インプラントのデメリットは?適切な選択や対処でリスクを最小限に!
インプラント治療を検討している方の中には、どんなデメリットかが心配な人もいます。審美性に優れ、自分の歯のように機能してくれる魅力的なものですが、必ずしも万能なわけではありません。インプラント治療を受ける前にデメリットを知っておくことで、本当にインプラント治療を受けるのかどうか、インプラント治療をした後にどう関わっていくのかがより明確になります。
インプラントのデメリットは6つ
- 外科手術が必要
- 顎の骨がなければ治療できない
- 術後のメンテナンスが必要
- 治療費が高額
- 治療期間が長い
- 持病によっては治療できない
なお、上記のようなデメリットだけでなく、インプラントには様々なメリットも存在します。インプラント治療を検討している方は、本記事を参考にデメリット・メリットを総合的に考え、判断してみてください。
1.インプラント治療に伴うデメリット
いいことばかりが表に出ているインプラント治療ですが、まったくデメリットがないわけではありません。患者様の顎の状態や予算感によって一概にデメリットと言えない部分も当然あります。しかし、どんな人でもインプラント治療を受ける前には、どんなデメリットがあるのかをよく知っておく必要があります。
インプラント治療のデメリットを大きく分けると次のとおりです。
- 治療に関わるデメリット
- 治療以外のデメリット
治療とそれ以外のデメリットをきちんと理解しておきましょう。
1-1.治療に関わるデメリット
一番気になるのは治療に関わる面でしょう。インプラント治療は、ブリッジや入れ歯とまったく違うものであり、治療方法も異なります。大前提として、一般の歯の治療とインプラント治療は違うものなので、一般診療と同じ感覚で受診はできません。インプラント治療では特殊な処置や条件が付いてくることを覚えておきましょう。
1-1-1.外科手術であること
インプラント治療と一般診療の最大の違いは外科手術かどうかの違いです。虫歯の治療と違って、一度失った歯を別のもので代用することが目的で、どうしてもメリットに注目しがちです。しかし、インプラント治療は外科手術であり、かつ高度な医療行為であることをしっかりと頭に入れておく必要があります。
例えば土台となる金属部分、インプラントを埋め込むためには顎の骨に穴を空けなければなりません。もちろん、一般診療ではまず行われない処置なので、歯科医も慎重になります。外科手術では、出血や腫れが伴うため、患者様が思った以上の負担が身体にかかります。いくら麻酔を使っているとはいえ、外科手術に耐えられるだけの体力や精神が必要になるでしょう。
1-1-2.顎の骨がなければ治療できない
インプラント治療は、埋め込む器具の構造上、顎の骨が十分になければ治療ができません。骨が十分にあるかどうかはインプラント治療を依頼する歯科医院や提携する病院で、CT検査を受けてみなければわかりません。自分では十分あるだろうと思っていても、実際には顎の骨が痩せてしまっていたり、薄かったりするとインプラントを埋め込むことができず、治療を断念せざるを得ないこともあるのです。
ただし、インプラントを埋め込む前の段階で、顎の骨を増やすための方法もあります。代表的な方法に「骨造成(GBR)法」がありますが、ほかの方法が使える場合もあります。一度CTによる検査が必要なので、気になる方はこちらからお問い合わせください。
1-1-3.メンテナンスが必須
インプラントでは、治療そのものよりも治療後のメンテナンスのほうが大切だと言われています。インプラントは歯の役割をしているとはいえ人工物に変わりありません。虫歯にはなりませんが、インプラント周辺が歯周病菌に感染しやすく、「インプラント歯周炎」を引き起こす可能性があるのです。「インプラント歯周炎」に感染すると、最悪の場合インプラントが外れる原因にもなる、恐ろしい病気なのです。
インプラント治療後は、最低でも年2回の定期メンテナンスが必須です。大切なインプラントを守るためには、自然な歯と同じく、専門の医師にしっかりチェックしてもらう必要があります。当院では、インプラント治療をされた患者様のメンテナンスも承っております。他院で施術された場合も対応しますので、まずはご相談ください。
