インプラントがぐらつく原因や対処法!注意点やぐらつきを防ぐ予防法も解説
インプラントは顎の骨と結合させるため、安定性が保てることが魅力の一つですが、何らかの原因で治療後にインプラントがぐらつくことがあります。
本記事では、インプラントがぐらつく原因や対処法について詳しく解説。また、ぐらついた時の注意点やぐらつきを予防する方法も併せて紹介するため、インプラント治療をすでに受けている方やこれから治療を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
インプラントがぐらつく原因
- 術前の検査・診断が不十分だった
- インプラント手術中にミスがあった
- 骨とうまく結合していない
- インプラント周囲炎を発症している、進行している
- アバットメントが緩んでいる
- インプラント体が破損した
- 人工歯の接着力が弱まっている
- 噛み合わせや噛み癖による影響を受けている
ぐらつきを防ぐ方法
- インプラント治療の実績が豊富な歯科医院を選ぶ
- 術後も定期的にメンテナンスに通う
- 自宅で歯磨きなどのセルフケアを徹底する
- 日常における癖を見直す
- 過度な飲酒・喫煙を控え、健康的な生活を心がける
- 違和感や異変があればすぐに歯科医院に相談する
インプラントの構造
インプラントは、インプラント体(人工歯根)、アバットメント(インプラント体と人工歯をつなぐ部分)、上部構造(人工歯)の3つの構造で成り立っています。
インプラント体を顎の骨に埋入し、骨との結合を確認後、その上からアバットメント、上部構造の順番で装着し、そこでやっとインプラントを日常生活で使用できるようになります。
最終的にインプラントが歯としての機能を果たせるようになるには、約半年~1年後程度になることを理解しておきましょう。
インプラントがぐらつく原因
インプラントは通常、骨にしっかりと固定されているため、ぐらつきがある場合は何らかの問題があることを示しています。
以下に、インプラントがぐらつく可能性のある具体的な原因を解説します。
術前の検査・診断が不十分だった
骨密度が低い状態や、骨の厚みが不足したままインプラントを埋め込むと、固定が不十分でぐらつく原因となります。また、糖尿病や喫煙など健康状態が悪化している場合も、骨との結合が難しくなります。
事前のレントゲン検査や診断が不十分であると治療後に問題が発生する可能性があるため、信頼できる歯科医師の診断を受けることが欠かせません。
インプラント手術中にミスがあった
手術中のミスもインプラントのぐらつきに繋がる原因となります。骨に穴を空ける際、ドリルによる過度の摩擦熱が骨にダメージを与えるオーバーヒートが発生すると、骨が損傷し、インプラントが上手く結合できなくなります。
それを防ぐために、手術中は冷水を注水しながら作業を進めることが求められます。技術不足の歯科医師による手術は、これらのミスを招く可能性があるため、技術と経験のある歯科医師を選ぶことが重要と言えるでしょう。
骨とうまく結合していない
インプラントを埋入後、骨と結合するまでには約3~6ヶ月程度期間がかかります。その待機期間の際に、口腔内のケアが行き届かず炎症が起きてしまうと骨の吸収が起き、上手く結合しない恐れがあります。
また、硬い物を噛むなど、過度な力が加わってしまうこともぐらつく原因となるため、インプラント手術後の食事には注意しなければなりません。
インプラント周囲炎を発症している、進行している
インプラント周囲炎は、インプラント周りの歯茎に起きる炎症で、ぐらつきの原因となります。歯周病に似た症状で、歯ぐきの腫れや出血を伴い、進行するとインプラントを支える骨が溶け、最終的にはインプラントが抜け落ちることもあります。
炎症が進行する前に適切な歯科治療を受け、定期的な口腔内メンテナンスを行うようにしましょう。
アバットメントが緩んでいる
インプラント体と人工歯をつなぐアバットメントが緩むと、インプラントのぐらつきの原因となります。さらに日頃の噛み癖や歯ぎしりなどによって強い力が集中して加わると、緩みや破損を引き起こす可能性があります。
そのため、定期的に歯科医院での噛み合わせのチェックや調整を受け、インプラントの安定性を保つよう心がけましょう。
インプラント体が破損した
