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院長 高田 徹

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「総入れ歯」と「インプラント オールオン4」の各メリット・デメリット

むし歯や歯周病など何らかの理由ですべての歯(ほとんどの歯)を失ってしまうと、適用できる歯科治療は限られ、一般的には、「総入れ歯」か「インプラント」の2つとなります。最近では、4本のインプラントですべての歯を支える「オールオン4」を選ぶ方も増えてきました。

実際、すでに総入れ歯を使用しており、噛みにくい、違和感があるなどの問題を抱えている方の中には、インプラントに変えられないかとお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、総入れ歯やインプラント(オールオン4)の各メリット・デメリット、総入れ歯からインプラントへの変更について、またそれぞれの治療の違いを徹底解説していきます。

《総入れ歯とインプラント(オールオン4)のメリット・デメリット》

メリット デメリット
総入れ歯
  • 早い期間で装着できる
  • 身体への負担が少ない
  • 保険適用のため治療費用を抑えられる
  • すべての歯を抜かなければならない
  • 治療を受けられる歯科医院が限られてしまう
  • 毎日のメンテナンスが不可
  • 天然歯と同じように噛めない
  • 顎の骨が痩せるリスクがある
インプラント
(オールオン4)
  • 天然歯に近い噛み心地を得られる
  • 適度な刺激で顎の骨が痩せるリスクを軽減できる
  • 発音への影響が少ない
  • 外れない、取り外す必要がない
  • 抜歯~仮歯装着までが早い
  • 残っている歯を抜かなければならない
  • 外科手術が必要になる
  • 治療費が高額になりがち
  • 感染症のリスクがある

本文内でより詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

総入れ歯からインプラントにできるのか

結論から申し上げると、総入れ歯からインプラントにすることはできます。

入れ歯にも部分入れ歯と総入れ歯があるように、インプラントにも一部分だけを補うものと、総入れ歯のようにお口全体に適用できるものがあります。

最近では数本のインプラントを埋入するだけで、片顎全ての歯を補うことが可能となりましたが、これがまさに本記事でご紹介していくインプラントの「オールオン4」です。

まずは、総入れ歯とインプラントのオールオン4のそれぞれの特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。

総入れ歯とは

総入れ歯は、歯をすべて失った場合に歯を復元するために行う治療法です。

「義歯床」と呼ばれる合成樹脂などで作られたピンク色の土台部分と、それに取り付けられた人工歯から構成された補綴装置です。

人工歯は上顎や下顎の骨にフィットするよう設計されており、噛み合わせや審美性を考慮してすべての歯がきれいに並んだ状態で装着することができます。

ただ、経年劣化や顎の骨の減少などによって、入れ歯を調整したり、場合によっては作り直したりしなければならなくなります。とはいえ、保険が適用されるため、総入れ歯の製作にかかる費用はインプラントに比べて安価です。

総入れ歯のメリット

総入れ歯のメリットは以下の通りです。

  • 早い期間で装着できる
  • 身体への負担が少ない
  • 保険適用のため治療費用を抑えられる

1つずつ見ていきましょう。

早い期間で装着できる

総入れ歯には、早期に装着できるというメリットがあります。歯がないと生活に支障が出ますが、患者様が迅速に日常生活を取り戻せるよう、目安としては【2週間~3ヶ月】という比較的早い期間で治療が完了します。

インプラント治療と比較しても非常に短い期間で治療を終えることができる点は大きなメリットと言えるでしょう。

身体への負担が少ない

総入れ歯における治療は、外科手術を必要としません。そのため、身体への負担が少なく、リスクもがほとんどないというのもメリットのひとつです。

これにより、高齢者や持病がある方など、外科手術を受けることが困難な方でも安心して治療を受けることが可能となります。

保険適用のため治療費用を抑えられる

総入れ歯は、保険適用のため費用を抑えて治療を受けられるのもメリットです。少しでも費用を安く抑えたいと思っている方にとっては大きな利点となり得るでしょう。

保険の適用を受けられる総入れ歯の場合は、数千円~2万円程度と非常に経済的です。

総入れ歯のデメリット

次に、総入れ歯のデメリットをご紹介します。

すべての歯を抜かなければならない

場合によっては残った歯を抜かずに総入れ歯を利用することができます。

ただ、たとえば1本しか残っていないというような状態であれば、その1本に引っ掛ける部分入れ歯を作ったとしても、その1本の歯にとてつもない負担をかけたり、ズレたりしてしまう可能性が高いでしょう。その点を考えると、残った歯を抜いて総入れ歯を選択する方が安定しやすくおすすめです。

