セラミックとインプラントの違いを比較しました【治療法・費用・期間】
クリニックで歯の治療を受ける際、セラミックとインプラントを提案されて選ぶことになるケースがあります。しかし両者の違いがわからないことも多いのではないでしょうか。この記事では、セラミックとインプラントの違いについて解説します。この記事を読むと、以下の点が理解できるようになります。
セラミックとインプラントの違い
- インプラントは、歯根がなく歯を失ったときに代わりに人工歯を埋め込む治療法
- セラミックは、セラミック素材の詰め物や被せ物を欠損部分に装着する治療法
- 歯根の有無、金属アレルギーの有無などで両者から適切な方を選ぶ
- ジルコニアというセラミックの一種を使ったインプラントや詰め物・被せ物も出てきている
セラミックとインプラントを比較検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
セラミックとインプラントの違いの比較
まず、セラミックとインプラントの違いを大まかに一覧で比較します。
インプラント | セラミック | |
---|---|---|
治療法 | 歯を失った場合に、代わりに人工の歯を埋め込む | 歯の欠損部分に、詰め物や被せ物を装着する |
適用されるケース | 歯根がない、歯根の状態が悪い | 歯の一部が欠けているが、歯根が残っている |
費用 | 30万~40万円 | 詰め物:4万~9万円 被せ物:8万~18万円 |
治療期間 | 3か月~半年 | 2~3週間 |
表の内容について、順に具体的に解説していきます。
インプラント
まずインプラントについて、以下の側面から解説します。
- 治療方法
- 素材
- 費用
- 治療期間
- メリット
- デメリット
1つずつ見ていきましょう。
治療方法
インプラントは、歯を失った場合に代わりに人工の歯を埋め込む治療法です。歯を失ったところのあごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着します。
構造については、インプラントは3つのパーツからなっています。すなわち、人工歯根(フィクスチャー)・人工歯(上部構造)とそれらをつなぐアバットメント(土台・接合部分)の3つです。
人工歯根とアバットメントが一体化した「ワンピースタイプ」がありますが、最近は使われなくなってきています。一部のトラブルでも全体を交換しなくてはならないからです。人工歯根とアバットメントが分かれている「ツーピースタイプ」が現在の主流です。
素材
3つのパーツごとにそれぞれ素材が異なります。人工歯根とアバットメントには、チタンが多く使われています。チタンは金属ですが、金属アレルギーをほとんど起こさないのが特長です。そのため心臓のペースメーカーなどにも使われているほどです。骨と結合しやすく、ある程度時間が経つとしっかり固定されるというメリットもあります。
人工歯はセラミックが多く使われています。セラミックは、さらにジルコニア・オールセラミック・ハイブリッドセラミックに分けることができます。
費用
インプラントの場合、1本の費用は30万~40万円程度です。自由診療で保険の対象外なので高額になります。またメーカーや製品のグレード、医師の技術などによっても金額は変わります。
高額ではありますが、医療費控除を受けることが可能です。そのため、確定申告で申請すると一部が還付金として戻ってきます。健康に大きく関わるものでもあるので、金額だけで判断することはあまりおすすめできません。
治療期間
インプラントの治療期間は、治療方法によって違いがあります。
具体的には、2回法と1回法という2つの方法があります。2回法の方が長い期間が必要となりますが、異常がない場合で3か月~半年程度です。ただし骨と人工歯根の結合具合によって必要となる期間は変わります。
メリット
インプラントには多くのメリットがあります。まず最も大きなメリットとして、天然の歯のような噛み心地が挙げられます。食事で歯を使うのは毎日のことなので、自然な噛み心地が得られるということは非常に重要です。
さらに、ほかの歯から独立しているのでほかの歯への影響がないことも挙げられます。たとえばブリッジなどの場合は、健康な歯を削らなくてはなりません。しかしインプラントの場合はその必要がありません。