インプラント体は、人工歯を支える土台となる部分であり、そこが破損することでぐらつくことがあります。硬いものを噛んだり、インプラント部位に強い衝撃が加わったりすることなどが、インプラント体の破損の原因として挙げられます。
インプラント体が破損している場合には、インプラントを除去しなければなりません。
人工歯の接着力が弱まっている
人工歯を接着剤で装着しているタイプのインプラントは、接着力が弱まることがあります。これは接着剤の劣化や強い噛む力の影響で起こることがあり、インプラントのぐらつきにつながります。
インプラント体自体に問題がなければ、人工歯の接着をやり直すことで元に戻すことができるでしょう。これについても早めの対応が重要であり、トラブルが発生した場合は速やかに歯科医院で対処してもらうことが必要です。
噛み合わせや噛み癖による影響を受けている
噛み合わせや歯ぎしりなどの癖は、インプラントに過剰な負担をかけてぐらつきの原因となることがあります。過剰な力がインプラントや他の歯にかかることで、ネジの緩みやインプラント周囲炎を引き起こす可能性があります。
噛み合わせや噛み癖は定期的な噛み合わせのチェックと、必要に応じてマウスピースを作製することによって対策を行い、なるべくインプラントや他の歯への負担を減らすようにしましょう。
インプラントのぐらつきを放置してはいけない理由
インプラントのぐらつきを放置することで、歯茎の炎症やインプラントの破損、さらにはインプラントの脱落といった深刻な問題につながる可能性があります。
問題が軽度のうちに歯科医院に相談することで、痛みや腫れを最小限に抑え、大がかりな治療を避けることができます。そのため、違和感があれば速やかに専門の医師に診てもらいましょう。
インプラントがぐらつくときの対処法
インプラントがぐらつくときは、大前提として、「早めに歯科医師の診察を受ける」ことが重要です。自己判断で対処することは避け適切な治療を受けましょう。
以下では、主な対処法を詳しく説明します。
緩んだネジを締め直す
インプラント体と人工歯をつなぐネジの緩みは、長期間にわたる使用や過度な噛み合わせの圧力によって発生することがあります。専用の工具を用いて歯科医師がねじを締め直すことで、ぐらつきを解消することが可能です。
定期的なメンテナンスが重要で、噛み合わせやネジの緩みを歯科医師に確認してもらうことで、さらなるトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
インプラント周囲炎の治療をする
インプラント周囲炎はインプラントと歯茎の間に細菌が入り込み、炎症がおきることが原因です。早期発見と適切な治療が重要で、場合によっては外科的処置が必要になるかもしれません。
治療としては、専用器具を使った細菌の除去や抗生物質の使用が一般的です。炎症部分が重症化していれば、歯茎を切開して感染部位の除去を行うこともあります。クリーニングやブラッシング指導を受けることで再発を防ぎましょう。
人工歯を外して炎症を抑える
初期のインプラント周囲炎では、人工歯を外して周囲を消毒することで、炎症の改善が期待できます。軽度の炎症ならこの対処法で症状が軽減され、ぐらつきが落ち着くこともあります。
ただし、重症化した炎症の場合は単なる消毒だけでは不十分で、抗生物質の投与やその他の治療が必要になることもあるでしょう。インプラントや人工歯の状態は定期的にチェックし、異変を早期に発見することが大切です。
インプラントの再手術を行う
細菌感染や骨の損傷によってインプラントがぐらつく場合は、再手術が必要になることがあります。再手術ではインプラントを除去し、原因となる感染や骨の損傷に対する治療を行なった後、傷口の治癒や骨の回復を待って再度埋入する流れが一般的です。
また、インプラントの埋入の位置が適切でない場合やインプラントの固定に必要な骨の量が不足している場合にも、再手術が必要と判断されることがあるでしょう。
噛み合わせを調整する
インプラントの正しい噛み合わせもぐらつきを防ぐ重要な要素です。噛み合わせが不適切だと、インプラントに余計な負担がかかり、ぐらつきの原因となることがあります。
適切な噛み合わせを維持するには、担当の歯科医師による噛み合わせの確認と調整が欠かせません。また、顎の形や噛む習慣が影響するため、個別の診断が求められます。
問題が発生した際は速やかに相談し、適切な調整を行いつつメンテナンスをしていくことで、インプラントのぐらつきを抑えることができるでしょう。
