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院長 高田 徹

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インプラントで起こり得る9つのトラブル|トラブルを避ける対策も紹介

インプラントは、天然歯と同じような見た目、噛み心地を実現することができることから、歯を失った際の治療法として注目を集めています。しかし、その一方でインプラントが招くトラブルについて心配される方が多いのも現状です。

本記事では、インプラント治療を受けることで起こり得る9つのトラブルについて詳しく解説し、そのトラブルを避ける対策も併せてご紹介します。

治療を失敗に終わらせないためにも、起こり得るトラブルや対策を理解したうえで、インプラント治療を受けるかどうかを判断しましょう。これからインプラント治療を検討している方はぜひ参考にしてください。

インプラントで起こり得る9つのトラブル

  • インプラントの固定不足
  • 下歯槽神経の麻痺
  • 上顎洞炎への感染
  • 長期間の腫れ・痛み・しびれなどの症状
  • インプラント周囲炎
  • インプラントの被せ物の外れ・破損
  • 嚙み合わせの悪化
  • 口臭
  • 歯科医院との金銭トラブル

トラブルを避けるための対策

  • 信頼できる歯科医院を選ぶ
  • 持病がある場合は治療前に必ず申告する
  • 術後の定期的なメンテナンスを欠かさない
  • 毎日のセルフケアを徹底する
  • 生活習慣に気を付ける
  • セカンドオピニオンを活用する

インプラントで起こり得るトラブル

インプラント治療は、適切に行われれば高い成功率を誇りますが、技術や設備の不備がある医院で治療を受けるとトラブルが発生する可能性があります。そのため、インプラントに関連するトラブルの原因を理解し、適切な医療機関を選ぶことが重要と言えるでしょう。

以下では、インプラント治療でよくあるトラブルとその原因について解説します。

インプラントの固定不足

インプラント治療の成功は、インプラント体が顎の骨としっかり結合することにかかっています。

しかし、位置や角度が不適切であったり、ドリルによるオーバーヒート(骨に穴を空ける際のドリルの熱が高温になり、骨が損傷してしまうこと)が生じたりすると、インプラントが上手く固定されず、脱落の危険性が高まります。

インプラントがしっかりと固定されていないと思うように食事ができなかったり、動揺したりすることにより、日常生活に悪影響を及ぼすことになるでしょう。

下歯槽神経の麻痺

インプラント治療の際に下歯槽神経(感覚を司る下顎に通っている太い神経)を損傷することで麻痺が生じることがあります。これは、インプラント体を埋入するための穴をドリルで削る際、神経に近づきすぎたり、神経を直接傷つけたりすることで引き起こされます。

しかし、歯科用CTなどで事前の検査を行い、神経状態を把握しておくことでリスクを軽減させることが可能です。口腔の感覚が失われるなどの症状を引き起こさないためにも、十分な事前チェックが必須です。

上顎洞炎への感染

上顎洞炎(じょうがくどうえん)は、インプラントの埋入時にインプラントが上顎洞を突き抜けてしまい、粘膜を損傷することで発生します。上顎洞炎になると、頭痛や鼻づまり、痛みなどの症状が現れることがあります。

このような状況を避けるためには、事前の精密検査やインプラントの埋入位置を正確に把握することが欠かせません。

長期間の腫れ・痛み・しびれなどの症状

インプラント治療後、短期間の腫れや痛みは一般的ですが、長期間にわたって続く場合はインプラントの配置が誤っているか、細菌感染が起きている可能性があります。

また、適切な位置や深さに埋入されていないことによって神経が損傷され、持続的な痛みを引き起こしていることも考えられます。症状が改善しない場合には、再治療や早急な対処が必要となることがあるため歯科医院を受診しましょう

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎は、細菌感染が原因で起こるインプラント周辺の組織の炎症です。天然歯よりも炎症が進行しやすく、インプラントを支える骨の吸収が進み、最悪の場合インプラントが脱落する可能性があります。

