インプラント2本でブリッジ治療は可能?メリット・デメリットや費用も解説
失った歯の機能を回復させる治療方法の中でも、「インプラント」や「ブリッジ」は多くの方に選ばれています。
しかし、もし3本の歯を連続して失った場合はどうなるのでしょうか。「全部インプラントにすると高そう…」、「両隣に歯がないからブリッジはできなさそう…」「インプラントとブリッジは併用できるの?」と様々な不安や疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。
そこで本記事では、インプラント2本を使ったブリッジ治療(インプラントとブリッジの併用)やメリット・デメリット、かかる費用について解説していきます。
– インプラントとブリッジの併用メリットは3つ –
- 2本のインプラントで3本の歯を作れる
- 3本全てをインプラントにするより費用を抑えられる
- 通常のブリッジに比べて他の歯への負担が少ない
– インプラントとブリッジの併用デメリットは3つ –
- ブリッジ治療より費用が高くなる
- 3本インプラントより手入れが難しい
- 3本インプラントより負担がかかる
– インプラントとブリッジにかかる費用 –
- インプラント…1本あたり約30~40万円
- ブリッジ…約2~3万円
- インプラント2本とブリッジの併用…約62万円~83万円
インプラント2本でブリッジ治療は可能!
結論から申し上げると、インプラント2本でブリッジ治療をすることは可能です。
歯の欠損を補うためにインプラントを活用したブリッジ治療は、失われた複数の歯を補う有效な手段と言えます。
具体的には、2本のインプラントを支えとして、間にある歯の欠損部分を人工の歯で繋ぐ方法です。「インプラントブリッジ」と呼ばれることもあります。
インプラントとブリッジを併用するのはどんなとき?
インプラントとブリッジの併用治療は、複数歯の欠損がある場合に用いられますが、代表的なのは以下の2つのケースです。
- 3本連続して歯を失い、そのうち2本をインプラントにする
- 2本連続して歯を失い、そのうち1本をインプラントにする
どのような状況なのかを1つずつもう少し詳しく見ていきましょう。
3本連続して歯を失い、そのうち2本をインプラントにする
虫歯や歯周病、そのほか何らかの理由で3本連続して歯が欠損している場合、他の歯への負担や費用面を考えると、「入れ歯」が選ばれるケースが多くあります。
というのも、3本の歯を失った中でブリッジにすると両隣の支えとなっている歯に負担がかかりすぎてしまい、3本すべてをインプラントにしようとすると費用が高額になってしまうからです。
そんなときに選択肢のひとつとして注目されているのが、インプラントとブリッジの併用です。3本のうち端の2本にインプラントを設置し、その間の欠損部分にブリッジを架ける治療となります。
通常のブリッジ治療とは異なり、健康な歯を削る必要もありませんし、欠損した3本の歯すべてをインプラントにするよりも顎の骨への負担や費用の負担も軽減できます。
しかし、この治療法を選択する際には、インプラントを埋め込む顎の骨の健康状態が非常に重要です。十分な骨密度と骨量が確保されていなければ、インプラントの成功率に影響するため、必要に応じて骨造成手術も検討されるかもしれません。
2本連続して歯を失い、そのうち1本をインプラントにする
連続して2本の歯を失った場合、そのうち1本をインプラントで補い、そのインプラント(人工歯)と天然歯で中間のブリッジを支える方法があります。
インプラントと天然歯を支台歯として使うため、天然歯を削らなければならなくなりますが、インプラントが設置されることで、力の分散が改善され、長期的に安定した噛み心地が得られるようになるでしょう。
インプラント2本でブリッジ治療をする場合の費用
失われた歯を補うという点で言えば、インプラントとブリッジは同じ治療法となりますが、その費用は大きく異なります。ここからは、その「費用」に着目して解説していきます。
なお、保険適用の有無や歯科医院ごとに費用が異なる場合も多いですが、まずは一般的なインプラントとブリッジの費用相場から見ていきましょう。
インプラント1本あたりの料金相場
インプラントは、1本あたり【約30万円~40万円】が相場です。基本的に保険適用外(由診療)となるため高額になりがちですが、歯科医院で採用しているインプラントのメーカーによっても異なるため、歯科医院ごとに費用の差があります。