1-2.治療以外のデメリット
インプラント治療でデメリットが発生するのは治療のときだけではありません。それはインプラントが外科手術であること、そして保険適用外の治療になることに関係しています。治療の面ばかりに目を向けず、治療以外でデメリットとなりうることにもしっかりと目を向けておきましょう。中にはデメリットをカバーできる方法もあるので、合わせて紹介します。
1-2-1.医療費が高額
インプラント治療は、何かしらの疾病を治す目的で行われることは少ないのが現実です。一部例外もありますが、基本的には保険が適用されないため、全額自費負担となります。
1本あたりの治療費は平均して30~40万円と言われていることから分かるとおり、一般の歯科診療よりも高額です。中には格安を謳っているものもありますが、安全かと言われると別問題。かといって超高額だから絶対安心で一生モノというわけでもありません。ただしどちらも通常の診療よりお金がかかることは間違いありません。
ただし、インプラント治療にかかる費用は一部が医療費控除で戻ってくる可能性もあります。詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
1-2-2.治療完了までに時間がかかる
ブリッジや入れ歯と比較すると、インプラント治療の完了はかなり時間がかかります。理由は、埋め込んだインプラントが顎の骨と接合するのを待つ必要があるためです。インプラントを埋め込んでも、すぐにアバットメントや外部構造を取り付けできるわけではなく、しっかりと土台が固定できなければ意味がありません。土台となるインプラントが骨と接合するには、ものにもよりますが1~3ヶ月、長い歯科医院では6か月程度様子を見ることもあるのです。
当院で採用しているストローマンインプラントは、埋め込んでからおよそ3週間程度と早い段階で骨との接合ができるため、治療期間の短縮に貢献しています。順調に進めば最初のカウンセリングから最短1ヶ月半で治療を終了する患者様もいます。
1-2-3.持病によっては治療できない可能性もある
インプラント治療は外科手術のため、切開や止血・縫合などの処置が必要です。基本的には治療ができる患者様の方が多いのですが、ごくまれに持病の関係でインプラント治療ができない方もいらっしゃいます。一般的に、インプラント治療ができないと言われる可能性が高い病名や状態の一例は以下のとおりです。
- 重度の糖尿病
- 歯周病
- 骨粗鬆症
- ステロイド服用中
ここで挙げたのはほんの一部ですが、歯科医院によってはインプラント治療ができないと言われる場合もあります。ただ、病状や薬の具合、治療によってインプラント治療が可能になる可能性もあります。他院で過去に「できない」と言われた方や持病をお持ちの方は、ぜひ一度、当院までご相談ください。
2.インプラント以外の治療との比較
自分の歯ではないものを作る・入れる方法には、インプラント以外にもブリッジと入れ歯の2つの選択肢があります。もちろんこれら3つには明確な違いがあり、自分の目的や予算で選択するという方法が取れます。3つのメリット・デメリットをきちんと把握して、どの治療を選ぶのかを慎重に検討しましょう。
2-1.ブリッジとの比較
ブリッジとインプラントの主なメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット | デメリット | |
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ブリッジ |
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インプラント |
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治療の段階で健康な歯を傷つけてしまうブリッジは、治療の方法としては安上がりですが、周りの歯を傷つけることで虫歯になりやすくなってしまいます。インプラントでは周囲の歯には一切触らないので、安心して治療を受けることができるのです。