このトラブルの主な原因は、日常のメンテナンスの不足。歯磨きや定期的な歯科クリーニングを怠ることで、プラークが付着しやすく炎症が起きやすくなります。また、治療時の衛生管理が不十分な場合や、歯周病治療が不十分である時も感染のリスクが高まります。

インプラントを長持ちさせるためには、日頃の口腔ケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが欠かせません。

インプラントの被せ物の外れ・破損

インプラント治療後に起こることのある被せ物の外れや破損は、嚙み合わせの不適切さやアバットメント(インプラント体と人工歯をつなぐ部品)の不具合が主な原因です。噛み合わせが悪ければ特定の歯に負担がかかり、人工歯が外れたり破損したりしやすくなります。

また、アバットメントの締めが不十分であると被せ物が緩み、外れてしまうことも。実際に被せ物が外れたり、破損した場合にはすぐに歯科医院を受診することが重要です。

インプラントの部品に緩みがないかなど、不具合が起きていないか定期検診でチェックしてもらうようにしましょう。

嚙み合わせの悪化

インプラントの治療直後は問題がなくとも、時間が経つにつれて偏った噛み癖や食いしばりによって噛み合わせがズレてくるケースは珍しくありません。噛み合わせが悪化すると、顎関節症を引き起こしたり、頭痛や肩こりを感じたりすることがあります。

インプラント治療を受けた後も定期的に歯科医院に通院し、噛み合わせのチェックと調整をしてもらうことが重要です。また、噛み癖がある場合には両方でバランス良く噛むことを意識したり、マウスピースを作製したりして様子をみましょう。

口臭

インプラント治療後は、インプラント周囲炎や歯磨きの磨き残しによるプラークの蓄積が細菌の繁殖を引き起こし、口臭の原因となることがあります。磨き残しはインプラントの歯と歯茎の間に溜まりやすいため、特に注意が必要です。

日々の口腔ケアを徹底し、正しい歯磨きの方法を習得しましょう。また、定期的な歯科医院でのクリーニングを行うことで、より良い口腔環境を維持し、口臭を予防することができます。

歯科医院との金銭トラブル

インプラント治療では、高額な治療費が原因で金銭トラブルが発生することがあり、事前に提示された費用と実際の治療費に大きな差が生じるケースも珍しくありません。

このようなトラブルを避けるためには、事前のカウンセリングの際に詳細な費用の内訳を確認し、納得した上で治療を進めることが重要です。

治療費にはインプラント手術費用だけでなく、診査診断費や上部構造製作費など様々な費用が含まれるため、全体的な費用を考慮し、信頼できる歯科医院を選ぶことが大切です。

インプラント治療による死亡事故はある?

インプラント治療による死亡事故は、2007年に実際に起こっています。この事例では、手術時に動脈を損傷し、大量に出血してしまったことが原因で窒息し、死亡したことが確認されました。

原因としては、事前の検査で動脈の位置の確認ができていなかったことにあります。このような事故を防ぐためには、CTスキャンによる詳細な画像診断が不可欠であり、設備の整った信頼性の高い歯科医院での治療が推奨されます。

インプラントのトラブルを避けるための6つの対策

インプラント治療は、多くの患者様にとって魅力的な選択肢です。しかし、トラブルを未然に防ぐためには、いくつかの重要なポイントに注意を払う必要があります。

以下では、患者様が適切な治療を受けるために注意すべき6つの対策を詳しく解説。これにより、安心してインプラント治療を進めることができるでしょう。

信頼できる歯科医院を選ぶ

歯科医院選びは、インプラント治療の成功に直結します。信頼できる歯科医院を選ぶことによって、治療の安全性や効果が向上します。では、信頼できる歯科医院を探すためには、どのような点を重視すればよいのでしょうか。

以下では、歯科医院選びの際に押さえるべきポイントをご紹介。歯科医院のホームページ等に載っていることもあるため、ぜひ確認してみてください。

インプラント治療の実績が豊富

インプラント治療の実績が豊富な歯科医を選ぶことは、インプラント治療を成功させるために最も大切です。特にインプラント治療は高度な技術と経験が求められるため、経験の浅い歯科医に依頼することでトラブルが生じるかもしれません。

