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院長 高田 徹

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インプラントの「GBR(骨再生誘導法)」とは?GBRのメリットや費用も解説


インプラントを埋入するためには、顎の骨の量や厚みが十分にあることが条件の一つです。

インプラント治療を検討している方の中には、「骨の厚みが薄い」「骨の量が少ない」ことでインプラント治療ができないと診断される方もいるかもしれません。しかし、骨造成(骨を増やす治療)を行うことで、ほとんどの方がインプラント治療を受けられるようになります。

本記事では、骨造成の一つである「GBR(骨再生誘導法)」について詳しく解説し、GBRのメリットやデメリット、費用についてもご紹介します。インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

  • GBR(骨誘導再生法)は、骨の再生促進と新しい骨の形成を導く骨造成の一つ
  • GBRのメリットは、①必要な部分に骨組織を再生でき、顎の骨が少ない場合でもインプラント治療を可能にする②インプラントの安定性が向上する③適用できる範囲が広い
  • GBRは手術必須。術後のリスクや長期間の治療、高額な費用も考慮することが大切
  • 骨造成にはGBR法の他に、「サイナスリフト」「ソケットリフト」がある

インプラントの「骨造成」とは

インプラントの「骨造成」とは、インプラントを埋入するために顎の骨を適切な状態に整える手術のことを指します。これは、インプラントの太さや長さに対して顎の骨が十分でない場合に行われる処置です。

骨造成により骨の高さや厚みを増やすことで、安全にインプラント治療を行うことが可能。この手術によって、インプラント体が顎の骨としっかり結合し、安定した状態を保つことができるようになります。

インプラント治療で骨造成が必要になる理由

インプラント治療では、インプラント体を埋入するのに十分な骨の量が必要です。というのも、インプラントは顎の骨とインプラント体が結合することにより成り立ち、安定性を保つからです。

一方、骨の量が少なければインプラントを埋入しても上手く結合できません。結果的にインプラントの動揺や脱落の恐れが高まり、治療が失敗に終わるケースに陥ってしまうのです。

そのような理由から、骨が薄い・少ない場合には骨造成が必要になるでしょう。

顎の骨が減る原因

顎の骨が減る主な原因は、歯の喪失、入れ歯やブリッジの装着、そして歯周病などが挙げられます。まず、歯を失うとそれを支えていた顎の骨に加わる刺激がなくなり、徐々に骨が吸収されます。

また、入れ歯やブリッジを装着すると、見た目や噛む機能は回復しますが、顎の骨に直接刺激を与えません。そのため時間とともに骨は痩せていきます。さらに、歯周病は骨と歯肉の組織を壊し、それによって顎の骨が大幅に減少してしまうことがあります。

これらの要因により顎の骨が減り、インプラント治療の前に骨造成が必要となる場合があるのです。

GBR(骨再生誘導法)とは

GBR(骨再生誘導法)とは、インプラントを埋め込む箇所の顎の骨の厚みや高さが十分でない場合に用いられる治療法です。単に骨を増やすというよりも、骨の再生を促進させ、新たな骨の形成を導くというのが特徴です。

治療方法としては、治療箇所に「自家骨(自分の体から採取した骨)」あるいは、「人工の骨補填材」を使用し、メンブレンと呼ばれる人工膜でその部位を覆い、骨が再生されるのを待ちます。

特に、歯槽骨が痩せてしまったり、抜歯した後に骨の吸収が進んでしまったケースでは、GBRが有効と言えるでしょう。このGBRにより、骨が薄い・少ない方でもインプラント治療を受けることができるようになります。

インプラントのGBR法の治療の流れ

インプラント手術では、吸収された骨を補うためにGBR法が用いられることがあるのですが、この手法は骨の再生を促進し、インプラントを安定させるための重要なステップです。

以下に、治療の詳しい流れを解説します。

①自家骨を採取する

自分の骨を用いて骨造成を行う場合は、最初のステップとして自家骨の採取が行われるのが通常です。

一般的には下顎の先端部や奥歯の外側から骨を採取し、採取された骨は細かく粉砕し、すぐに使用できる状態に整えます。

②インプラントを埋め込む

まず、歯茎を切開し、顎の骨にドリルで穴を開けて、インプラントを埋入します。

しかし、GBRが必要な患者様の場合、骨の量が十分でないことが多く、インプラントが完全に骨に収まりきらず、一部が飛び出る状態となります。

③自家骨または人工の骨補填材を充填する

インプラントを埋入した後、骨の形成をサポートするために、自家骨または人工の骨補填材を使用します。これらをメンブレンと呼ばれる人工膜で覆い、骨再生を妨げる線維芽細胞の侵入を防がなければなりません。