また、複数のインプラントを埋め込む場合は、その本数分費用が高くなると考えておきましょう。また、前歯などの顎骨が薄い部位への治療は、骨造成手術などが必要になる可能性もあるため、追加で費用がかかることもあります。
ブリッジ治療の料金相場
ブリッジ治療の費用は、保険適用の有無、本数や被せ物の素材によって大きく変化します。
保険適用の場合は【2~3万円】程度、高品質の素材やより審美性の高さを求める場合は、自費診療となり【5〜15万円】程度かかることもあります。
インプラント2本でブリッジ治療をする場合の費用
3本の歯をインプラント2本でブリッジ治療する場合には、【62万円~83万円程度】の費用が想定されます。失った3本すべての箇所にインプラントを埋め込む必要がない分、費用を安く抑えられるのがポイントです。
以下の表では、3本連続して歯を失った場合の治療にかかる費用を、2つのパターンで比較してみました。※あくまでおおまかな計算です。
治療法 | インプラント費用 | ブリッジ費用 | 費用合計 |
---|---|---|---|
インプラント3本 | 90~120万円 ▼内訳 (30~40万円)×3本 |
― | 90~120万円 |
インプラント2本 +ブリッジ |
60~80万円 ▼内訳 (30~40万円)×2本 |
2~3万円 ※保険適用の場合 |
62~83万円 |
前述した通り、3本ともインプラントにする場合に比べて、インプラントとブリッジの併用の方が経済的な負担を減らすことができます。
ただ、ブリッジの被せ物にこだわり、保険適用外のものを選んだ場合には表に記載の額より高くなるでしょう。
なお、実際の金額に関しては、治療を行う歯科医院が設定している金額や患者様の歯の状態、治療内容などによって異なります。より具体的な費用について知りたい場合は、実際に歯科医師に相談してみてください。
そもそもインプラントとブリッジの違いって何?
インプラントもブリッジも、歯を失った部位に対して「歯を補い、歯の機能を回復する方法」としてよく用いられる治療ですが、治療法や見た目、その他全く異なるものです。
ここからは、インプラントとブリッジの「違い」について見ていきます。
治療法
インプラント治療は歯を失った部位に、インプラント体を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。
一方のブリッジは、失った歯の両隣にある歯を支台歯として被せ物を作る治療法です。ブリッジという名の通り、歯と歯に橋を架けるように被せ物で一列につなぎ合わせます。
審美性
インプラントもブリッジも、被せ物に使用する素材によっては天然歯と比べても違和感がなく、高い審美性を得られます。
ただ、やはりインプラントの審美性は他になく、自然な歯のような見た目を実現することが可能です。
一方、ブリッジも適切な材料を選べば自然な見た目が得られますが、保険適用となるのはレジンという白色の素材もしくは、銀色の金属(いわゆる銀歯)を使用する場合のみ。審美性の高い素材を使用するならば自由診療となり、費用が高くなることを覚えておかなければなりません。
また、装着するために隣の歯を削る必要があり、長期的に見た目の変化が生じることも考えられます。
機能性・耐久性
機能性と耐久性においても、インプラントとブリッジには差が見られます。インプラントは外科手術で顎の骨にインプラント体を埋めるため安定性が高く、まるで自分の歯のように固定されるため咀嚼機能も抜群です。
一方でブリッジは、インプラントほど土台がしっかりしていないため、強い力を入れて噛むことはできません。また、支えとなる健康な歯に負担がかかるため、時間とともにこれらの歯に問題が生じる可能性もあります。
他の健康な歯への影響
インプラントは、歯を失った部位に「独立した1本の歯」を埋め込むため、他の健康な歯を削ることはありません。
これに対しブリッジは、両隣の歯で1~2本の歯を補うため、何の問題もない健康な歯を削る必要が出てきます。健康な他の歯を削り負担をかけてしまうことを考えると、他の歯への影響0で独立した歯を作れるインプラントはメリットのある治療法と言えるでしょう。
将来を考えたときにも、「自分の健康な歯を1本でも多く残せる」というのは大事なことです。
噛み心地
インプラントは天然歯と比べると噛み心地は異なるものの、人工歯根を埋め込んでいるため、自分の歯とほとんど変わらない安定感があります。
これは、インプラントが骨に直接固定されているためです。これにより、噛み心地はブリッジに比べて「良い」と言えます。