さらに見た目が自然なことも挙げられます。人から見られることが気にならなくなるので、天然の歯の時と同じように口を開けたり笑ったりすることができます。
寿命が長いこともメリットで、耐用年数は通常の使用で10~15年程度とされています。しかし適切なメンテナンスやケアを続けることで、20年以上など目安を優に超え半永久的と言ってよいほど使用できる可能性があります。実際、20年を超える臨床例も出始めました。
デメリット
インプラントのデメリットとして最も大きいのは、自費診療のため費用が高額になることでしょう。医療費控除は受けられますが、保険の対象となる治療に比べるとどうしても高額になってしまいます。
また金属アレルギーの場合は施術できません。すでに述べたように、人工歯根などに金属のチタンを使用しているからです。ただしチタンは金属アレルギーの原因となりにくいため、稀なケースだと言えます。また詳しくは後述しますが、インプラントでも金属を使わない方法が誕生しています。
また、人工歯根を埋め込む際は手術を行うことになります。そのため体への負担があるのもデメリットの1つです。
セラミック
次にセラミックについて解説します。インプラントと同じように、以下の側面から解説します。
- 治療方法
- 素材
- 費用
- 治療期間
- メリット
- デメリット
1つずつ見ていきましょう。
治療方法
「セラミック製」という言い方をよく聞くように、セラミックとはもともとは治療法ではなく素材のことです。ただし、セラミック製の詰め物や被せ物を使った治療法を指して「セラミック」と呼ぶこともあります。この記事でも、治療法としてのセラミックをインプラントと比較します。
セラミックは、欠けた部分が少ないときは欠損部分に詰め物を、ひどい虫歯などで歯を大きく削る必要があるときは歯全体に被せ物を装着して補う治療法です。詰め物はインレー、被せ物はクラウンと呼ばれます。
素材
歯科治療で使われるセラミック素材には、オールセラミックやハイブリッドセラミック、ジルコニアなどいくつか種類があります。いずれも銀歯に比べ強度があり、見た目も銀歯より目立たないのが特長です。
すでに述べたようにそもそもセラミックは素材のことですが、陶器などを指すこともあればもう少し広くガラスなどを含む場合もあります。材料を固めて高温で焼いて作られたものを指します。
費用
セラミックの費用は、インレーの場合で4万~9万円弱、クラウンは8万~18万円が相場となっています。それぞれ2倍以上の開きがありますが、素材の違いによるものです。セラミックにもいろいろな素材があり、素材により相場は異なるのです。
ハイブリッドセラミックは比較的安価で高くても12万円ぐらい、ジルコニアやオールセラミックはそれより高い価格帯となっています。
治療期間
セラミックの場合、1本の治療でとくに問題が起きなければ治療期間は2~3週間程度が目安です。通院は最短なら2回で済みます。ただし、初めのカウンセリングや噛み合わせの調整などを行う場合はもう少し長くなります。またインレーとクラウンとではややクラウンの方が長くなる傾向があります。
型を取ってインレーやクラウンを制作するのには1〜2週間必要です。あとはどのぐらいプラスの治療を行うか、治療が必要となるかによって期間が変わることになります。
メリット
セラミックのメリットとしては、自分の歯を残せるということが大きいでしょう。むやみに人工歯に取り替える必要はありません。
また手術を行うわけではないので、体への影響が少なくて済みます。素材も金属を使用しないため金属アレルギーでも治療できます。その点でも影響が小さいと言えるでしょう。
さらに、銀歯など金属を使うと金属イオンが溶けだして歯茎が変色することもありますが、セラミックではそれもありません。人工歯自体の見た目が美しいのもメリットです。
そのほか、セラミックもインプラント同様に寿命が長いというメリットがあります。一般的にはセラミックの耐用年数は10〜15年とされています。
デメリット
セラミックは衝撃に弱い点がデメリットです。そのため、場合によっては割れてしまうことがあります。また圧力によって劣化することがあり、日常的に歯ぎしりをする人には向いていません。
そのほか、セラミック治療もインプラントと同じく自由診療で保険対象外となっています。費用が安くはないのもデメリットです。