とはいえ、まだある自分の健康な歯を抜かなければならないことに抵抗がある方にとっては、デメリットとなるでしょう。

毎日のメンテナンスが不可欠

総入れ歯は、毎日のメンテナンスが欠かせません。入れ歯を外して毎日メンテナンスを行わなければ、入れ歯に汚れや雑菌が蓄積され、口臭などの口腔内トラブルの原因となる可能性があります。

メンテナンスでは、入れ歯を直接ブラッシングする方法や洗浄液に浸しておくなどの方法があります。そう難しい手入れというわけではないものの、毎日のメンテナンスに手間や費用がかかってしまいます。

天然歯と同じように噛めない

総入れ歯では天然歯と同じように噛めない点もデメリットのひとつです。噛む力が天然歯と比べて大幅に低下し、それは天然歯の10~30%程度とも言われています。

それによって思うように噛み切れなかったり、食べづらさを感じたりすることも多くなるでしょう。それが食事の楽しさをも奪ってしまうかもしれません。

顎の骨が痩せるリスクがある

総入れ歯は、歯茎で入れ歯を固定しているため顎の骨に適度な刺激が伝わらず、顎の骨が衰えてしまうリスクがあります。

その結果口元の老化が進み、「老けて見える」原因の一つになる可能性があるのです。

インプラントのオールオン4(All-on-4)とは

一般的な「インプラント治療」では、顎の骨に人工歯根であるインプラント体を埋め込んでしっかり固定し、その上に人工歯を装着します。天然歯と遜色ない機能性と審美性を備えていることから非常に人気の治療法です。

そんなインプラント治療において、すべての歯を失った症例に対しては「オールオン4」と呼ばれる治療法が適用されます。このオールオン4は、4本という少ない本数のインプラントの上に、総入れ歯のような形をした12本の人工歯を固定する方法です。

通常のインプラント治療では、すべての歯を失った場合、8本~14本のインプラントが必要ですが、オールオン4ではたった4本で済みます。

また、従来のインプラント治療の場合、残っている骨の量によってはインプラント治療ができないケースもありました。

しかし、オールオン4は骨の量が多い部分にインプラント体を埋め込むことから、1本も歯がない人でも身体への負担をおさえながらインプラント治療を行えるようになりました。

通常のインプラントとの違い

ここでは、オールオン4と通常のインプラントの違いを見ていきます。

オールオン4 通常のインプラント
インプラントを
埋め込む本数
インプラントは片顎4本のみ

少ない本数ですべての歯を支えられる

失った歯(再建したい歯)の本数分のインプラントが必要

→本数が多いほど手術に時間がかかり身体への負担”増“

治療費用 およそ200~400万円前後

骨造成が不要なので追加費用なし

1本あたり30~40万円

インプラントの本数や骨造成によって費用が変動

例)上顎12本すべてをインプラント→(30~40万円×12)=360~480万円

治療期間 3~6ヶ月

歯を入れる施術は1日で完了

骨造成が必要な場合は治療完了までに1年以上かかることあり
顎の骨の影響 顎の骨が少なくても骨造成等の治療が不要

→歯がほとんどない方や歯がボロボロの方、顎の骨が少ない方でも治療可能

顎の骨が少ない場合、すぐにインプラントはできない

→骨造成手術等を行って骨ができるのを待つため、その分治療期間も長引く

術後の制限 手術当日から食事OK インプラントを入れた部分では数日噛めない

通常のインプラント治療に比べてオールオン4は、口腔状態に関わらずほとんどの方が治療可能であり、患者様の身体への負担や費用負担も少ないことが分かります。

オールオン4のメリット

オールオン4のメリットは以下の通りです。

  • 天然歯に近い噛み心地を得られる
  • 適度な刺激で顎の骨が痩せるリスクを軽減できる
  • 発音への影響が少ない
  • 外れない、取り外す必要がない
  • 抜歯~仮歯装着までが早い