2-2.入れ歯との比較
続いて入れ歯とインプラントの比較です。主なメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
入れ歯 |
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インプラント |
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入れ歯は治療が簡単なものの、一方で噛み心地に違和感があり、発話にも影響することがあります。また、人によっては入れ歯に付いているバネの影響で傷みを感じることもあります。インプラントでは噛み心地や発話には影響はなく、手入れも普段の歯磨きでできるので、自分の歯と同じように扱うことができるのです。
2-3.総合的にはインプラントが有効
ブリッジと入れ歯、インプラントのメリット・デメリットを比較しましたが、総合的に見ればインプラントが日常生活での利便性の面や口腔の健康面ではもっとも有効な方法です。費用が高かったり、治療に時間がかかるのは高度な医療行為なので仕方ありません。しかし、それ以外の面ではブリッジ・入れ歯にはないさまざまなメリットがあると言えます。
2-3-1.周りの歯を削らない
ブリッジや入れ歯では、治療のために健康な歯を削る可能性があります。健康な歯に傷がつくと、その部分から虫歯菌が侵入して虫歯になりやすくなってしまうのです。インプラントでは周囲の健康な歯には触れないため、虫歯になりやすくなることもありません。外科手術によって顎の骨に穴を空ける必要はありますが、しっかりした手術環境が整えられ、感染症対策も万全に整えられいるため安心して手術を受けられます。
2-3-2.顎が痩せるのを防げる
インプラント以外の方法で治療すると、顎の力が分散してしまうため噛み心地に問題が発生することもあります。顎の力がしっかり伝わらないということは、その分顎の筋肉が使われないことになってしまうため、顎の骨や筋肉が痩せてしまう原因にもなるのです。インプラントは、顎の骨にインプラントを埋め込むため、顎の力をしっかり伝えることができ、結果的に顎の骨や筋肉が痩せてしまうことが少なくて済みます。
2-3-3.美観を損なわない
ブリッジや入れ歯では、挿入している箇所のバネや金具が見えてしまうことがあり、審美性が劣ってしまう可能性があります。歯の部分となる材料を選ぶこともできますが、見た目が自然歯に近いほど高額かつ保険適用外になってしまうのです。インプラントでは土台となる部分に自然歯と見た目が変わらない上部構造を被せるため、審美性を損なうこともありません。
これら以外にもインプラントのほうが優れている点はいくつかあります。なお、ブリッジや入れ歯、インプラントすべてで定期的なメンテナンスが必要な点は変わりません。
3.インプラントにまつわる誤解
非常に魅力的なインプラントですが、巷ではさまざまな誤解や噂も流れています。原因はほかの病気の治療であったり、単なる思い込みであったりとさまざまです。特によく言われる誤解に関しては、インプラント治療の前に知って置いた方がいいでしょう。正しい知識を持ってインプラント治療に対する誤解を解きましょう。
3-1.MRIが受けられない?
心臓にペースメーカーを埋めている人は、MRIが受けられません。原因はペースメーカーが精密機器であること、金属でできていることが挙げられます。MRIは磁気を使って身体の内部を撮影するため、磁気に弱い素材を使用していると誤作動の原因になりかねません。また、磁気が走ることで人体に悪影響を及ぼす可能性がある金属が身体の中に入っていると非常に危険です。インプラントでも金属が使われるため、同じようにMRIは受けられないという噂がたったのでしょう。
しかし、インプラントで使用される金属はチタンであり、磁気を通さない金属です。そのため、インプラント治療を受けた後でも問題なくMRIを受けることができます。どうしても心配な場合は、インプラント治療前に歯科医に確認してみましょう。
3-2.インプラントは老後までずっと使える?