少量の骨形成であれば吸収性のメンブレンが用いられ、大量に骨を形成する場合は非吸収性のメンブレンが使われます。非吸収性の場合は骨が再生されたのを確認した後に取り出す必要がありますが、十分な骨量を長期間維持できるのが特徴です。

④歯肉を縫合する

骨補填材とメンブレンでインプラント周囲を覆ったら、歯肉を縫合します。この後、歯槽骨の再生に必要な時間を置かなければなりません。

通常、数ヶ月程度を要し、この期間中は強い力や刺激を避け、患部を安静に保つことが重要です。

⑤骨が再生されるまで待つ

歯肉を縫合した後は、骨が自然に再生されるのを待つ期間に入ります。個人差がありますが、骨が再生しインプラントと結合するまでには、3ヶ月から12ヶ月ほどかかります。

骨の再生が確認できた段階で、次の治療ステップへ移行します。

⑥人工歯を装着する

インプラントと骨がしっかりと結合したことが確認されたら、インプラントを埋め込んだ箇所の歯肉を再度切開します。そして、アバットメント(インプラントと人工歯をつなぐ部分)という部品をインプラントに装着後、その上に人工歯を固定します。

非吸収性のメンブレンが使用されている場合は、ここで取り出すのが一般的です。そして、最終的な調整を行ったら、インプラント治療は終了。なお、骨がほとんどない場合にはまず最初にGBR法を行い、骨が十分に形成されたのが確認できてからインプラント手術をするケースもあります。

GBRのメリット

GBRのメリットには、以下の3つが挙げられます。

  • 必要な部分に骨組織を再生でき、顎の骨が少ない場合でもインプラント治療を可能にする
  • インプラントの安定性が向上する
  • 適用できる範囲が広い

1つずつ見ていきましょう。

必要な部分に骨組織を再生でき、インプラント治療を可能にする

インプラント治療に必要な骨量が不足している場合、本来であれば入れ歯やブリッジで補うしかなかった状況が、GBR法により大きく変わりました。

GBR法では骨補填材を用いて、顎の骨が不足している部分にピンポイントで骨を再生することが可能です。

この方法により、従来では骨量不足のために避けていたインプラント治療も、骨を増やしてから安心して行うことができるようになりました。

インプラントの安定性が向上する

インプラントの安定性を確保するためには、骨量が十分にある適切な位置に埋入することが重要です。無理に埋入するとインプラントの先端が露出するリスクが高くなるとともに、インプラント体と骨の結合が上手くいかず、インプラント治療が失敗に終わってしまうかもしれません。

その点、GBRを利用すれば骨量を適切に確保でき、インプラントを最適な位置に配置することが可能になります。そのため、安定性と安全性が向上し、インプラントの長寿命化が期待できるようになるのです。

適用できる範囲が広い

GBRは、必要な箇所に必要な量の骨を再生することができる治療法のため、その適用範囲は非常に広いとされています。他の方法では対応が難しいケースでも、GBRを用いれば対応可能となることが多々あるのです。

これにより、骨量不足でインプラント治療が難しいとされた患者様も、GBRを実施する歯科クリニックを選ぶことで選択肢が広がり、満足度の高い治療を受けることができるでしょう。

GBRのデメリット

GBRは、多くのメリットがある一方でいくつかのデメリットがあります。以下では、GBRの主なデメリットについて詳しく説明します。

骨を採取するための手術が必要な場合がある

GBRによる骨補填には、自家骨と人工骨の2種類があり、自家骨の場合には骨を採取する外科手術が必要となります。

手術回数が多くなることで、患者様には精神的および身体的な負担がかかるため、高齢の方や体力がない方は治療が難しいケースがあります。まずは、体調や要望に沿った治療計画が重要になるでしょう。

腫れや痛みなどが出やすい

GBR手術においては、他の外科手術と同様に腫れや痛みを伴う可能性があります。手術中には麻酔が使用されるため痛みを感じにくいものの、術後は傷口に痛みが出やすく、特に3〜7日間は腫れることが一般的です。