インプラントを除去する
ネジの締め直しや歯周病の治療、噛み合わせの調整など、あらゆる対処を行ってもぐらつきが改善されない場合には、最終的にインプラントを除去する場合があります。
インプラントを除去した後は、骨の回復を待つとともにぐらつく原因を突き止め、再手術が可能かどうかを慎重に判断しなければなりません。骨の吸収がかなり進んでいたり、生活習慣や全身状態によっては、入れ歯やブリッジなど、他の治療法を選択することになります。
インプラントの除去は最終的な判断となるため、しっかりと歯科医師と相談したうえで自分に最適な選択をするようにしましょう。
外れた人工歯をつけ直す
インプラントの人工歯が外れることは、接着剤の緩みや噛み合わせの問題が原因で発生します。このような場合、外れた人工歯を適切な手段で再度固定することで、使用に支障がなくなります。
人工歯やその他のパーツに破損がなければ、そのまま再利用が可能。施術後は定期的に噛み合わせを調整し、再度のトラブルを防ぎましょう。まずは歯科医師に相談し、安全な手段で再接着してもらうことが大切です。
インプラントがぐらついている時の注意点
インプラントがぐらついていることに気づいた場合、適切な対処が求められます。
誤った方法で対処すると症状が悪化する恐れがあるため、ここでは、ぐらつきに対する一般的な注意点と対処法についてご紹介します。
放置せず早めに歯科医院を受診する
インプラントにぐらつきを感じた際は、すぐに歯科医院を受診することが重要です。たとえ痛みがなくても、放置すると腫れや痛みが現れる可能性があり、最悪の場合はインプラントを取り除かないといけない状態になるかもしれません。
また、違和感がある場合も歯科医師に連絡し、インプラントの状態を調べてもらうことが賢明です。これにより問題の早期発見と適切な処置が受けられ、インプラントの長期的な健康を維持することに繋がります。
インプラントを触りすぎない
ぐらつきを感じるとつい触って確認したくなるかもしれませんが、これは避けるべき行動です。無駄に触ると痛みや腫れの悪化、さらにはインプラントの位置がズレる危険性もあります。
また、細菌感染のリスクも高まるため、口腔内の衛生面を綺麗に保ちつつ、インプラント部位を触らないようにしましょう。気になる場合は歯科医院を訪れるまで、できるだけ負荷をかけないよう心掛けることが大切です。
外れた部品は捨てずに保管する
インプラントの部品が外れた場合、捨てずに必ず保管するようにしてください。インプラントで使用する部品は一人一人異なるため、再利用できるはずの部品を捨ててしまうと、再度部品を発注するのに時間がかかったり、追加の費用がかかったりすることもあるかもしれません。
部品が無事であれば、再装着に使用できる可能性があるため、必ず保管して治療を受ける際に持参するようにしましょう。
自分で無理につけようとしない
ぐらついたインプラントや外れた部品を自分でつけることは避けましょう。素人による処置は感染症の原因となるほか、インプラント自体や周辺組織を損傷させるリスクがあります。
また、市販の接着剤などを使用して再装着をしてしまうと外せなくなり、治療が複雑化してしまうことにつながりかねません。そのため、必ず歯科医院で適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
柔らかいものを食べる
インプラントがぐらついている時は、硬いものを避けて柔らかい食事を心がけましょう。硬い食べ物はインプラントやその周辺組織に負担をかけ、ぐらつきを悪化させる恐れがあります。
うどんやお粥、ヨーグルトなどの柔らかい食べ物を選び、無理せず他の歯で噛むようにしましょう。これにより痛みや負担の軽減が期待でき、インプラントへの刺激を最小限に抑えることができます。
優しく丁寧に歯磨きをする
インプラントのぐらつきを悪化させないように歯磨きを避けがちですが、歯やインプラントを清潔に保たないと、細菌感染のリスクが高まります。インプラントの周囲に炎症が広がらないよう、柔らかい歯ブラシを使って優しく磨き、プラークを除去しましょう。
また、歯間ブラシやデンタルフロスも使用し、口腔内を衛生的に保つことが重要です。ぐらつきが治まらない場合は早めに歯科医院で検査を受けましょう。
インプラントがぐらつかないための予防法