歯科医院のホームページなどで症例数を確認し、過去の症例についても詳しい情報を得ることが重要です。また、認定医や専門医の資格を持っている歯科医師を選ぶことにより、一定の技術水準が保証されるでしょう。

CT撮影など設備が整っている

インプラント治療においては、事前の精密な検査と診断が不可欠であるため、歯科用CTなどの設備が整っている歯科医院を選ぶことが重要です。

CT検査によって、患者様の骨や神経の状態を詳細に把握でき、術中や術後のトラブルを回避しやすくなります。設備の充実度は、医院のホームページ等で確認できることが多いため、事前に情報をチェックしておくと安心でしょう。

メジャーなインプラントメーカーを扱っている

インプラントメーカーは多数存在しますが、治療を受ける際にはメジャーなインプラントを扱っている歯科医院を選ぶのがおすすめです。メジャーなインプラントは、他の歯科医院でも対応可能であることが多いため、将来的に転院する場合にもスムーズです。

逆に、マイナーなインプラントは対応可能な医院が限られており、引っ越し後の通院や治療などの際に不便を感じてしまうかもしれません。そのため、長期的な視点で考えると、メジャーなインプラントを取り扱っているところを選ぶのがよいでしょう。

衛生管理・感染対策がしっかりしている

インプラント治療は外科手術を行います。もし衛生面の管理や感染対策を怠っていると手術中に空気や使用する器具などを通じて、傷口から細菌が入り込み、感染を引き起こす可能性があります。

そのため、治療を検討している歯科医院では滅菌された器具を使用しているか、手術室の感染対策が徹底されているかなど、事前に確認しておくことが重要です。

術前の治療計画の説明が丁寧

インプラント手術の前には、必ず歯科医師による治療計画の説明があるのですが、その説明が丁寧であり、患者様の疑問に誠実に応じる姿勢がある歯科医師であることが大切です。

手術のプロセスやリスク、他の選択肢について詳しく説明を受けることで、治療への不安を軽減し、納得して治療を開始できます。カウンセリングの際には疑問点を積極的に質問し、医師との信頼関係を築きましょう。

持病がある場合は治療前に必ず申告する

インプラント手術は外科手術を必要とするため、糖尿病や心疾患、高血圧、骨粗しょう症など持病をお持ちの方は、事前に申告しなければなりません。というのも、持病を持っているとインプラントと骨の結合を妨げたり、感染症のリスクが高まったりと、インプラント治療の失敗につながりかねない重大なトラブルが起こる可能性があるからです。

事前に申告しておくことで、かかりつけの内科医と連携を取りながら、安全に治療を進められるよう対策ができるため、持病については必ず伝えるようにしましょう。

術後の定期的なメンテナンスを欠かさない

インプラントのトラブルを避けるためには、術後の定期的なメンテナンスが欠かせません。歯科医院でのプラークや歯垢の除去、インプラント周囲の状態チェックは、インプラント周囲炎や被せ物の脱落、噛み合わせの問題を防ぐために重要です。

特に、インプラント周囲炎は初期段階では自覚症状が出にくいため、定期メンテナンスによる早期発見がトラブルを予防します。医師の指示に従い、2~6ヶ月ごとのメンテナンスを受けることで、インプラントの健康を保ちましょう。

毎日のセルフケアを徹底する

インプラントを健康に保つためには、日常のセルフケアが不可欠です。正しいブラッシングに加え、歯間ブラシや専用ブラシを用いてインプラント周囲を清潔に保つことが大切です。

歯と歯茎の境目は特に汚れがたまりやすいので、デンタルフロスや歯間ブラシなども活用しながら念入りに掃除することを心がけましょう。セルフケアの方法は歯科医師に確認し、適切なケアを行うことでインプラント周囲炎のリスクを大幅に軽減できます。

生活習慣に気を付ける

インプラントの寿命を左右する重要な要素の一つが、日常の生活習慣です。特に喫煙は、血行不良を招き、インプラント周囲炎のリスクを高めるため、禁煙を心がけましょう。良好な血流を保つためには、適度な運動や十分な睡眠も重要です。

