インプラントがダメになったらどうする?入れ歯などの対処法をご紹介
インプラント治療は、失った歯を補うための有効な選択肢として多くの人に選ばれていますが、いつまでも完璧に機能し続けるわけではありません。
時には、さまざまな理由でインプラントが損傷したり、機能を失ったりすることもあります。そのような時、次に考えるべき選択肢には何があるのでしょうか?
本記事では、入れ歯やブリッジなど、インプラントがダメになってしまった場合の対処法について詳しくご紹介していきます。
ぜひ最後までご覧になり、保険適用の有無や治療後の生活の質を考慮に入れながら、最適な選択肢を見つけてください。
-インプラントがダメになった場合の対処法・治療法-
- 対処法①軽度の症状なら抗生剤やブラッシングを行う
- 対処法②インプラントを修理する
- 対処法③インプラントの再治療(再手術)をする
- 治療法①入れ歯にする
- 治療法②ブリッジにする
インプラントの寿命
インプラントは他の歯科治療法と比較して寿命が長いことが特長です。数年しか持たないブリッジや入れ歯に比べ、一般的に10年以上、多くのケースでは15年程度使用可能とも言われています。
そして適切なメンテナンスを行えば、20年以上問題なく使い続けられるという報告もあるほど長きにわたって機能するのが大きな魅力です。
しかし、長期間にわたり良好な状況を維持できるのは、ケアをしっかり継続した場合のみ。インプラントの施術後の定期的なメンテナンスやセルフケアが欠かせません。
インプラントがダメになる原因
インプラントがダメになる主な原因には、次の5つが考えられます。
- 治療の失敗(インプラント体と顎の骨の結合が上手くいっていない)
- メンテナンス不足によるインプラント周囲炎の発症
- 喫煙や歯ぎしりなどの習慣や癖
- インプラントの破損
- インプラント以外の歯の影響
これらの要因は、インプラントの安定性を損なったり、使用寿命を縮めたりする可能性があります。
インプラントを長持ちさせるための対策を行うためにも、まずは原因をしっかり理解しておきましょう。それでは1つずつ見ていきます。
治療の失敗(インプラント体と顎の骨の結合が上手くいっていない)
インプラント治療の失敗は、インプラント体と顎の骨が適切に結合しないことによって起こります。この結合不良は、インプラントの位置や角度、または顎の骨の厚みや幅が適切でない場合に発生することがほとんどです。
さらに、手術時に細菌が侵入し感染することで炎症が起き、結合を妨げることもあります。また、インプラント治療では他の治療に比べて高度な技術と経験が求められます。歯科医師の経験不足などが治療の失敗につながることもあるでしょう。
メンテナンス不足によるインプラント周囲炎の発症
適切なセルフケアを行わないと、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病のような状態)が発生しやすくなります。これはインプラント周りの歯茎の炎症を引き起こし、悪化すると顎の骨を破壊してしまいます。
特にインプラント周囲炎は進行が早く、気づいたときには重症化していることが多いものです。インプラント施術後に適切なメンテナンスを行っていなければインプラントはいずれダメになってしまうでしょう。
そうならないためにも定期検診を受け、異常を早期に発見し、予防と管理を徹底することが重要です。
喫煙や歯ぎしりなどの習慣や癖
喫煙は、インプラントと骨の結合を阻害し、周囲炎のリスクを高めます。これはタバコに含まれるニコチンが血行を悪化させ、歯茎の抵抗力を低下させるためです。
また、歯ぎしりや食いしばりもインプラントに過剰な負荷を与えてしまいます。これによりインプラント体や周囲の骨にダメージを与え、長持ちさせるのが難しくなることが考えられます。こうした日常の癖もインプラントの寿命を左右します。
インプラントの破損
インプラントは比較的強い「噛む力」に耐えられるよう設計されていますが、それでも破損することがあります。主な原因としては、噛み合わせの不整や歯ぎしりによる過剰な力がかかることが挙げられます。
これに加えて、インプラントを固定しているネジの緩みも破損の原因となります。インプラントの破損は再手術が必要となる場合もあるため、定期的にメンテナンスに通い、早期に問題を発見し、適切な対策を講じることが重要です。
インプラント以外の歯の影響
インプラントは他の歯の状態にも大きく影響されます。例えば、隣接する天然歯が抜け落ちてしまうと、噛み合わせの力が偏ってしまい、インプラントに過度な負担がかかります。
この偏った力はインプラントの寿命を縮め、破損や抜け落ちの原因となります。インプラントを長持ちさせるためには、口腔内全体の健康を維持し、噛み合わせを適切に管理することが不可欠です。