1つずつ見ていきましょう。

天然歯に近い噛み心地を得られる

オールオン4では、顎の骨にインプラント体を埋め込みしっかり固定することから、天然歯に近い噛み心地が得られます。

基本的に今まで通りに食事が可能で、自然な会話もできるため日常生活で困ることはほとんどありません。

適度な刺激で顎の骨が痩せるリスクを軽減できる

4本の人工歯根を土台とするオールオン4は、噛んだ時の力が顎の骨に伝わるような仕組みです。つまり、天然歯と同様のメカニズムで噛むことができるため、顎の骨が痩せてしまうリスクを回避できます。

顎の骨に刺激が伝わらずどんどん顎の骨が痩せてしまい、歯や歯茎への悪影響、顔全体の老けた印象などが懸念される総入れ歯とは違って大きなメリットと言えるでしょう。若々しさをキープしたい方は、総入れ歯よりオールオン4が圧倒的におすすめです。

痛みが起こりづらい

総入れ歯に比べてオールオン4は、顎の骨にインプラント体を固定できるので、粘膜を傷つけてしまうリスクが少なく、痛みが起こりづらいとされています。

総入れ歯を長時間使用している方の中には、歯茎が擦れて強い痛みが出ている人も多いですが、オールオン4であればその心配はありません。

審美性が高い、発音への影響が少ない

オールオン4は、汚れや黄ばみがつきやすい入れ歯や、金属部分が目立つ部分入れ歯とは違って、天然歯と見比べても遜色ないほどの審美性に優れています。

自然な見た目なので、会話の際にも気になることなく、自信を持って過ごせるでしょう。また、発音への悪影響もほとんどありません。

外れない、取り外す必要がない

固定式のオールオン4は、食事や会話の際にズレたり、外れたりすることはまずありません。

総入れ歯のように、外れるのを気にしたり、外して毎日お手入れをしたりする必要もないため、日常生活の負担が軽減できます。

抜歯~仮歯装着までが早い

オールオン4は、インプラントの埋入本数が少なく済むことから、抜歯からインプラントの仮歯の装着までを1日で行うことが可能です。

抜く予定の歯や入れ歯が手術当日まで使えるうえ、手術後には仮歯で食事を摂ることができるため問題なく生活を送れます。

オールオン4のデメリット

次に、オールオン4のデメリットをご紹介します。

残っている歯を抜かなければならない

オールオン4は、歯が1本もない症例が対象となるため、歯が残っている場合はすべて抜かなければなりません。これは基本的に総入れ歯でも同じです。

ただ、歯を失った部位にだけ適用できる通常のインプラント治療であれば、健康な天然歯をそのまま残すことができます。こうした歯を残せる選択肢がある中で、健康な歯を抜歯しなければならない治療法を選ぶのは誰であっても迷いが生じるでしょう。

外科手術が必要になる

オールオン4は必ず外科手術が必要です。手術では局所麻酔や静脈内鎮静法を用いて、歯茎を切開したり、顎の骨を削ったりします。こうした外科手術で身体的な負担が掛かってしまうことは、総入れ歯と比べたときにデメリットとなるでしょう。

また、特に全身性の疾患がある方や高齢の方などは、手術に耐え得る体力が必要であることはもちろん、少なからずリスクを伴う治療となるため歯科医師への事前の相談が必須です。

治療費が高額になりがち

総入れ歯と違ってオールオン4は、保険適用外のため治療にかかった費用は全額自己負担となります。そのため、治療費用が高くなるという点がデメリットとして挙げられます。

高度な技術と治療経験が必要な方法であることから、治療ができる歯科医師が限られているのもオールオン4の費用が高い要因の1つです。実際にどのくらいの費用がかかるかは、口の状態や歯科医院によっても大きく変動するため、まずは歯科医院へ相談してみましょう。