また、口腔内の環境を守るためにも、アルコールや炭酸飲料の過度な摂取も避け、バランスの取れた食事を心がけてください。さらに、ストレス管理にも気を配り、全身の健康を維持することで、インプラントはより長持ちします。健康な生活習慣がインプラントの成功を後押しするでしょう。

セカンドオピニオンを活用する

インプラント治療に不安を感じた時や、診療内容に納得がいかない場合には、セカンドオピニオンを活用することをおすすめします。別の歯科医院で意見を聞くことで、主治医の治療方針を客観的に評価し、治療に対する理解を深めることができます。

セカンドオピニオンを受ける際は、診療資料やレントゲン写真を持参し、具体的な不安や疑問を伝えるようにしましょう。複数の視点から情報を得ることで、自分に最適な治療法を選択する手助けとなります。

インプラント治療でトラブルに遭った場合の相談先

インプラント治療でトラブルに直面した場合、きちんとした相談先に相談することが重要です。

以下では、相談を考えるべき主要な機関や組織について詳しく説明します。個々の状況に応じて最適な相談先を選びましょう。

治療を受けた歯科医院

インプラント治療でトラブルが生じた際、まずは治療を受けた歯科医院に直接相談することが一般的です。通院している歯科医院での治療履歴に基づいて、問題の原因を特定し適切な対応を提案してもらえます。

これにより、いつ・どの段階でトラブルが発生し、その原因が何であるのかを明確にできます。しかし、各医院の対応は異なり、無償での再治療を行う医院もあれば、追加費用を請求する場合もあるので、事前に医院の方針を確認しておきましょう。

ほかの歯科医院

治療を受けた歯科医院で納得のいく対応が得られない場合には、セカンドオピニオンとして他の歯科医院を訪ねるのが有効です。特にインプラントの再治療は技術的に難しいため、高い技術を持つ信頼できる医院を選択することが重要です。

口腔外科やインプラント科などに相談する際は、これまでの治療の経過や手術当時の詳細をまとめて持参すると話がスムーズに進むでしょう。

国民生活センター/消費生活センター

インプラント治療に関する問題が歯科医院で解決できない場合、国民生活センターや消費生活センターに相談するのも一つの手です。この独立行政法人は、消費者のトラブルを解決するための支援を行っています。

治療の記録や費用の詳細を持参することで、具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。電話一本で最寄りの消費生活センターに繋がるため、手軽にアクセス可能な相談窓口としておすすめです。

日本歯科医師会

日本歯科医師会は全国の歯科医師を統括しており、インプラント治療のトラブルに対する相談も受け付けています。治療を担当した歯科医院がこの会に加入している場合、日本歯科医師会を通じて意見を歯科医院に伝えることが可能です。

多くの歯科医師が所属しているため、インプラント治療に関する問題解決を進める際の頼もしい相談先となるでしょう。

弁護士

トラブルの根本原因が歯科医院にありながら適切な対応が得られない場合、法的手段を考慮することもあります。弁護士に相談することで、治療ミスが認定された場合は慰謝料請求等の具体的な法律的手続きを進めることができます。

とはいえ、弁護士費用も発生するため、訴訟を含めたあらゆる選択肢を十分に検討するようにしましょう。

インプラントのトラブルでお悩みなら高田歯科クリニックへご相談ください

インプラントは歯を失った際の処置として、今では多くの人に選ばれる魅力的な治療法の一つです。しかし、外科手術を伴い、歯科医師の専門的な知識や高度な技術を要するものだからこそ、トラブルが起きる可能性があることも否定できません。

ただ、トラブルが起きることを防ぐ対策を知っておくことで、安心安全に治療を受けることができ、インプラントを長持ちさせることにもつながります。まずは信頼できる歯科医院を選び、定期的なメンテナンスでインプラントを良好に保つことを心がけましょう。

インプラントを検討中の方やインプラントのトラブルにお悩みの方は、ぜひ「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へお気軽にご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2025年3月4日