インプラントがダメになった時の対処法・治療法
インプラント治療は、失った歯を補うための有効な方法ですが、前述したようなことが原因でインプラントがダメになるケースもあるでしょう。そうしたケースにおいては、適切な対処法や治療法を知っておくことが大切です。
インプラントがダメになった場合の対処法としてまず挙げられるのが「入れ歯」ですが、入れ歯が唯一の選択肢というわけではなく、様々な対処法と治療法があります。
以下では、具体的な対処法および治療法をご紹介します。
対処法①軽度の症状なら抗生剤やブラッシングを行う
インプラントに問題が生じた場合、軽度の症状であれば抗生剤やブラッシングでの対応が有効です。特に初期の段階ではこれらの方法で問題が改善することが多く、この対応で症状が緩和されると再手術の必要はありません。
例えば、インプラント周囲炎が原因で歯茎が軽く腫れた場合には、抗生剤を用いて腫れを抑え、丁寧なブラッシングを行うことで改善が期待できます。症状が軽い段階で問題に対応することができるため、これらの問題に早めに気付くためにも定期的な歯科検診・メンテナンスが欠かせません。
対処法②インプラントを修理する
インプラントが破損した場合でも修理が可能なケースがあります。例えば、人工歯やアバットメントの破損、あるいはネジの緩みが原因であれば、これらを修理または交換することで対応可能です。
ネジの緩みが原因でインプラントがぐらつく場合には、ネジを締め直すことで問題が解決することもあります。
ただし、インプラント体自体が破損している場合には修理が難しく、手術によって取り除く必要が出てくることもあるでしょう。その際には、状況に応じた適切な対処法を検討することが求められます。
対処法③インプラントの再治療(再手術)をする
インプラント周囲炎が悪化した場合や、前述した他の対処法で症状が改善しない場合は再手術が必要となるでしょう。インプラントの再治療においては、顎の骨や歯茎の状態が良好であれば新たにインプラントを埋め込むことが可能です。
また、場合によっては骨を補うための処置(骨造成)が行われることもあります。このように再治療を行えばインプラントを使い続けることができるため、症状が重症化する前に適切な処置を受けることが重要です。
治療法①入れ歯にする
インプラント治療が困難な場合には、入れ歯を選択することが一般的です。入れ歯は、噛む力がインプラントより劣る場合がほとんどですが、技術の進化により、見た目や装着感も改善されています。
部分入れ歯や総入れ歯にはさまざまな種類があり、患者様のニーズに合わせた選択が可能です。インプラントに比べて費用が抑えられ、治療期間も短いことが特徴であることから、再手術が困難なケースでは入れ歯が有効な代替手段となるでしょう。
治療法②ブリッジにする
ブリッジは、歯がない部分の両隣の歯を土台として使用し、連結した人工歯を被せる治療法です。入れ歯のような取り外しは必要なく、噛み心地も自然なため、歯を失った際の治療法として選ばれる方は多いのが現状です。
また、インプラントと比べても、費用が安く外科手術も必要ないため、患者様の負担を減らすことができるでしょう。
なお、ブリッジは両隣の歯を土台として使用するため、健康な歯を削らなければいけません。削った歯の負担が大きくなることで寿命も短くなりやすいのがデメリットと言えるでしょう。また、失った歯の部分によってはブリッジでの治療ができない場合もあります。
インプラントをダメにしない!6つの予防法
ここからは、インプラントをダメにしないための予防法、長持ちさせるための対策をご紹介していきます。
信頼できる歯科医院を選ぶ
インプラント治療の成功は、信頼できる歯科医院にかかることから始まります。インプラントは高度な技術が必要な治療法であり、術後のケアまで含めた信頼関係が大切です。
価格だけで決めず、歯科医院の設備、歯科医の経験や症例数、そして診察時の対応などを総合的に判断しましょう。
複数の歯科医院を比較し、無料カウンセリングで不安を解消することもおすすめです。
手術後の歯科医師の指示を守る
手術後は歯科医師の指示をしっかり守ることも重要です。特に術後の傷口は不安定なため慎重なケアが求められます。激しい運動や長時間の入浴の禁止、特定の飲食物を避けることに加え、過度な口内の洗浄や飲酒、喫煙も控えるべきです。
指示を守らなければ、出血や感染症のリスクが高まり、インプラントが上手くいかない可能性が出てくるため注意が必要です。
定期的にメンテナンスに通う
定期的なメンテナンスはインプラントを維持するために欠かせません。特にインプラント周囲炎は初期症状がほとんどないため、定期検診を受けることで早期の発見と対処が可能です。専門のクリーニングで歯垢や歯石を除去し、インプラントの健康を守っていきましょう。また、定期検診を通じて噛み合わせのチェックや周囲の健康状態も確認することができます。