結論から言うと、インプラントは一度埋め込んだからと言って永久につかえるものではありません。インプラントは年数とともに上部構造が劣化していき、溶けたり削れたりします。あまりにも劣化がひどいと交換する場合もありますが、定期的なメンテナンスを受けることでインプラントの寿命を伸ばすこともできるのです。
一般的にインプラントの寿命は10~15年程度と言われていますが、過去には40年以上同じインプラントを使い続けた患者様の記録も残っています。一生とは言えませんが、きちんと定期メンテナンスを受けていれば、メーカーが推奨する寿命よりも長く使用できます。当院で採用しているストローマンインプラントは、特に寿命が長いことで有名なインプラントで、メンテナンスを怠らなければしばらく交換する必要もありません。
メンテナンスを怠らず老後も使い続けることができれば、食事をしっかり噛んで楽しめますし、歯の見た目も自然なので若々しい印象を周囲に与えられるでしょう。咀嚼機能が低下すると認知症のリスクが高まるため、健康を維持するうえでもインプラントは重要です。
ただし「老後までインプラントを使いたい」「老後にインプラント治療をする」という場合は以下の点に注意しましょう。
3-2-1.年齢的に「持病持ち」「顎の骨が少ない」というリスクを抱えている可能性が高い
先ほども解説したように、持病持ちや顎の骨の量が少ない人の場合は、インプラント治療をできないケースもあります。とくに老後を迎えると、年齢的に「心疾患・糖尿病・骨粗鬆症」など疾患を抱えることも珍しくありません。顎の骨の量が少なければ、骨移植や先述の骨造成などで骨を増やす必要があります。
上記のように高齢者は疾患リスクが高まるため、老後にインプラントを行う場合は、自分の担当医と連携し「疾患治療の服薬を一時的に止める」などの対応が必要となるでしょう。
3-2-2.体力的な問題で手術を受けられないケースもある
インプラント治療は外科手術が必要なため、体力がない人では治療に耐えられない可能性もあります。顎の骨の量が少ないケースでは別途で骨造成などの手術が必要なため、余計に体力を消耗するでしょう。
インプラントは、手術後の定期的なメンテナンスも必要です。メンテナンスでは通院する必要があるため、体力のない高齢者ではかなり負担がかかるかもしれません。メンテナンスを怠るとインプラント交換の必要性も発生するため、通院できる体力を持っているかは重要です。
3-2-3.インプラントと骨の結合までに時間がかかる
インプラントでは骨にボルト(インプラント体)を埋め込んで結合させる必要があります。しかし高齢者の場合は肉体が弱っているため、骨とボルトがうまく結合しないかもしれません。とくに骨粗鬆症などの疾患を抱えている人は、結合までに時間がかかることも多いです。
3-2-4.免疫力が低いため細菌感染が発生しやすい
インプラント治療では歯茎を切開する必要があるため、免疫力の低い高齢者では傷口から細菌が侵入するリスクもあります。細菌に感染した際にかかる疾患としては「インプラント周囲炎」が挙げられます。インプラント周囲炎を発症すると、歯周病と似た症状(口臭・出血・腫れなど)が発生して、最悪の場合はインプラントが抜け落ちるかもしれません。
細菌に感染しないためにも、体力を考慮しつつ通院によるメンテナンスや日頃のケアに取り組むことが大切です。
3-3.他院で「できない」と言われたら諦めるしかない?
インプラント治療のできる・できないの判断は歯科医師の技量や経験、提携する病院や手術環境に大きく左右されます。そのため、A歯科医院では「できない」と言われた患者様が、B歯科医院では「治療できる」と言われるケースも珍しくありません。つまり、一度「できない」と言われても諦めてしまう必要はないのです。
当院にも、連日多くの患者様から「他院でできないと言われた」と言ったご相談を受けます。根拠なくその歯科医が判断したわけではありませんが、当院では少しでもインプラント治療ができないか、患者様と一緒に考えていきます。もし他院で「できない」と言われたけどインプラント治療を諦められない方は、ぜひ一度お問い合わせください。まずはお話からしっかりとしていき、インプラント治療ができる方法はないかを考えていきましょう。
4.インプラントと正しく付き合うためにもデメリットの把握を
インプラント治療に関わらず、すべての医療行為にはデメリットがつきものです。特にインプラントはいい面ばかりがクローズアップされ、デメリットにはあまり注目されていません。これからインプラント治療を検討する人は、今一度インプラント治療のデメリットを再確認しておきましょう。わからないことがあれば、ぜひ高田歯科クリニックまでご相談ください。
※本コラムはあくまで一般的な情報として説明しております。高田歯科ではコラム内容で触れてはおりますがあえて対応していない内容もございますが、ご来院いただく患者様に合わせて最適なインプラント提案をさせていただいておりますので、まずは相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2021年9月3日