腫れや痛みを軽減するためにも、術後は歯科医師の指示に従い、適切な薬の服用や生活習慣の管理を心がけましょう。

術後感染のリスクがある

GBR手術では、歯茎を切開して骨補填を行うため、術後の感染リスクがあります。通常、術後1週間ほどで腫れや痛みが軽減しますが、症状が持続する場合や悪化する場合は、細菌感染の可能性があります。

感染が進行すると、骨や歯肉に炎症が広がり、さらなる組織の損失や骨の吸収を招く可能性も。術後感染を防ぐためにも口腔内を清潔に保ち、違和感がある場合は速やかに歯科医師に相談しましょう。

治療期間が長くなる

GBRによる骨の再生には時間が必要で、骨が完全に再生されるまでには通常3〜6ヶ月を要し、広範囲の骨を再生させる場合には最大で12ヶ月を見込むこともあります。

そのため、GBRを伴うインプラント治療は通常の治療よりも長期化する傾向にあり、通院の頻度も増えます。

治療が長引くと心身の負担にもつながるため、どのくらいの期間が必要になるのかをしっかりと考慮した上で治療に臨むようにしましょう。

治療費用が高くなる

GBR治療は、基本的に保険が適用されない自由診療となります。そのため、高額な治療費を全額自己負担する必要があります。

具体的な費用については次の項で解説します。

インプラントのGBRにかかる費用相場

骨を補填する量や手術法によって異なりますが、一般的にGBRの治療は1本あたり約5万円~15万円程度が費用相場です。

これにインプラント治療費も加わるため、総額では30〜50万円以上になることもあります。

なお、前述した通り、GBRは自費診療であり歯科医院によって費用は異なるため、必ず事前に治療費用について確認することが大切です。

GBRの術後の注意点

GBRは外科手術を伴うため、術後は患部が敏感な状態です。一日も早く手術した箇所が回復し、その後の治療がスムーズに進められるよう術後は注意すべき点がいくつかあります。

以下で紹介する点に気を付けましょう。

患部を刺激しない

術後は特に気になると思いますが、過度に触ったり、硬いものを噛んだりすると傷口が炎症を起こし、腫れや痛みを引き起こしてしまいます。また、傷口の治癒を遅らせ、その分治療期間も長くなってしまいます。

そのため、術後はなるべく患部は触らないようにし、食事の際も柔らかい物を選ぶなど、刺激が加わらないよう意識しておきましょう。

処方された薬はきちんと服用する

術後に処方される薬は、抗生物質や痛み止めが一般的で、傷口の炎症を抑える役割があります。

飲み忘れたり、傷口が良くなったからと自分の判断で服用を中断したりしてしまうと、症状の悪化につながるため、処方された薬は歯科医師の指示通り、きちんと服用することが重要です。

アルコール摂取やたばこを控える

アルコールは血行を促進させ、出血や痛みを招く原因となります。また、喫煙も血行の悪化を招くことで傷口の治癒に必要な栄養や酸素が運ばれなくなり、術後の回復を遅らせてしまいます。

そのため、傷口の状態が落ち着くまではアルコール摂取や喫煙は控えましょう。

GBR以外の主な骨造成手術

骨造成(骨を増やす手術)には、GBRの他に「サイナスリフト」と「ソケットリフト」の2種類の方法が存在します。下記では、それぞれの治療法について解説します。

サイナスリフト

サイナスリフトは、上顎の骨が大きく不足している場合に有効な骨造成手術です。上顎の奥に位置する上顎洞という空間を活用する手術で、上顎洞にある膜を持ち上げて、その空間に骨補填剤を入れます。

これにより、インプラントの埋入に必要なスペースを確保するのですが、手術の負担が大きいため、痛みや腫れが生じる可能性があります。また、治療期間が長くなることもあるでしょう。

さらに、手術の難易度が高いため、対応可能な医院が限られています。サイナスリフトは、治療技術に熟練した歯科医師のもとで受けるのが安心です。

ソケットリフト

ソケットリフトは、比較的上顎の骨がある場合に採用される骨造成手術です。サイナスリフトほど大掛かりな手術ではなく、インプラント埋入窩から骨補填剤を入れて、上顎洞にある膜を持ち上げ、部分的に骨の高さを増やします。