日々のセルフケアを怠らない
日常のセルフケアは、インプラントが長持ちするかどうかに直接影響します。毎日の歯磨きはもちろん、デンタルフロスや歯間ブラシを用いて口腔内を清潔に保ちましょう。
歯科医院で定期的な指導を受け、より高いセルフケアの技術を身につけることも、インプラント周囲炎など口腔内の問題を予防する最善の方法です。
歯ぎしりや食いしばりの癖を見直し、負荷をかけない
歯ぎしりや食いしばりがインプラントに負担をかけ、破損の原因になり得ます。もし歯科医師から指摘を受けた場合は、ナイトガードと呼ばれる就寝時に装着するマウスピースを使用することを考えましょう。
このナイトガードは、睡眠中に無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりからインプラントを保護します。歯やインプラントにかかる圧力を軽減し、長持ちさせられるアイテムです。
禁煙する
たばこに含まれるニコチンは血流を阻害し、手術後の傷の回復を遅らせ、インプラントと骨の結合を弱めます。また、喫煙は免疫力を低下させ、感染症やインプラント周囲炎のリスクを高める要因となるものです。
もし禁煙が難しい場合は、少なくとも喫煙本数を減らす努力をしましょう。それにより、インプラントの長期的な安定性を確保できます。
「インプラント 入れ歯」に関するよくある質問
最後に「インプラント 入れ歯」に関するよくある質問にお答えします。
入れ歯とインプラントの費用はどちらが安いですか?
入れ歯とインプラントの費用は、一般的には入れ歯の方が安いとされています。入れ歯はほとんどの場合、保険が適用されるため費用を比較的抑えられるのが特徴です。
一方でインプラントは自費診療であり、1本あたり約30万~40万程度の費用がかかることがほとんどです。そのため、どうしても費用を抑えたい場合には入れ歯の方が選ばれやすい傾向があります。
インプラントと入れ歯、どっちがいいですか?
インプラントと入れ歯のどちらが良いかは一概には言えませんが、それぞれの特性を考慮に入れる必要があります。
インプラントは天然歯に近い噛み心地、見た目や機能性にも優れますが、外科手術を必要とし、費用も高額です。そのため、身体的・精神的負担が増える可能性があります。
一方の入れ歯は、取り外しが可能で手入れが容易であり、保険適用で費用を抑えられる利点がありますが、見た目や使用感に不満を感じる場合もあるでしょう。ご自身の口腔内状況や生活環境を考慮して判断することが重要です。
インプラントから部分入れ歯に変えることはできますか?
インプラントをすでに使用している場合でも、部分入れ歯に変更することは可能です。しかし、この過程には注意が必要で、埋め込まれているインプラントをどうするかを考えなければなりません。
具体的には、インプラントを完全に除去するか、そのまま残して入れ歯の一部として利用するかといった選択肢があります。それぞれの方法には利点と課題があるため、患者様の口腔内の状況や歯科医師との相談を経て最適な方法を決定することが必要となるでしょう。
インプラントと入れ歯は併用できますか?
インプラントと入れ歯を併用することも可能です。たとえば、部分的にインプラントを使用し、他の部分を入れ歯で補う方法があります。また、オーバーデンチャーと呼ばれる、インプラントを土台にしてその上に入れ歯を装着する施術法もあります。
この方法は特に全ての歯を失った方に適しており、患者様の条件に応じて柔軟に対応可能です。口腔内の状態に合わせた最適な治療法を歯科医師と相談しながら選択しましょう。
インプラントがダメになる前に歯科医院へご相談を!
インプラント治療は術後のメンテナンスが欠かせない治療法です。適切なセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスを通じて、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。
ちょっとしたトラブルや気になることがあれば、インプラントがダメになる前に早めに歯科医院へ相談しましょう。
当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」は、インプラント症例数年間850本以上の確かな実績と最新の設備を有し、患者様のお口の健康をしっかりサポートしていきます。インプラントを長持ちさせるためのメンテナンスにも力を入れておりますのでご安心ください。
インプラント治療に関して気になることやご不安なことがありましたら、まずはお気軽に当院へご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年10月10日