一方のブリッジは、インプラントに比べて噛み心地は若干劣ります。しかしながら、支えとなる歯に特に問題がない、かつ正確な治療と技術があればこの差はほとんど感じないでしょう。
かかる期間
治療期間としては、インプラントの方が長期間を要することが一般的です。インプラント手術自体は1日前後で終わりますが、顎の骨との結合を待ち、その上で人工歯を装着する必要があるため、完了までに【平均6ヶ月~1年】を要します。
治療期間に開きがあるのは、1人ひとりの歯の状態が違うからです。インプラント体を固定できるだけの骨の量がない、歯周病で口腔状態が悪いなど、何かしらの問題がある場合は、まずそれらを改善するための治療が優先されるため、長期間かかる場合が多いでしょう。
一方、ブリッジは【およそ1〜3ヶ月】という短期間で完了します。
保険適用の有無
保険適用についても2つの治療方法によって異なります。インプラントは「自費診療」で、ブリッジは「保険診療」である点です。
インプラントは保険が適用されない自由診療となるためどうしても費用は高くなってしまいます(一部、保険適用のケースあり)。
一方、ブリッジ治療は保険が適用されることで、治療費の1~3割の負担で済みます。ただし、一部オールセラミックなどの審美性の高い素材は保険が適用されないため、治療費は高くなりがちです。
メンテナンス
どちらの治療も長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
特にインプラントは、「インプラント周囲炎」のリスクがあるため、しっかりとしたケアが欠かせません。このインプラント周囲炎は簡単に言うとインプラントの「歯周病」で、インプラントを支える顎の骨が溶けたり、最悪の場合インプラントが抜け落ちたりする事態を招いてしまいます。
日々のセルフケアとともに、歯科医院での適切なメンテナンスを定期的に受けることがおすすめです。
また、ブリッジの場合は、支えている両隣の歯のケアも大事です。この支えている歯にトラブルが発生すると、3本連続で歯がダメになってしまう可能性もあるため注意しなければなりません。
なお、歯科医院では自分自身ではできない専門的なケアや、日々の歯磨きでは取れない汚れもプロのクリーニングで綺麗にしてもらえるため、お口の健康を維持できるでしょう。
寿命
インプラントの寿命は半永久的とも言われていますが、およそ10年が目安です。とはいえ、治療の成功度合いや素材の種類、その後のメンテナンス状況、生活習慣など様々な要因によって大きく変わってきます。
一方、ブリッジの平均寿命はおよそ7年です。同じく被せ物の素材やメンテナンスなど様々な理由から2~3年で寿命を迎える場合もあれば、長年使い続けている方ももちろんいらっしゃいます。
なお、ブリッジに関しては、本来ならば3本の歯で均等に受け止められる力を、両端の2本の歯で受け止めることになるため、支えとなっている歯がもつかどうかも寿命を決める大きなポイントになるでしょう。
インプラント2本とブリッジの併用治療で得られるメリット・デメリット
インプラント2本とブリッジを併用する治療法は、機能性や経済性、見た目の自然さを考慮した際に非常に有効です。しかしながら、デメリットも存在します。
ここからはインプラントとブリッジの併用治療におけるメリット・デメリットをご紹介します。
インプラント2本でブリッジ治療をするメリット
インプラント2本でブリッジを支える治療法には多くの利点があります。具体的には、以下の通りです。
- 2本のインプラントで3本の歯を作れる
- 3本全てをインプラントにするより費用を抑えられる
- 通常のブリッジに比べて他の歯への負担が少ない
1つずつ見ていきましょう。
2本のインプラントで3本の歯を作れる
最も大きなメリットとしては、インプラント2本を利用して3本の歯を構築することができる点です。両端にインプラントを配置し、中央にブリッジをかけることで、3本の歯が連続して失われている場合でも安定した咬合を確保できます。
従来のブリッジとは違って隣接する歯を削る必要もなく、インプラントを入れる本数を最低限に抑えられます。結果的に、外科手術時の時間も短く、その分身体への負担も軽減できるでしょう。
3本全てをインプラントにするより費用を抑えられる
インプラント治療は確かに優れた歯の回復方法ですが、失われた歯をすべてインプラントで補うには高額な費用が必要です。失った歯3本を1本ずつインプラントにした場合、本数分の費用がかかります。