インプラントを長期間安定的に使用するためには、日々のケアと適切なメンテナンスが必要です。
ここでは、インプラントがぐらつかないよう予防するための具体的な方法を紹介します。トラブルを避け、より良い口腔環境を維持するためのポイントを確認しましょう。
インプラント治療の実績が豊富な歯科医院を選ぶ
インプラントは、専門的な知識や高度な技術を要する難易度の高い治療のため、症例や実績が豊富な歯科医院を選ぶことで、個々の口腔状態に応じた最良の治療を受けることができます。
事前にCTスキャンを用いた診断を行っているか、専用の手術室を備えているかどうかを確認することが大切です。医院のホームページで確認したり、カウンセリングを受け、信頼できる歯科医院を選びましょう。
病院の選択が治療の質を大きく左右するため、複数の選択肢を比較検討することが重要です。
術後も定期的にメンテナンスに通う
インプラント治療は、手術が終わったらすべてが終わりというわけではなく、術後も歯科医院で定期的にメンテナンスを行うことが欠かせません。
定期検診では、日頃の歯磨きでは落とせない歯垢を除去することはもちろん、インプラントに不具合が起きていないかなどのチェックを行います。
これは、インプラント治療後に起こり得るトラブルを未然に防ぐために大切であり、問題が起こった場合は早期発見・早期対処につながります。健康なインプラントを維持するためにも、3ヶ月~半年に一度のメンテナンスを心がけましょう。
自宅で歯磨きなどのセルフケアを徹底する
インプラントのぐらつきを防ぐためには、日々の口腔ケアがきわめて重要です。インプラント治療後は、特にインプラントと歯茎の隙間にプラークが溜まりやすく、インプラント周囲炎を引き起こすリスクが高まります。
日頃から念入りな歯磨きを心がけることはもちろん、フロスや歯間ブラシを使用して、丁寧に汚れを取り除きましょう。セルフケアに不安がある場合は、定期的に歯科医院で適切な指導を受けると効果的です。
日常における癖を見直す
日常生活の中での癖が、インプラントの状態に影響を与えることがあります。具体的には、片側で噛むこと、歯ぎしりや食いしばりなどが挙げられ、これらの癖は特定の部位に過度な負荷をかけ、結果的にインプラントのぐらつきに繋がることがあります。
毎日の食事では両側でバランスよく噛むよう心がけ、就寝時にはマウスピースを使用することも考えましょう。生活習慣を見直すことにより、より良い口腔環境を維持することが可能です。
過度な飲酒・喫煙を控え、健康的な生活を心がける
インプラントの安定には、生活習慣の改善も欠かせません。特に喫煙は、血管収縮を引き起こし炎症の治りを妨げる要因のため、禁煙することがおすすめです。また、過剰な飲酒は血行を促進させ、傷口の治りや骨との結合に悪影響を与えることがあります。
インプラントの持続力を高めるためにも、日頃から健康的な生活を心がけましょう。
違和感や異変があればすぐに歯科医院に相談する
インプラント使用中に違和感や異変を感じた場合、速やかに歯科医院に相談することが重要です。というのも、異常が放置されると大きなトラブルに発展する可能性があるからです。
適切な日常ケアを行いながら、異常を感じた際は早期の診断と治療を受けることで、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
インプラントのぐらつきは放置せず早めのご相談を!
インプラントのぐらつきは、インプラントに何らかの問題が起きているサインです。放置したり、自己判断で誤った対処をしたりしてしまうとさらに状況が悪化してしまうリスクが高まります。
インプラントに違和感があったり、ぐらつきを感じたりする場合には、迷わず歯科医院を受診しましょう。これによりトラブルの早期発見、早期治療が可能となり、インプラントを長持ちさせることにつながります。
高田歯科クリニック(杉並区荻窪)では、インプラントに不具合が起きた際にも、患者様一人一人の状況を把握し、適切な対処を行います。また、インプラントが長持ちするよう、メンテナンスによる予防にも力を入れております。
インプラントがぐらつく、不具合が起きていると感じている方、術後のケアに不安がある方などはぜひ一度、当院へお気軽にご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2025年3月5日