インプラントとセラミックを選ぶときのポイント
一言で言うと、インプラントは歯を失ったときの治療法、セラミックは歯の一部が残っている虫歯の治療法です。インプラントとセラミックはそれぞれ特長が異なり、状態に合わせて適切な方を選ぶ必要があります。選ぶ際のポイントについて解説します。以下の3つのポイントがあります。
- 歯根があるかどうか
- 金属アレルギーがあるかどうか
- 前歯の治療かどうか
1つずつ見ていきましょう。
歯根があるかどうか
歯根がない場合はインプラント治療を行うほかありません。セラミックは歯根を補う方法ではないからです。逆に歯根がある場合はセラミック治療を行うのが標準的な判断です。
歯根があっても、抜歯してからインプラント治療を行うケースもあります。ただし一般的ではなく、やむを得ない理由がある場合のみです。抜歯してインプラントを行うケースの例としては、虫歯や歯周病が悪化している、歯が割れている、根の状態が悪いなどが挙げられます。
とはいえ、基本的には歯根が残っていればセラミック、残っていなければインプラントを選ぶことになります。
金属アレルギーがあるかどうか
金属アレルギーがある人の場合は、セラミックを選ぶことになります。
インプラントは人工歯根にチタンを使用しているのが一般的です。チタンは金属アレルギーの原因となることは非常にまれですが、可能性がゼロではありません。そのため通常金属アレルギーのある人はセラミックで治療を行います。
なお詳しくは後述しますが、インプラントでも金属を使わない製品・手法も現れてきています。対応している歯科医はまだ少ないのですが、その方法なら金属アレルギーでもインプラントを選ぶことが可能です。
前歯の治療かどうか
前歯を治療する場合、セラミックとインプラントを組み合わせた治療を行うケースがあります。
前歯はよく見える場所なので不自然さをなくすことが大切になります。セラミックは色味を細かく調整して、自然に仕上げることが可能です。そのため、インプラントで人工歯根を埋め込み、オールセラミックで被せものを作る方法が採用されることがあるのです。
参考|インプラントとジルコニア
ここまでインプラントとセラミックの違いを解説してきましたが、最後に「ジルコニア」について軽く紹介しておきます。ジルコニアによる歯科治療も増えつつあり、クリニックで提案されるようになってきているからです。
ジルコニアも素材の名前です。セラミックの一種で、人工ダイヤとも呼ばれています。「ダイヤ」からもイメージできるように、セラミックの中でも最も硬く高い耐久性が特徴です。歯科治療でも使われており、被せ物・詰め物・インプラントの材料となっています。とくに奥歯の治療でよく使われる素材です。
インプラントでは、上部構造で使うのが一般的です。しかしそれにとどまらず、人工歯根もジルコニア製の「ジルコニアインプラント」が出てきています。ジルコニアはセラミックであり金属ではありませんが、骨と結合する性質があるため人工歯根にも適しています。
ジルコニアインプラントなら、金属アレルギーでなくてもインプラント治療が可能です。製品の数や種類も増えつつあり、信頼できる大手メーカーの製品もあります。ただし治療できるクリニックはまだ多くありません。
自分に合った方法を選ぼう
インプラントとセラミックは異なる治療法で、歯の状態などによって適切な方を選ぶ必要があります。
しかし専門家でない方が適切な判断をするのは難しいものです。また、かかりつけのクリニックで勧められた治療法に関して、第三者の客観的な意見を聞きたい場合もあるのではないでしょうか。
もしも東京でインプラントとセラミックのどちらを選ぶかお悩みの方がいらっしゃったら、杉並区荻窪の高田歯科クリニックにご相談ください。インプラントの専門家として日々治療を行っているほか、セカンドオピニオンも提供しています。
治療を行う場合もインプラントを無理強いすることは決してありません。できるだけ歯を残す方向で、患者様の納得のゆく治療方法を検討・ご提案いたします。
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カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年4月3日