【徹底比較】総入れ歯とオールオン4の違い

どちらの治療法を選ぶかは、メリット・デメリットを把握した上で検討するべきです。以下に、「総入れ歯」とインプラント「オールオン4」の違いをまとめてみました。

項目 総入れ歯 インプラント「オールオン4」
治療方法 歯茎の上に人工歯を吸着させる 片顎4本のみの少ない本数のインプラントを埋め込み、その上に12本の人工歯を装着させる
治療費用 保険適用:約3千円~2万円

自費診療:約15万~100万円

自費診療

200~400万前後

保険適用 あり なし
治療期間 2週間~3ヶ月 3ヶ月~6ヶ月
寿命 3~5年程度 15年前後
審美性 保険適用の素材であれば劣る

自費診療であれば天然歯に近い色合いが可能

天然歯と遜色ない綺麗な見た目
噛む力 弱い 強い(天然歯と同レベルの咀嚼力)
外科手術 不要 必要
ケア方法
  • 装置をお口から外した状態でケア
  • 水道水で流しながら丁寧に磨く
  • 就寝前は入れ歯を外して「入れ歯洗浄剤」に浸す
  • 定期的なメンテナンスが必要(調整や作り替えが必要になることもある)
  • 基本的に天然歯と同じ
  • 歯磨き・デンタルフロスなどのケアを欠かさない
  • 定期的なメンテナンス必須

オールオン4が向いているのはこんな人!

オールオン4が向いているのは以下のような方です。

  • 歯がボロボロ、またはほとんどの歯が無い
  • 総入れ歯でお悩みの方(噛みにくい、入れ歯に違和感がある、えずくなど)
  • 顎の骨が痩せて(少なくなって)しまっている方
  • 通常のインプラントだと費用が心配な方

こうしたお悩みのある方は、オールオン4を検討してみてはいかがでしょうか。

総入れ歯とオールオン4のいいとこどり?「インプラントオーバーデンチャー」とは

記事前半で総入れ歯やインプラント(オールオン4)のメリット・デメリットをお話ししましたが、総入れ歯からインプラントにしようと思っても、人それぞれ様々な理由から踏ん切りがつかない方もいらっしゃるでしょう。

そういった方におすすめなのが、総入れ歯とインプラントの中間に位置する、「インプラントオーバーデンチャー」です。

このインプラントオーバーデンチャーとは、自由に取り外しのできる上部構造(=入れ歯)を、2~4本のインプラントでしっかり固定し、安定させる治療法です。「磁石で入れ歯を固定するタイプ」と「インプラントと入れ歯を連結するタイプ」があります。

総入れ歯は、食事中や会話中にズレたり外れたりしますが、インプラントオーバーデンチャーはしっかりと入れ歯を固定できるため、そうした心配はありません。

一方、通常の入れ歯と同じく、外して洗ってメンテナンスができます。手間はかかるものの、【インプラントならではの安定性】と【取り外しができてしっかりメンテナンスができる】、【インプラントの本数が少なく、費用を抑えられる】というメリットの多い治療法です。

全ての方におすすめ!というわけではありませんが、条件に合う患者様にとっては最適な選択肢のひとつとなるでしょう。

総入れ歯かインプラントか迷う時には歯科医院へ相談を!

かつては入れ歯が合わなくても使い続けるしかない場合がほとんどでした。しかし現在は、歯科技術の進歩により、インプラントのような天然歯に近い歯を取り戻せる治療法も存在します。

患者様のお口の状態に合わせて最適な治療法を選ぶことで、当たり前に噛むことができ、食事も楽しめて、笑顔で過ごすことができるでしょう。

当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」では、総入れ歯が合わないからどうにかしたい、インプラント治療を迷っている、など患者様のお悩みを伺い、インプラントをはじめとした最適な治療法をご提案いたします。無料相談を行っておりますので、まずは一度お気軽にご相談ください。

カテゴリー:インプラント&歯科ブログ   投稿日:2024年5月9日