この方法は、大きな手術を必要としないため、患者様にかかる負担が少なく、骨補填剤の挿入と同時にインプラントを埋入可能であることから、治療期間を短縮できるのが利点です。

サイナスリフトと同様、手術には専門的な知識と高度な技術を要するため、対応可能で経験や実績が豊富にある歯科医院を選ぶことが重要です。

インプラントのGBR法を失敗させないためのポイント

安心安全に治療を受けるためにも、GBR法を失敗させないポイントを押さえておくことが大切です。このポイントを押さえた上で、治療を受けるかどうかの判断を行いましょう。

メリットだけでなくデメリットも理解する

GBR法は骨の再生を促し、骨の量が少ない方でもインプラント治療を可能にする大きなメリットがあります。しかし、前述した通り、手術が必要で治療期間も長く、費用が高額といったデメリットや感染のリスクもあるのが現状です。

インプラント治療を検討している方にとってGBR法は安心材料の一つとなりますが、治療後に後悔しないためにも、デメリットが自分にとってどのような影響を与えるのかしっかりと理解しておくことが大切です。

不安なことは治療前に必ず解消する

GBR法を含むインプラント治療は、一般的な虫歯治療などに比べて治療が複雑であり、外科手術を伴うことから気を付けるべきポイントなどがあります。

治療前には、カウンセリングや歯科医師による治療計画の説明があるため、治療の流れや治療後のリスク、治療期間、費用など、気になることや不安に思うことがあれば質問し、必ず解消しておきましょう。

信頼できる歯科医院を選ぶ

GBR法は専門的な知識や高度な技術を要する治療です。そのため、歯科医院を選ぶ際には、「GBR法に対応しているか」「経験や実績が豊富か」「設備が整っているか」「丁寧な説明をしてくれるか」などを重視することが大切です。

歯科医院のホームページなどで経験や実績が掲載されていることもあるため、様々な歯科医院を見て、信頼できるところを選択しましょう。

「インプラント GBR」に関するよくある質問

インプラントのGBR法について、よくある質問をまとめました。これからインプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

インプラントのGBRとは何ですか?

GBRとは骨造成(骨を増やす治療)の一つであり、ただ骨を増やすのではなく、骨の再生を促し、新しい骨を形成するのが特徴です。

インプラント治療では、安定性やインプラント体と骨の結合力を高めるために十分な顎の骨の量を確保しておかなければなりません。GBR法は、主に、骨の量が不足している場合に用いられる治療法で、骨の量が少ない方でもインプラント治療を可能にします。

サイナスリフトとGBRの違いは何ですか?

サイナスリフトとGBRはどちらも骨補填を目的とした治療ですが、「適用部位」に違いがあります。

サイナスリフトは主に上顎の奥歯部分で骨量を増やすために用いられ、GBR法は上下顎問わず必要な部分で使用でき、特に下顎の奥歯や前歯部分で用いられることが一般的です。

また、治療法も異なり、GBR法は単に骨を補うだけではありません。骨補填を行った後、メンブレンという膜を使用し、骨の再生を促進するのが特徴です。

GBR後の腫れはいつまで続きますか?

GBR法による手術後、腫れは通常2〜3日目にピークに達し、術後一週間以内には徐々に収まります。また、通常は術後2週間ほどで完全に消失します。

しかし、稀に腫れが長引く場合があり、その際には合併症の可能性も考えられるため、迅速に歯科医師に相談しましょう。なお、手術後のケアや安静を心がけることで、腫れや痛みの軽減が期待できます。

GBRを含むインプラント治療は高田歯科クリニックへご相談!

GBRは、骨造成(骨を増やす処置)の一つであり、骨の再生を促進する治療法です。インプラント治療は、顎の骨の量が十分に確保されていることが条件なのですが、GBRを用いることにより、骨の量が少ない方でもインプラント治療が可能になります。

ただし、前述した通り、GBR法は手術を必要とすることや治療期間が長い、費用が高額といったデメリットがあることも否定できません。そのため、治療を検討する際はメリット・デメリットのどちらも考慮した上での判断が大切です。

GBRやインプラント治療について、疑問や不安な点がありましたら、ぜひ「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へお気軽にご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2025年3月4日