一方、インプラントとブリッジの併用であれば、全ての欠損部にインプラントを施す代わりに、2本のインプラントで3本分の機能を補うことができるため、治療費を大幅に削減することが可能です。つまり、インプラント代だけで言えば2本分の費用しかかりません。
1本あたり30~40万円するものですから、たとえ1本でも経済的な負担を大きく軽減することができます。
通常のブリッジに比べて他の歯への負担が少ない
従来のブリッジ治療では隣接する健康な歯を削ってブリッジの支えを作る必要がありましたが、インプラントを使用することでその必要がなくなります。
これにより、周囲の健康な歯へのダメージを防ぎながら治療を進めることが可能です。
インプラント2本でブリッジ治療をするデメリット
デメリットは以下のようなことが挙げられます。
- ブリッジ治療より費用が高くなる
- 3本インプラントより手入れが難しい
- 3本インプラントより負担がかかる
1つずつ見ていきましょう。
ブリッジ治療より費用が高い
インプラントを使用したブリッジ治療は、通常のブリッジ治療に比べて高額です。
通常のブリッジ治療は保険適用のため、2~3万円前後の自己負担金で済みますが、インプラントは保険適用外のため費用が高額になってしまいます。
3本をインプラントにするよりメンテナンスが難しい
インプラントとブリッジが組み合わさった構造は、歯の清掃、メンテナンスが難しくなることもメリットのひとつです。
インプラントを1本ずつ埋め込んで治療する場合は天然歯と同じように独立するため、歯間の掃除も比較的簡単に行えます。一方、ブリッジの場合、真ん中の歯周辺の清掃が不十分になりがちで、プラークの蓄積や歯肉炎の原因となる場合があるため注意が必要です。
3本インプラントより負担がかかる
本来は歯が3本生えていた部分を2本のインプラントで支えることになるため、インプラントに過度の負担をかける可能性があります。
大きな負荷がかかり続けることで、インプラントやブリッジの寿命に影響を与え、破損やインプラントの脱落(抜ける)といった事態が引き起こされるかもしれません。
インプラント・ブリッジ併用治療費用を抑えるポイント
最後に、インプラントとブリッジの併用治療にかかる費用を抑えるポイントをご紹介します。
医療費控除を利用する
インプラントやブリッジ治療にかかる費用は、基本的に医療費控除の対象となります。確定申告時に適切に申告することで、支払った医療費の一部を税金から戻してもらうことが可能です。
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超える場合、その超えた分について所得税から控除を受けられます。この医療費控除を活用することで、高額な治療費の負担を軽減できる可能性があります。
こちらの記事でもご紹介しておりますのであわせてご覧ください。
デンタルローンを利用する
デンタルローンは、高額な歯科治療費を分割払いできる便利なサービスです。歯科治療限定で利用することができます。インプラント治療にかかる費用を抑えられるわけではないものの、大きな額を月々の支払いに分散させることが可能できるため、月ごとの経済的な負担を軽減できます。
また、デンタルローンは一般的なクレジットカードの分割払いよりも金利が低いことが多い点も特長です。ただし、ローン契約をする際は金利や返済期間、手数料などの条件をよく確認し、自分の支払い能力を超えないプランを選びましょう。
インプラントに関するご相談は「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」へ
インプラントとブリッジの併用は複数の歯の欠損に対する有効な治療法の一つですが、何より口腔内の状態やご予算などを総合的に判断し、適切な治療法を決める必要があります。
インプラントとブリッジの併用をお考えの方は、まずは歯科医院で診査・診断を受け、ご自身に最適な治療法を選択しましょう。
なお、当院「高田歯科クリニック(杉並区荻窪)」では、インプラント治療に関する疑問や不安を解消するための個別相談を積極的に行っております。
経験豊富な院長自ら患者様お一人ひとりの状態に合わせた最適な治療プランを提案し、それぞれのお悩みに寄り添いながら治療を進めていきます。インプラント治療のことでお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
カテゴリー:インプラント&歯科ブログ 投稿日:2024年5月9日