臭」に関するよくある質問
最後に、「インプラント 口臭」に関するよくある質問にお答えします。
インプラントをすると口臭がするのはなぜ?
インプラント治療後に現れる口臭の主な原因は、「磨き残し」「ネジの緩み」「インプラント周囲炎」の3つです。どの場合も、インプラントの周囲に歯垢などの汚れが溜まってしまうことが背景にあります。
汚れが溜まるとインプラントの周囲組織が炎症を起こし、出血や膿が出ることが口臭の原因となるのです。そのため、日頃から丁寧な歯磨きを心掛け、定期的な歯科医院でのメンテナンスに通い、口臭予防を行いましょう。
インプラントを外すと臭いがするのはなぜですか?
インプラントは、インプラント体、アバットメント、人工歯の3部構造で成り立っています。
アバットメント部分のネジの緩みや人工歯の適合具合によっては隙間が生じ、そこに汚れが蓄積することがあります。その汚れが原因となる臭いが、インプラントを外した時に放たれることが原因として考えられるでしょう。
口臭外来とは何ですか?
口臭外来とは、口臭治療を専門とする医療機関であり、主に口臭に関する診断や治療を提供しています。一般的な歯科医院や病院内に設けられることもあれば、専門的なクリニックとして独立して存在する場合もあります。
口臭外来では、患者の口臭の原因を特定し、個々の症状に合わせた治療プランを提案しててもらえるのが一般的。これにより、患者様は効果的かつ効率的に口臭を改善することができ、日常生活における精神的負担を軽減することができるのです。
インプラントの口臭が改善しない場合はどうしたらいいですか?
自分なりに口臭ケアを行ってもなかなか改善されない場合は、インプラント以外の原因を疑いましょう。例えば、舌苔や虫歯、歯周病、全身疾患、生理的口臭などが挙げられます。
ご自宅での丁寧なセルフケアや生活習慣の見直しなどによって口臭予防をすることも可能ですが、自分で原因を特定することは難しい場合もあります。なかなか口臭が改善しない場合には、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
インプラント治療後の口臭が気になる場合は歯科医院にご相談!
口臭は自分で気付きにくく、原因も自分では特定が難しいものです。また、口臭の原因は一概に決まっておらず、個々の口腔内や全身状態、生活環境などに応じて異なります。
もちろん、日頃の丁寧なセルフケアが口臭予防にとって大切ですが、口臭の原因を早期に見つけ、それに対する早期治療が口臭改善への近道となります。インプラント治療後も快適な生活が送れるよう、口臭が気になる場合はまず歯科医院に相談しましょう。
口臭が気になる方、インプラント治療後の口臭が心配な方は、「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へお気軽にご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2025年1月7日